くど造

屋根と間取りの型

棟をコの字形にまわした、有明海のまわりの民家です。開いた側の内側に屋根の谷ができ、正面からは低い棟が横につながって見えます。

どんな形か

屋根の棟がコの字形にまわる民家です。国指定文化財等データベースは佐賀県多久市の川打家住宅を「正面13.7m、側面8.6m、コの字形寄棟造、茅葺、背面庇付、桟瓦葺」と記しています。コの字の開いた側の内側には屋根の谷ができ、そこへ二方向から雨が集まります。棟の高さは低く抑えられ、寄棟造の面が三方から下ります。福岡県うきは市の平川家住宅主屋も同じ形で、重要文化財です。

なぜその形になったか

風です。台風と季節風の当たりが強い有明海のまわりでは、高い棟や広い妻の面ほど風を受けます。棟を低く抑えてコの字にまわせば、寄棟の斜面が四方へ風を逃がします。強風に耐えるために成立したとする説があり、1828年の大風で家屋が多く倒れたあとに広まったとする見方も出されていますが、どちらもまだ定説になっていません。名はかまど(くど)に形が似ることから来たとされます。

見分けの決め手

棟をたどって、途中で直角に折れて戻るかを見ます。くど造の棟は一本ではなく、コの字に折れて二本が平行に並ぶ形になります。屋根は寄棟造で、切妻の妻の面が正面に立ちません。国指定文化財等データベースは川打家住宅を「屋根をコの字形にまわしたいわゆる『くど造』民家で小型ながらこの系統では質が良く古い」と記し、続けて福岡県などのものとは構造や意匠が違うとも書いています。同じ名でも土地ごとに造りが揃いません。

取り違えやすい相手

分棟型民家です。棟がつながっているのがくど造、棟が切れて建物が分かれるのが分棟型で分けます。上から見ればどちらも二列に見えますが、屋根の谷が続くか、間に空の見える隙間が空くかが違います。鹿児島県の旧増田家住宅は、居室と炊事の二棟がそれぞれ名を持って指定されています。奈良県の大和棟は棟が段違いに落ちるだけで、途中で折れることはありません。

どのあたりで見られるか

佐賀県、福岡県、熊本県の有明海のまわりに分布し、大分県では日田市に少数が確かめられています。重要文化財では佐賀県多久市の川打家住宅、福岡県うきは市の平川家住宅主屋があり、同じ系統でも県が違えば構造や意匠が違うと解説されています。残る数は多くありません。棟を分ける分棟型民家が主の南九州とは、県境をまたぐと型が入れ替わります。