装置と部品図鑑

メディアベッド(育てる床の型)

培地そのものが、ろ過槽を兼ねます。ゴミを受け止めるのも硝化菌が住むのも同じ粒なので、別立てのろ過槽を持たずに組める型です。培地そのものが、物理ろ過と生物ろ過の両方を兼ねる床です。粒の隙間が魚の出した固形物を受け止め、粒の表面には生物ろ過の担い手が住みつきます。受け止めた固形物はそこで分解され…

培地(育てる床の型)

石灰岩や大理石の粒は使えません。溶けてpHを押し上げるためで、選ぶのはpHを動かさない多孔質の粒——焼いた粘土や軽石です。根を支えながら水と空気を通し、硝化菌が付く表面積を出す粒です。FAO 589 の目安では火山礫が300〜400m²/m³、軽石が200〜300m²/m³、焼成粘土が250〜300m²/m³。…

DWC(浮き床の水耕)(育てる床の型)

根を水に浸けたまま育てる型です。水量が大きいぶん水温とpHは動きにくく、代わりに水中の酸素が切れると根はその日のうちに傷みます。板を浮かべ、根を水にぶら下げたまま育てる型です。水深は30cmが FAO 589 の目安で、水量が大きいぶん水温とpHの振れが小さく、養分も切れにくくなります。培地を持たないので…

NFT(薄膜水耕)(育てる床の型)

水を薄く流し、根の上半分を空気に触れさせます。水量が少ないので軽く組める代わりに、止まれば数時間で乾き、夏は管の中の水温が上がります。管の底を水が薄く流れ、根の上半分は空気に触れる型です。根が酸素を取りやすく、水が日に当たらないので蒸発も少なくて済みます。水量が少なく軽いぶん、棚や壁、ベランダの手すりにも並べられます。…

垂直タワー(育てる床の型)

同じ床面積に、株を縦に並べる型です。上から下へ水を落とすので背の低い葉物向きで、上下で濡れ方が変わることと管の内側の藻が付いて回ります。同じ床面積に、株を縦に並べる型です。上から水を落として下段まで通すので、リーフレタスのような背の低い葉物やハーブが向きます。日は横から差すことになり…

ネットポットと定植パネル(育てる床の型)

株を支えるのは土ではなく、穴と籠です。ネットポットの網目から根が水へ抜け、パネルの穴径と穴の間隔が、そのまま株間になります。株を支えるのは土ではなく、穴と籠です。網目から根が水へ抜け、籠に詰めた粒が苗を立たせます。パネルは同時に水面を覆って光を遮る蓋でもあり、穴の径と間隔が、そのまま株間になります。…

水中ポンプ(水を回す部品)

流量ではなく、揚程で選ぶ部品です。表示の毎分◯Lは落差ゼロのときの値で、汲み上げる高さが増えるほど実際に出る量は落ちます。魚槽の水をろ過部と床へ送り、系をひとつながりの流れに保つ部品です。魚が出したものは水に溶けて散らばるだけなので、運ぶ力が無ければ床の菌にも根にも届きません。…

ベルサイフォン(水を回す部品)

電気を使わずに、床の水位を上下させます。溜まった水が決めた高さに届くと勝手に抜け、引いた分だけ根と硝化菌に空気が入ります。床が満ちて立ち上げ管の頭を越えると吸い出しが始まり、底まで抜けると空気が入って止まる、電気も合図も要らない仕掛けです。抜けたあとの隙間に空気が入り、根と菌はそこで息をします。FAO 2014 は…

バルクヘッド継手(水を回す部品)

槽に穴を開けて、水を外へ通す部品です。内側と外側からパッキンで挟んで締めるだけで止まり、これを省いた自作はまず接合部から漏れます。槽の壁や底に開けた穴を、漏れない出入口に変える部品です。槽を切ったり底を抜いたりせずに、配管の口を足せます。内側と外側から挟んで締めるので、水が押す向きが変わっても効きます。…

塩ビ管と継手(水を回す部品)

VPとVUは、厚みの違う別の管です。同じ呼び径でも肉厚と使える圧力が違い、継手の規格も分かれるので、混ぜて組むと後から効いてきます。水の通り道と、その曲がり・分かれ目を作る材です。エルボで向きを変え、チーズで分け、ソケットでつなぎ、槽を貫く所はバルクヘッド継手が受け持ちます。…

ボールバルブ(水を回す部品)

ポンプの余った力を、逃がすための弁です。全開と全閉の間で止められるので、床が複数あるときの分け方をここで合わせます。ポンプが出す力を、行き先ごとに配る弁です。FAO 2014 の設計例では、ポンプの先をY字で分け、8割を魚槽へ、2割を樋や床へ送る配分を弁で決めています。全開と全閉の間で止められるので…

