屋敷林

町並みの構え

屋敷のまわりに、風と雪を防ぐために植え育てた木立です。同じものが土地ごとに違う名で呼ばれ、出雲平野では築地松、砺波平野ではカイニョと言います。

どんな形か

屋敷の敷地の内側に、家を囲うように植えた木立です。多くは家より高く育て、冬の風が来る西側と北側に厚く寄せます。樹種は気候で分かれ、日本海側ではスギ、平野部ではケヤキやマツ、沖縄県ではフクギが選ばれます。手入れは下枝を落として幹を通し、上端を水平に刈りそろえる形が多く、屋根の面と木の上端が一続きに見えます。文化遺産オンラインでは石川県の中谷家住宅の解説に屋敷林の記載があります。

なぜその形になったか

遮るものの無い平野で、風と雪から家を守るためです。冬の季節風が直に当たる土地では、吹きだまりが家の周りにできます。西と北に木を立てると風は上へ逃げ、雪は屋敷の外側に落ちます。夏は西日を切り、木陰が家の周りを冷やします。育った木は建て替えや修理の材に、落ち葉や枝は燃料に回されたので、防風の壁であると同時に、家の材木置き場でもありました。

見分けの決め手

木立が敷地の内側にあり、刈り込まれているかを見ます。屋敷林は上端も側面も人の手で切りそろえられ、家の輪郭に沿って直線が出ます。放っておいた雑木林とは縁の形が違います。立つ位置を変えて西側と北側だけ厚いなら屋敷林の側です。山形県の旧安部家住宅のように、主屋と屋敷まわりが一体で伝わる例もあり、建物と木を一組で見るのが読み方になります。

取り違えやすい相手

集落の外に置く防風林と、生垣が相手です。防風林は敷地の外にあり、集落や耕地をまとめて守ります。境界の内か外かで役目が分かれ、屋敷林は一軒ごとに、その家のために立ちます。生垣は目の高さで刈り止める低い列で、屋根を越えません。沖縄県の具志頭のフクギ並木のように、家々の木立が並んで道の並木のように見える例もあり、境目は写真だけでは決めにくいところです。

どのあたりで見られるか

風の強い平野に残ります。島根県の出雲平野では築地松、富山県の砺波平野ではカイニョ、宮城県の仙台平野ではイグネと、一つの木立が土地ごとに別の名で通っています。文化遺産オンラインで屋敷林を引くと40件が当たり、石川県の中谷家住宅、静岡県の高林家住宅と地方が分かれます。平野の道から家の西側へ回り込み、木の厚みを横から見ると役目が読めます。敷地には入らず、道から見ます。