メディアベッド
育てる床の型
培地そのものが、ろ過槽を兼ねます。ゴミを受け止めるのも硝化菌が住むのも同じ粒なので、別立てのろ過槽を持たずに組める型です。
何のためのものか
培地そのものが、物理ろ過と生物ろ過の両方を兼ねる床です。粒の隙間が魚の出した固形物を受け止め、粒の表面には生物ろ過の担い手が住みつきます。受け止めた固形物はそこで分解され、根が吸える形の養分に変わっていきます。別立ての沈殿槽や生物ろ材を持たずに一つの槽で組めるのはこのためで、FAO 589 は小規模で最も広く使われる型として挙げています。
選ぶときに見るところ
深さが、育てられる作物を決めます。果菜なら30cm、葉物なら15〜20cmが FAO 589 の目安で、浅い床では大きい株の根が張れずに倒れます。形は幅1m前後、長さ1〜3mの長方形が標準で、向こう側まで手が届く幅にとどめます。重さも先に見ておくところで、培地は槽の容積の30〜60%を占め、残りが水になります。1000Lの槽なら水だけで400〜700L入り、その重さがそのまま床にかかります。
使いかたと手入れ
湛水と排水をくり返す組み方が一般的で、ベルサイフォンかタイマーを使い、1時間に1〜2回、または1日3〜4回まわします。上2〜5cmは水に浸けず、乾いた層として光を遮ります。入口側に汚泥がたまる、水がしみ込まないのは詰まりの兆しです。床1m²あたりの餌が1日50gを超えるなら、別に物理ろ過を足します(FAO 589)。
無いとどうなるか
固形物を止める場所と硝化菌の住処が、同時に消えます。生物ろ材を別に用意しない限り、まずアンモニアが下がらない、続いて亜硝酸のほうへ進みます。詰まったまま使った床でも同じことが起き、水の通らない場所から酸素が尽きて、培地の底に黒い泥がたまるが出ます。魚の側の症状より先に、床の底が変わります。
解説動画: アクアポニックスで最も利用されるメディアベッド/アクアポニックス大学
培地が兼ねる三役: 動画は、メディアベッドを培地そのものが三つの役をこなす床だと説明します。根を支えること、魚のフンを受け止める物理ろ過、そして生物ろ過の担い手である微生物が増えてフンを分解する生物ろ過の三つです。別のフィルターを置かずに済むぶん配管が最低限で済み、水漏れも起きにくいと述べ、室内に置く形でもよく選ばれると続けます。
使える粒の種類: 挙がる培地は、粘土を高温で焼いて発泡させた粒、10kgでおよそ20Lになる溶岩の砂利、瓦のチップ、そして砂利の四つです。溶岩は多孔質で軽く、ハワイでよく使われると紹介し、瓦も多孔質で手に入れやすいと述べます。砂利は重いうえに多孔質ではないので、管理の仕方でおぎなう形になります。
選ぶときの見どころ: 選び方の目安も並びます。pHを動かさず、腐らない素材であること、水を溜め込まず排水がよいこと、素手で扱えて崩れない強度があること、粒のあいだを水と空気が通ること、そして軽いことです。目の詰まった素材ではフンが溜まって水があふれ、溶存酸素(DO)も下がると理由まで置いています。
重さとフンのたまり: 欠点のほうも並べます。培地は20〜30cmの深さで入れるため、水と合わせた重さを支える台の強度が要ります。魚が大きくなると、微生物が分解する速さよりフンがたまる速さが勝つことがあり、溜まりすぎたら洗うと述べます。培地は日光で熱を持ちやすく、他の方式より水が蒸発しやすい点も挙がります。
向く規模で結ぶ: 育てられるものの幅は広く、葉物やハーブに加えて、水位を調整すれば根菜も、実をつける野菜や果樹も育つと作例を見せます。一方で、規模が大きくなるほど大量の培地が要るので大きくするには向かない、と線を引きます。家庭や小さな農場に置く方式で、培地は素材によって向き不向きがあるとまとめます。