分棟型民家
屋根と間取りの型
居室の棟と炊事の棟を別々に建て、屋根を分けた民家です。二棟の間には隙間があり、雨は板や樋でつないで落とします。
どんな形か
居室棟と炊事棟を別の棟に建て、屋根を切り離した民家です。居室側を「おもて」、炊事側を「なかえ」や釜屋と呼び、二棟造、釜屋建の名でも呼ばれます。国指定文化財等データベースでは鹿児島県の旧増田家住宅が「おもて」と「なかえ」の二棟で指定され、静岡県の鈴木家住宅釜屋のように炊事棟だけが名を持つ例もあります。二棟の間は板や樋でつなぎ、雨が屋内へ落ちないようにします。
なぜその形になったか
火と熱です。炊事の火と煙を、寝起きする棟から離すために屋根を切りました。棟を分ければ火が出ても居室側へ回りにくく、夏の熱と煙も居室に入りません。炊事棟の屋根には煙出しが上がる例が多く、煙は居室を通りません。暑い土地に多いのはこのためで、南九州から南西諸島、太平洋側の温暖な地域に分布します。傷んだ側だけを建て直せるのも利点でした。
見分けの決め手
二つの屋根の間に、空の見える隙間があるかを見ます。分棟型では棟がつながらず、軒どうしが向かい合って谷になります。大和棟の落棟は棟が続いたまま高さだけ落ちるので、間が切れません。鹿児島県の旧増田家住宅では「おもて」と「なかえ」が別の建物として並び、沖縄県の旧与那国家住宅も同じ構えです。屋根を葺く材が二棟で違う例もあり、正面より横から見た方が分かります。
取り違えやすい相手
大和棟の落棟です。高さは変わっても屋根が一続きなら大和棟、屋根そのものが二つに割れていれば分棟型という違いです。正面から見ると似ますが、横へまわれば屋根の間に隙間があるかで決まります。奈良県や大阪府の大和棟に対し、分棟型は静岡県、鹿児島県、沖縄県と暖かい土地に散らばります。くど造は棟がコの字に続く別の型で、これも隙間が空きません。
どのあたりで見られるか
九州南部から南西諸島、それに太平洋側の温暖な地域に残ります。国指定文化財等データベースでは鹿児島県の旧増田家住宅、沖縄県の旧与那国家住宅、静岡県の鈴木家住宅釜屋が拾えます。茨城県から神奈川県川崎市の川崎市立日本民家園へ移された旧太田家住宅も分棟型で、重要文化財に指定されています。関東でもこの構えを見られます。現に住まわれている家は道から見るにとどめます。