大和棟

屋根と間取りの型

急勾配の茅葺切妻に、低い瓦屋根が段違いで続く民家です。高い主屋と低い釜屋の境に白い壁が立ち、正面が階段状に見えます。

どんな形か

急勾配の茅葺切妻を高く上げた主屋に、瓦葺きの低い落棟が横へ続く型です。落棟の下は釜屋と呼ぶ炊事の場で、棟が一段下がるため正面は階段状になります。境目には高塀と呼ぶ白い漆喰の壁が立ち上がり、茅と瓦を分けます。奈良県は中家住宅主屋の形式を「大和棟(高塀造り)」「切妻造段違」と記しており、切妻造が段違いに続く形と読めます。大阪府の河野家住宅主屋も同じ構えです。

なぜその形になったか

火と煙のためです。炊事の火は茅葺の下で最も危ないため、竈のある側だけ屋根を低くして瓦で葺き、高塀の漆喰壁で主屋の茅へ火が回るのを遮ります。低い落棟には煙出しが開き、煙は主屋を通らずに抜けます。主屋を急勾配にしたのは茅葺で雨を早く流すためで、瓦の落棟は緩くできます。大正期より前は高塀造と呼ばれ、大和棟の名は後から広まって、今も両方が使われます。

見分けの決め手

棟が段違いに切り替わる境目を見ます。大和棟では主屋と落棟の棟がつながったまま高さだけ落ち、境に白い高塀が立ちます。屋根を葺く材も変わり、上が茅、下が瓦です。茅葺と桟瓦葺が一軒の中で並ぶのが目印で、奈良県の南家住宅主屋、京都府の吉岡家住宅主屋にも同じ切り替わりが見られます。主屋の妻の面は白い漆喰で塗られることが多く、茅の小口が見えません。

取り違えやすい相手

分棟型民家とくど造です。棟が続いたまま段違いに落ちるのが大和棟、棟が切れて別の屋根になるのが分棟型が境になります。くど造では棟がコの字にまわり、段違いにはなりません。大阪府の松宮家住宅主屋のように、落棟が主屋と一体で建つ姿を見れば区別できます。静岡県や鹿児島県に多い分棟型とは、屋根と屋根の間に空が見えるかで決まります。

どのあたりで見られるか

奈良盆地を中心に、大阪府の南部から京都府の南部にかけての近畿に残ります。国指定文化財等データベースでは奈良県の中家住宅主屋と南家住宅主屋、大阪府の河野家住宅主屋と松宮家住宅主屋、京都府の吉岡家住宅主屋が拾えます。午後の低い日ざしでは高塀の白が影を落とし、段の切り替わりが読めます。住まいとして使われている家が多く、外からの見学にとどめます。