本棟造

屋根と間取りの型

勾配のゆるい切妻を妻側から入る、長野県の民家です。棟の上には「雀おどし」と呼ぶ飾りが立ち、正面に大きな三角が構えます。

どんな形か

勾配のゆるい切妻を正面へ向け、その妻の面に入口を開く妻入の民家です。棟は横に長く、平面は正方形に近く取られます。屋根の頂には飾りが立ち、棟の両端で反り上がります。軒が深く張り出し、正面の三角が大きく見えます。長野県松本市の馬場家住宅、塩尻市の堀内家住宅、安曇野市の曽根原家住宅がこの形で、いずれも重要文化財です。国指定文化財等データベースには米山家住宅主屋、平林家住宅主屋も並びます。

なぜその形になったか

屋根を葺く材が決めました。板を並べて石で押さえる屋根では、急勾配にすると石も板も滑るため、水平10に対して高さ3から4という緩い勾配で葺きます。雪は落とさず載せたまま持たせる考えで、太い梁と柱で受けました。明治以降に桟瓦葺へ替わっても勾配はそのまま残り、形だけが受け継がれます。妻を正面にしたのは、間口の限られた屋敷でも構えを大きく見せられるためです。

見分けの決め手

正面の三角に、棟飾りが立っているかを見ます。飾りは棟の端を押さえるもので、板を組んだ小さな門のような形をしています。呼び名は「雀おどし」と「雀踊り」が並び、まだ一つに定まっていません。屋根は反りが少なく、軒先まで直線で下ります。懸魚が下がる社寺の妻とは違い、破風の下には格子や小窓が並びます。横に長い三角と、その頂の飾りがそろえば、この型と見てよい造りです。

取り違えやすい相手

同じ妻入の切妻民家です。勾配のゆるさと棟飾りの有無で分けます。奈良県や大阪府の大和棟も切妻ですが、主屋は急勾配の茅葺で、低い瓦屋根が横へ続きます。新潟県の中門造は突き出した棟が付き、妻の面の構えが違います。屋根が急で棟に飾りが無ければ、この型とは呼ばれません。飾りの有無を先に見て、次に勾配を確かめる順が迷いません。

どのあたりで見られるか

長野県の中信地方から南信地方、松本平から伊那谷にかけて分布します。重要文化財では松本市の馬場家住宅、塩尻市の堀内家住宅、安曇野市の曽根原家住宅と、市町村を分けて残ります。型が長野県内に限られ、地方をまたぐ実例が取れないのがこの項目の弱いところです。県境を越えた岐阜県では合掌造、新潟県では中門造が並び、県ごとに型が入れ替わります。