民家と町並み図鑑
合掌造(屋根と間取りの型)
叉首を三角に組んだ、急勾配の切妻屋根の民家です。屋根裏を二層三層に区切って蚕を飼ったため、住まいの上に作業場が積み上がった形になりました。二本の材を頂部で合わせて三角に組む叉首を何組も並べ、その上を茅葺でおおった急勾配の切妻造です。柱で受ける小屋組と違い、梁の上で三角形が自立する骨組みのため…
曲屋(屋根と間取りの型)
主屋の一角からL字に厩が突き出した民家です。人の住む棟と馬屋を一つの屋根でつなぎ、寒い土地で馬を屋内から世話できるようにした形です。主屋からL字に折れて突き出した棟を持ち、その先に厩を納めた民家です。突出部と主屋は屋根がつながり、上から見ると鉤の手に曲がります。曲がり角の内側に土間と馬屋の入口が来るため…
中門造(屋根と間取りの型)
主屋から突き出した「中門」に、玄関や厩を納めた民家です。雪で戸が塞がる土地で、出入口を前へ押し出して確保した形になりました。主屋の平側から前へ突き出した棟を「中門」と呼び、その先端に入口を開く型です。突出部は主屋と屋根がつながり、上から見るとT字か鉤の手になります。通り土間が中門の中を貫き…
本棟造(屋根と間取りの型)
勾配のゆるい切妻を妻側から入る、長野県の民家です。棟の上には「雀おどし」と呼ぶ飾りが立ち、正面に大きな三角が構えます。勾配のゆるい切妻を正面へ向け、その妻の面に入口を開く妻入の民家です。棟は横に長く、平面は正方形に近く取られます。屋根の頂には飾りが立ち、棟の両端で反り上がります。軒が深く張り出し…
大和棟(屋根と間取りの型)
急勾配の茅葺切妻に、低い瓦屋根が段違いで続く民家です。高い主屋と低い釜屋の境に白い壁が立ち、正面が階段状に見えます。急勾配の茅葺切妻を高く上げた主屋に、瓦葺きの低い落棟が横へ続く型です。落棟の下は釜屋と呼ぶ炊事の場で、棟が一段下がるため正面は階段状になります。境目には高塀と呼ぶ白い漆喰の壁が立ち上がり…
くど造(屋根と間取りの型)
棟をコの字形にまわした、有明海のまわりの民家です。開いた側の内側に屋根の谷ができ、正面からは低い棟が横につながって見えます。屋根の棟がコの字形にまわる民家です。国指定文化財等データベースは佐賀県多久市の川打家住宅を「正面13.7m、側面8.6m、コの字形寄棟造、茅葺、背面庇付、桟瓦葺」と記しています。…
多層民家(屋根と間取りの型)
屋根裏を二階三階に使う、養蚕のための民家です。寄棟の妻側だけを垂直に切り上げて窓を開き、蚕を飼う階に日と風を入れました。一重の建物に三階分の床が入る民家です。国指定文化財等データベースは、山形県東田川郡朝日村から鶴岡市の致道博物館へ移された旧渋谷家住宅を「桁行15.4m、梁間10.9m、一重三階、寄棟造…
分棟型民家(屋根と間取りの型)
居室の棟と炊事の棟を別々に建て、屋根を分けた民家です。二棟の間には隙間があり、雨は板や樋でつないで落とします。居室棟と炊事棟を別の棟に建て、屋根を切り離した民家です。居室側を「おもて」、炊事側を「なかえ」や釜屋と呼び、二棟造、釜屋建の名でも呼ばれます。…
四間取(屋根と間取りの型)
土間を除いた床上を、田の字に四室へ割った平面です。ふだんは建具で仕切り、法事や祝いのときは外して一室に戻せる割り方で、近世後期の民家に広がりました。土間を除いた床上が、二列二室の四部屋に割れた平面です。道や庭に面した側に客を通す座敷と日常の居間が並び、その奥に寝間と納戸が控えます。四つの境はどれも壁ではなく…
通り土間(屋根と間取りの型)
表の戸口から裏まで、一直線に抜ける土間です。左右に部屋を並べても足元は切れず、荷を提げたまま奥の台所や井戸まで入れます。表の間口から裏の勝手口まで、床を張らずに突き抜ける土間です。片側に床上の部屋が並び、反対側は壁か蔵に接します。京町家では同じものを通り庭と呼び、奥へ進むにつれて店の間、台所…
卯建(外まわりの造作)
隣の家との境で、屋根より高く立ち上げる袖壁です。火が横へ移るのを止めるためのもので、頂部に瓦の小屋根を載せた例が多く残ります。隣家との境に立てて、屋根の面より高く突き出させた袖壁です。妻側の壁をそのまま延ばすものと、一階の屋根の上に短く載せるものがあり、前者を本卯建、後者を袖卯建と呼び分けます。…
虫籠窓(外まわりの造作)
町家の二階に開く、太い格子を土で塗り込めた固定窓です。開け閉めできないかわりに、明かりと風と火除けを一つの窓で引き受けます。縦に並べた太い格子を、そのまま土と漆喰で塗り込めた窓です。開口は横に長く、人が立てないほど天井の低い二階の壁に並びます。格子は塗り厚のぶん角が丸くなり、虫籠を伏せたような影が壁に落ちます。…
