ヒンプン
外まわりの造作
門と主屋のあいだに、独立して立てる目隠しの塀です。沖縄県の民家に見られ、外から座敷を見通させないことと、風の流れを分けることを一枚で受け持ちます。
どんな形か
門を入ってすぐ、主屋の正面に離れて立つ一枚の塀です。建物にも門にも接しておらず、屋根も戸も持ちません。琉球石灰岩を積んだもの、漆喰で塗り固めたもの、フクギなどを刈り込んだ生垣仕立てと土地で分かれ、高さは立った目線を越え、主屋の軒までは届かないあたりに収まります。文化遺産オンラインでは新垣家住宅ヒンプン、屋宜家住宅ヒンプンのように、塀そのものが一件の建造物として名を持ちます。
なぜその形になったか
風を分けることと、外からの視線を止めることを、一枚で引き受けるためです。屋敷の正面を開けたまま内側に塀を立てると、門から入った風は左右へ回り、座敷に直に吹き込みません。同時に、道から座敷の中が一直線に見通せない状態が保たれます。左右のどちらを通るかを人によって使い分けたという説明も伝えられますが、地域や家で言い方が違い、定まっていません。
見分けの決め手
建物にも門にも取り付かず、単独で立っているかが決め手です。上を見て瓦や板の屋根が載っていなければこの塀で、屋根と扉があれば門になります。左右の端は壁に届かず、両側に人が通り抜けられる隙間が空きます。主屋の正面からわずかにずらして立てる例もあり、門の内へ入って振り返らないと全体が見えないことがあります。積み方や材は土地で変わるため、素材だけで見分けることはできません。
取り違えやすい相手
屋敷を囲う塀と、門そのものが相手です。塀は敷地の境をめぐって外と内を仕切りますが、この塀は境の内側に離れて立ちます。本土で入口を締めるのは長屋門のような建物で、屋根と扉を持ち、脇が部屋になります。秋田県仙北市角館町や山口県萩市堀内地区の武家町では、門と塀が通りに面して連なります。生垣仕立てのものは生垣と紛れるため、敷地の境まで続くかどうかで分けます。
どのあたりで見られるか
この型式は沖縄県の民家に限られます。他の都道府県に同じものが分布しないため、地方の異なる実例を並べることができず、県内の別々の建物で挙げます。文化遺産オンラインでヒンプンの名を持つ建造物は6件で、新垣家住宅ヒンプン、大盛家住宅ヒンプン、沖縄市立ふるさと園旧久場家住宅ヒンプンが並びます。門を入って振り返る位置に立つと、塀と主屋の間隔が読めます。