中門造

屋根と間取りの型

主屋から突き出した「中門」に、玄関や厩を納めた民家です。雪で戸が塞がる土地で、出入口を前へ押し出して確保した形になりました。

どんな形か

主屋の平側から前へ突き出した棟を「中門」と呼び、その先端に入口を開く型です。突出部は主屋と屋根がつながり、上から見るとT字か鉤の手になります。通り土間が中門の中を貫き、そのまま主屋の土間へ抜けます。突き出す数は家によって違い、片側だけのものと左右に二つ持つものがあります。国指定文化財等データベースには、山形県の近岡家住宅主屋、新潟県の松坂家住宅主屋、旧飯田家住宅主屋が中門造として並びます。

なぜその形になったか

雪です。根雪が春まで残る日本海側では、主屋の壁に直に開けた戸が積もった雪で塞がります。前へ突き出した中門の先端に入口を作れば、屋根から落ちた雪の山より前で戸を開けられます。町では通りに雁木を差し掛けて雪を避けましたが、一軒ずつ建つ農家では入口を前へ出す形が取られました。突出部は受け持ちで名が分かれ、前中門は玄関と客を迎える側、後中門は厩や水回りを納めます。

見分けの決め手

突き出した棟の先端に入口があるかどうかが決め手です。中門造では先端の妻面に大戸口が開き、そこから入った土間が主屋まで通ります。厩を納める後中門でも、人の出入りは先端です。屋根は主屋の切妻造から中門の小さな屋根へ段を落として下り、正面から見ると棟が二段になります。中門が左右どちらか一方だけの家が多く、突き出す長さは主屋の奥行きより短く収まります。

取り違えやすい相手

曲屋です。突き出した棟を持つところは同じで、先を見て人の入口があれば中門造、壁で閉じて厩になっていれば曲屋という順に確かめます。中門造は通り土間が突出部を貫きますが、曲屋の土間は主屋の側で止まります。岩手県に多い曲屋に対し、中門造は山形県や新潟県に集まり、秋田県では両方が現れます。入口の位置が最後の決め手です。

どのあたりで見られるか

秋田県から山形県、新潟県にかけての日本海側と、その山あいに集まります。国指定文化財等データベースでは山形県の近岡家住宅主屋、新潟県の松坂家住宅主屋、旧飯田家住宅主屋が中門造として記されています。雪の残る早春なら、中門の先端まで雪が寄せられた様子まで見えます。移築されて公開されている家では、突出部の内側を通って主屋へ抜ける通り土間の続きぐあいまで見取れます。