沈殿槽(水を回す部品)

魚の糞を、植物へ回す前に落とす槽です。固形物が床に溜まると水の通り道が塞がり、酸素の届かない場所ができます。魚の糞と食べ残しを、植物側へ送る前に沈めて抜く槽です。溶けた窒素は菌が扱いますが、粒のまま流れるものは沈めて外へ出すしかありません。FAO 2014 は、清澄槽で取り除ける固形物の最大6割まで落とせるとし…

生物ろ材(水を回す部品)

硝化菌に、住む場所を用意する材です。表面積の大きい多孔質の粒やリングを水の通り道に置き、洗いすぎれば菌ごと流れます。生物ろ過の担い手である硝化菌に、住みつく面を用意する材です。溶けた窒素は網でこせないので、面積を増やして菌に処理させます。菌は水中を漂うのではなく面に膜を作って着くため、面積がそのまま処理の量になります。…

くり返しタイマー(水を回す部品)

ポンプを、時間で入り切りする道具です。サイフォンを使わない床で湛水と排水を作る方法で、分単位で刻めるものが要ります。床への給水を時間で入り切りし、湛水と排水を作る道具です。FAO 2014 のタイマー方式は、立ち上げ管の下に径6〜12 mmの小穴を開け、満ちたら電源を切って小穴から抜き、抜けきったら再び送ります。…

エアポンプ(空気を送る部品)

魚と硝化菌の両方が、酸素を使います。水面の揺れで足りるのは水量が少ないうちで、餌の量と水温が上がるほど送る量が要ります。水に空気を押し込み、一つの水を分け合う三者へ酸素を配ります。魚のためだけの部品ではありません——魚が使う酸素、硝化に要る酸素、根が使う酸素が同じ水から同時に引かれます。…

エアストーン(空気を送る部品)

泡は、細かいほど水に溶けます。素焼きの目は使ううちに詰まり、同じポンプでも送れる量が静かに落ちていきます。ポンプが送る空気を細かい泡に割り、水と触れる面積と、浮き上がるまでの時間を稼ぐ部品です。Al-Ahmady 2006 が水道水の小型槽の実測に、水深1.4〜6.0 mの実プラントの公表値を合わせて整理したところ…

逆流防止弁(空気を送る部品)

止まった瞬間に、水がポンプへ戻ります。ポンプを水面より低い位置に置くなら、この弁が無い日は一度の停電で内部まで水が入ります。空気を一方向にだけ通し、止まったときの逆流をせき止める弁です。指先ほどの大きさで、動く部分はほとんどありません。動いている間はチューブの中が空気で押されていますが、止まると押す力が消え…

乾電池式エアポンプ(空気を送る部品)

停電のとき、最初に止まるのは空気です。魚が水量に対して多いほど余裕は短く、電池で動く一台が、気づいて手を打つまでの時間を作ります。電源が落ちた日と、水を移すときに使う予備の送気です。Khater ら 2021 の150 m³水槽では、魚の呼吸だけで12.04〜47.53 g/m³・hの酸素が引かれていました。…

pH計(測る道具)

校正しない計は、数字を出しても値ではありません。標準液で合わせる手間まで含めて道具で、電極を乾かせばそこで寿命が終わります。pHは魚と硝化菌と植物の三方に同時に効く数字です。低いほうへ寄れば植物は鉄を吸いやすくなり、高いほうへ寄ると同じアンモニア量でも毒性の強い型が増えます。硝化が出す酸が休みなく溜まるので…

水質試験キット(測る道具)

アンモニアと亜硝酸は、水を見ても分かりません。色で読む試薬と試験紙があり、立ち上げの時期はこの2つを毎日追うことになります。試薬を垂らして色に変え、色見本と比べて読む道具です。アンモニアの試験が返すのは総アンモニア態窒素(TAN)で、毒性の強い型とそうでない型を足した量にあたります。…

水温計(測る道具)

水温は、酸素の溶ける量と魚の食欲を同時に動かします。1日の最高と最低が残る型なら、留守のあいだに何度まで上がったかが分かります。水温は酸素の溶ける上限と、アンモニアの毒性と、魚の食欲を一度に動かす数字です。水温が上がるほど、水が抱えられる酸素の上限は小さくなりますので、同じ量の空気を送っていても…

溶存酸素計(測る道具)

酸欠は、朝いちばんに起きます。夜のあいだ魚も菌も根も酸素を使うので、測るなら日の出前で、昼の値だけでは足りているかは分かりません。酸素は魚と菌と根が同じ水から取り合っています。FAOの指針(2014年)は魚に4〜5 mg/L、硝化に要る酸素の最適を4〜8 mg/Lとし…