海鼠壁

外まわりの造作

平瓦を壁に張り、目地を漆喰でかまぼこ状に盛り上げた壁です。瓦が雨と火を受け止め、盛った目地が瓦の縁を押さえます。

どんな形か

平瓦を壁面に並べて留め、継ぎ目を漆喰で太く盛り上げた壁です。盛り上がりの断面が海鼠に似ることが名の由来で、白い線が黒い瓦の上を格子に走る見え方になります。割付は土地で変わり、瓦を斜めに置く四半張り、縦横にそろえる馬乗り目地などがあります。文化遺産オンラインの見出しは「海鼠壁」で、画面でよく見る「なまこ壁」は表記のゆれとして並びます。

なぜその形になったか

土壁の表面を、瓦と漆喰の二重で守るためです。土は雨に流され火にも弱いので、外側に瓦を張れば雨のかかる面が硬くなり、火の粉も受け止められます。瓦を並べただけでは継ぎ目から水が回るため、目地を厚く盛って縁を押さえます。蔵や町家の腰まわりに多いのは、はね返りの雨と通りの火をいちばん受ける高さだからです。腰から下だけを瓦で覆い、上を白漆喰で仕上げる塗り分けが多いのも、同じ理由によります。

見分けの決め手

瓦の割付が表に出ているか、目地が盛り上がっているかでまず見当をつけます。白い線が45度の格子なら四半張り、縦横の直線なら馬乗り目地です。腰だけを覆うか壁の全面に張るかも分かれ、腰の高さで切れているなら下見板張りとも見比べます。同じ模様を型で押した近年の仕上げもあるため、瓦の厚みぶんの影が目地の脇に出るかを、日の低い時間に確かめます。

取り違えやすい相手

下見板張りと、白漆喰の大壁が相手です。表面に瓦の割付が出ているかが分かれ目で、下見板は横板を重ねるため水平の線だけが並びます。白漆喰の大壁は継ぎ目が見えず、面が滑らかに続きます。腰を板、上を漆喰と塗り分けた蔵も多く、海鼠壁と同じ高さに別の仕上げが来ます。石川県の金沢城石川門では、櫓と塀の壁面に瓦と漆喰の割付が回ります。

どのあたりで見られるか

蔵の並ぶ町と、港の町に多く残ります。静岡県松崎町の岩科学校は外壁に瓦と漆喰の割付を見せる建物で、同じ静岡県の下田市にも同種の壁が続きます。岡山県倉敷市の倉敷川畔では土蔵の腰に、石川県の金沢城石川門では城の壁に用いられます。海鼠壁の語を含む解説は文化遺産オンラインに398件あり、その多くが蔵と町家です。壁の正面ではなく、斜め横から光の当たる面を見ると割付が読み取れます。