出格子(外まわりの造作)
外壁より前へ張り出して取り付ける格子です。道の側へ出るぶん光と風を余計に取り込み、内から通りの様子も見えます。壁の面から手前へ持ち出し、下を持送りで受ける格子です。奥行きは浅く、腰から鴨居までの高さで組み、上に小庇、下に板の底を付けて箱の形に閉じます。竪子の太さと間隔は町や商いで変わり…
海鼠壁(外まわりの造作)
平瓦を壁に張り、目地を漆喰でかまぼこ状に盛り上げた壁です。瓦が雨と火を受け止め、盛った目地が瓦の縁を押さえます。平瓦を壁面に並べて留め、継ぎ目を漆喰で太く盛り上げた壁です。盛り上がりの断面が海鼠に似ることが名の由来で、白い線が黒い瓦の上を格子に走る見え方になります。割付は土地で変わり、瓦を斜めに置く四半張り…
長屋門(外まわりの造作)
門の両脇を部屋にして、長屋と門を一棟にまとめたものです。中央の通路が門にあたり、左右は住まいや納屋として使われます。横に長い一棟の中央を通路にして、左右を部屋で埋めた門です。棟は横一直線に通り、通路の上まで同じ屋根がかかります。両脇の壁には格子窓が並び、内側には床を張った部屋が入ります。扉は中央の一間から二間に収まり…
煙出し(外まわりの造作)
棟の上に載せた小さな屋根と、その下の開口です。屋内の煙や熱や湯気を、屋根のいちばん高いところから外へ逃がします。大屋根の棟をまたいで載せた小屋根と、その真下に開けた口です。側面は板の隙間や格子、動く羽板で塞がれ、雨を入れずに空気だけを抜きます。大きさは棟の一部を覆う小さなものから…
大戸口(外まわりの造作)
土間へ開く、家でいちばん大きな出入口です。厚い板戸の大戸を引き、その一枚に切った潜り戸を、ふだんの出入りに使います。土間の妻側や平側に開く、間口の広い出入口です。鴨居は頭よりずっと高く、笠をかぶり荷を提げたまま通れる高さと幅を取ります。ここに立てるのが厚い板戸の大戸で…
ヒンプン(外まわりの造作)
門と主屋のあいだに、独立して立てる目隠しの塀です。沖縄県の民家に見られ、外から座敷を見通させないことと、風の流れを分けることを一枚で受け持ちます。門を入ってすぐ、主屋の正面に離れて立つ一枚の塀です。建物にも門にも接しておらず、屋根も戸も持ちません。琉球石灰岩を積んだもの、漆喰で塗り固めたもの…
雁木(町並みの構え)
主屋の前に庇を張り出して作る、雪の日の通り道です。家ごとに架けた庇が隣どうしつながり、通りの片側に屋根のある道ができます。主屋の正面から道の側へ庇を張り出し、その下を通路にしたものです。庇は柱と腕木で受け、人が立って歩ける高さを確保します。一軒ぶんの長さは間口と同じで…
土蔵造の町家(町並みの構え)
柱を土で塗り込め、外から見える木を無くした町家です。大火のあとに防火のねらいで建てられ、通りに面した店をそのまま蔵の造りで包みます。柱も貫も土の中に隠し、壁の面だけが外へ現れる大壁の町家です。壁は柱の外側にさらに土を重ねるぶん厚くなり、窓と出入口は分厚い扉で塞げるように作ります。軒下には水平の鉢巻が回り…
屋敷林(町並みの構え)
屋敷のまわりに、風と雪を防ぐために植え育てた木立です。同じものが土地ごとに違う名で呼ばれ、出雲平野では築地松、砺波平野ではカイニョと言います。屋敷の敷地の内側に、家を囲うように植えた木立です。多くは家より高く育て、冬の風が来る西側と北側に厚く寄せます。樹種は気候で分かれ、日本海側ではスギ、平野部ではケヤキやマツ…
短冊型の地割(町並みの構え)
通りに面した間口が狭く、奥へ深く伸びる敷地の割り方です。町家の平面も通り土間も、この細長い区画に合わせて決まります。通りに直角の細長い区画が、道に沿って並んだ割り方です。間口に対して奥行きが何倍もあり、表に店、中ほどに住まい、奥に蔵や庭が一列に並びます。隣との境は平行に走り、通り土間が表から裏まで一本通ります。…
宿場町の構え(町並みの構え)
街道に沿って建ち並び、道の形が町の骨格になった町です。本陣や脇本陣、旅籠が道の両側に並び、町の端で道が鍵の手に折れます。一本の街道の両側に、町家が軒を接して並ぶ町です。建物は道に沿って平入で建ち、出入口も窓も道の側を向きます。道は町の端で直角に折れ、枡形虎口と同じ形で見通しを切ります。…
武家町の構え(町並みの構え)
通りに面するのが塀と門で、家は敷地の奥に建つ町です。城下町の侍屋敷の地割がそのまま残り、道からは屋根と樹木の頭だけが見えます。道の両側を塀と生垣が続き、その切れ目に門が開く町です。敷地は一軒ごとに広く割られ、主屋は門から離れた奥に建ちます。道から見えるのは塀と門と、塀越しの屋敷林や庭木の頭で…