水中ポンプ

水を回す部品

流量ではなく、揚程で選ぶ部品です。表示の毎分◯Lは落差ゼロのときの値で、汲み上げる高さが増えるほど実際に出る量は落ちます。

何のためのものか

魚槽の水をろ過部と床へ送り、系をひとつながりの流れに保つ部品です。魚が出したものは水に溶けて散らばるだけなので、運ぶ力が無ければ床の菌にも根にも届きません。FAO の小規模アクアポニックスの手引き 2014 は、魚を密に入れた系では1時間に2回、密度が低ければ1時間に1回、全水量を回す目安を挙げています。

選ぶときに見るところ

実際の落差より余裕のある揚程で選びます。表示の毎時何Lは落差ゼロの値なので、床の高さの分を差し引いて考えます。FAO が挙げる小規模ユニットの例は揚程1.5 mで毎時2000 L、消費電力25〜50 W、効率の目安は1 Wあたり毎時40 Lです。継手ひとつで流量が最大5%落ち、呼び径20 mmを30 mmにすると流量は2倍になります。

使いかたと手入れ

槽の底から浮かせて据え、水位が下がっても空回りしない位置にします。取り出して洗える場所に置くことも、後の手間を大きく変えます。FAO は2〜3週ごとの内蔵フィルター清掃と、毎日の吸い込み口の詰まり確認を挙げています。吸い込み口には網をかけ、稚魚や抜けた根を吸わせません。空運転はポンプを壊します。

無いとどうなるか

止まれば硝化に要る酸素が床へ届かず、溶けた窒素も運ばれません。FAO は、循環が絶えるとDWCの水は淀んで酸素を失い、NFTの管は乾くと書いています。数字ではアンモニアが下がらない、亜硝酸が跳ね上がったが続き、魚は水面で口をぱくぱくさせるようすを先に見せます。夜の停電はいちばん気づきにくい形です。

解説動画: Sizing a Pump for Your Aquaponics or Hydroponics System/ZipGrow

回す量から決める: 動画は、ポンプは表示の毎時何ガロンより先に、系の水を何時間で1周させるかから決めると話します。趣味の規模なら2時間に1回、全水量を入れ替えるあたりが出発点で、そこまで厳密に当てなくてよいとも言い添えます。たとえば100ガロンの系なら毎時50ガロンが最低線で、表示を比べる前に一周ぶんの量を出すという順で進みます。

揚程という差: 次に出てくるのが揚程です。動画は育てる床の上端と、槽の水面との高さの差を揚程と呼び、ほとんどの人は水を上へ動かしていると言います。IBCを使った系でも2フィートほどは持ち上がるので、必要なのは毎時50ガロンではなく、2フィートの高さで毎時50ガロン出ることになる。同じ表示でも条件が違えば別物だ、と言い直します。

表を読み解く: 高さが増えるほど出る量は落ち、その落ち方はポンプごとに違って直線にもならないと動画は言います。だから作った側に問い合わせるか、機種ごとの表を見て、自分の高さのところで毎時何ガロン出るかを読み取ります。2フィートで毎時30ガロンしか出ない機種は足りず、同じ高さで55ガロン出る機種なら足りる、と二本の線を引いて見せます。

配管でも落ちる: 表の値は配管を含まない値だ、と動画は釘を刺します。20〜30フィートのホースを通せばそのぶん落ちるので、話し手は計算をきちんと回す代わりに、配管の組み方に応じて15〜30%の目減りを見込み、余裕を見て30%引いた値で選ぶと言います。目減りの幅は使うホースや塩ビ管と継手の型で変わる、という但し書きです。

速さより中身: 最後に、2時間で1周はあくまで目安で、これより速くても遅くても壊れはしないと言い添えます。設計も培地も配管も系ごとに違うので、見るのは数字より系のようすだと言う。溶けている酸素を保てているか、床の中に酸素の切れた場所ができていないか——溶存酸素(DO)のようすで流量を確かめる形に結びます。