通り土間

屋根と間取りの型

表の戸口から裏まで、一直線に抜ける土間です。左右に部屋を並べても足元は切れず、荷を提げたまま奥の台所や井戸まで入れます。

どんな形か

表の間口から裏の勝手口まで、床を張らずに突き抜ける土間です。片側に床上の部屋が並び、反対側は壁か蔵に接します。京町家では同じものを通り庭と呼び、奥へ進むにつれて店の間、台所、奥庭と受け持ちが変わります。見上げると屋根裏まで火袋と呼ぶ吹抜けが立ち上がり、太い梁が現れます。福井県の旧京藤家住宅主屋のように、造り酒屋や商家の主屋で長く取られます。

なぜその形になったか

通り道と作業場と火の始末を、同じ土間にまとめたためです。表で客を受け、奥で煮炊きし、裏から水と薪を入れる動きが一本の線に乗るので、履物のまま端から端まで通れます。竈の煙と熱は上の火袋へ抜け、煙出しや天窓から外へ出ます。町家は間口が狭く奥が深い敷地に建つため、横へ広げられないぶんを縦の通路で解いた形だとも説明されます。

見分けの決め手

裏まで抜けているかどうかが決め手です。表から入って正面に壁や板の間があれば作業土間、視線が奥の明かりまで届けば通り土間です。天井を見上げて小屋組がむき出しの吹抜けが続くこと、片側に大戸口から続く敷居が一本通ることも手がかりになります。改装で途中を床にした家では通りが切れるので、梁の連なりと踏み固めた土の色で元の線をたどります。

取り違えやすい相手

農家の作業土間(ニワ)が相手です。奥で行き止まりになり、脱穀や藁仕事の場として広く取られているのがニワで、裏へ抜ける口を持ちません。間口の方向に広く、正方形に近いなら作業土間を疑います。四間取の民家では土間が家の片側を占め、通り抜けよりも面積のほうが要ります。通り土間の途中に大きな竈場が広がる町家もあるため、幅ではなく端の口で判断します。

どのあたりで見られるか

間口の狭い町家が肩を寄せて並ぶ町に残ります。福井県の旧京藤家住宅主屋、京都府の杉本家住宅は、いずれも表から裏へ通る土間を持つ建物として公開されています。奈良県橿原市今井町の今西家住宅でも、土間が建物の奥まで深く取られます。文化遺産オンラインでは通り土間の語が213件の解説に出てきます。入口の敷居に立ち、奥の明かり取りまで視線が抜けるかをまず見ます。