NFT(薄膜水耕)
育てる床の型
水を薄く流し、根の上半分を空気に触れさせます。水量が少ないので軽く組める代わりに、止まれば数時間で乾き、夏は管の中の水温が上がります。
何のためのものか
管の底を水が薄く流れ、根の上半分は空気に触れる型です。根が酸素を取りやすく、水が日に当たらないので蒸発も少なくて済みます。水量が少なく軽いぶん、棚や壁、ベランダの手すりにも並べられます。培地が無いので、沈殿槽と生物ろ材を別に置くことが前提になります。この型を選ぶことは、ろ過を外に持つことを選ぶことでもあります。
選ぶときに見るところ
管径は葉物で7.5cm、果菜や何種類も混ぜて植えるなら11cm、角管なら幅10cm×高さ7cmが目安です。長さは1〜12mまでで、それより長いと手前の株が吸ってしまい、先の株へ養分が届きません。勾配は1mあたり1cm、植え穴は径7〜9cm、株の中心の間隔は21cm以上。白い管は日射を返すので、中の水温が上がりにくくなります(FAO 589)。
使いかたと手入れ
1本あたりの流量は毎分1〜2Lまでに絞り、余った水は魚の槽へ戻します。ミニトマトやミントは根が太く、育つほど管を塞いで水をあふれさせます。入口の詰まりと、管の中のぬめりは定期的に見るところです。夏は管の中で水が温まるので、水温は出口の側で測ります。停電に最も弱い型でもあり、止まった時刻が後から分かるようにしておきます。
無いとどうなるか
送水が止まれば、根は水に触れなくなります。膜の水はごくわずかで、蓄えがありません。止まった管では根が茶色くぬめるが出て、水を戻しても株はそのままには戻りません。沈殿槽と生物ろ材を省いた場合は固形物が管に詰まり、硝化の場も足りず、アンモニアが下がらないと亜硝酸が跳ね上がったが同時に来ます。
解説動画: Nutrient Film Technique: You’re Doing it Wrong!/Hoocho
膜でなくなる型: 動画は、樋の水位を上げるための堰や立て管、端の栓をNFTの利点を打ち消す作りだと指摘します。ポンプが止まったときの備えに見えるが、樋の全体を水深2インチ(約5cm)で満たす作りでは根が浸かりきり、酸素を流量だけに頼ることになる。エアストーンを並べない限り、薄い膜には及ばないと述べます。
土とどう違うか: 動画は利点を、酸素と水・養分の比で説明します。土では水をやれば地面から空気が押し出され、乾けば呼吸できても養分を溶かす水が無い。その行き来を釣り合わせ続けるのが土の栽培だと言う。薄い膜なら根が空気に触れたまま水と養分に届き続けるので、釣り合わせる作業そのものが要らなくなる。
丸い管の場合: 本来は底が平らで筋の入った角管がよく、養液は底の溝に分かれて走る形になる。ただ丸い管でも、根がある程度たまれば根そのものが水位を作ると話します。端の栓を外して見せ、養液は根の上まで来ておらず、上の根は空気に出たまま濡れている、という状態を、カメラを近づけて示しました。
根腐れが出た所: 根腐れ(根が茶色くぬめる)の正体はピシウムという菌で、どこにでもいて酸素の足りない所で取り付くと説明します。動画は最も深い、端の管で流れが滞る場所のナスを抜いて見せ、そこだけ根が常に沈んだままだったことを原因に挙げる。感染ではなく酸素の話だ、という立て方です。
温度と流す量: 養液の温度は25〜30℃で収量が最も高く、20〜30℃が広めの適温だと、参照している本から挙げます。流量は樋1本あたり毎分2L。自分の系はむしろ低すぎたので、T字で分けてコックで各樋を2Lに絞ったと言う。貯水槽のほかに溜まった水を作らない形こそが要だと、あらためて結びます。