ベルサイフォン

水を回す部品

電気を使わずに、床の水位を上下させます。溜まった水が決めた高さに届くと勝手に抜け、引いた分だけ根と硝化菌に空気が入ります。

何のためのものか

床が満ちて立ち上げ管の頭を越えると吸い出しが始まり、底まで抜けると空気が入って止まる、電気も合図も要らない仕掛けです。抜けたあとの隙間に空気が入り、根と菌はそこで息をします。FAO 2014 は、この湛水と排水を1時間に1〜2回回す系が多く、1日3〜4回で足りている系もあるとしています。

選ぶときに見るところ

立ち上げ管・ベル・培地ガードの三点の寸法で決まります。FAO 2014 は面積1〜3 m²・培地の深さ30 cm・毎時200〜500 Lの床に対し、立ち上げ管が径2.5 cm高さ22 cm、ベルが径7.5 cm高さ25 cm、培地ガードが径11 cm高さ32 cmという例を示しています。床が大きくなれば、どれも大きくなります。

使いかたと手入れ

床を水平に据えられるかが、働くかどうかを分けます。FAO 2014 も水平は要と書いています。据えたら入ってくる流量で合わせます——弱すぎると吸い出しが始まらず、強すぎると空気が入らないので止まりません。ベル下部の小穴は止めるための空気穴で、塞ぐと戻らなくなります。週に一度は立ち上げ管を抜いて流し洗いします。

無いとどうなるか

サイフォンもタイマーも無ければ床は入れっぱなしの湛水になり、根が使う酸素の入れ替えが起きません。根は水に埋まったままになり、根が茶色くぬめる、培地の底に黒い泥がたまるという形で先に現れます。培地の隙間が水で埋まったままだと、空気の入る余地がありません。排水は水を抜く作業ではなく、空気を入れる作業だと考えると分かりやすくなります。

解説動画: アクアポニックスで役立つオートサイフォンの種類/アクアポニックス大学

電気なしで抜ける: 動画はメディアベッドで使う自動サイフォンを4種類並べ、まず基本の形から始めます。オーバーフロー管に、もう一回り太い管をかぶせるだけの仕掛けです。かぶせた管の中が水で満たされると原理が働き、床の水が一気に抜けていく。空気が入り込んだところで止まり、また水が溜まりはじめます。ポンプで汲み替えるのではなく、自然に起きる現象を使って水位を上下させている、という説明です。

塩ビ管で組む: 作りは塩ビ管とキャップだけです。かぶせる管はオーバーフロー管より一回り太いものを使い、水の入る口をさらに少し太くしておくと説明します。そうすると中の空気が抜けやすくなり、原理が働きやすくなるからです。映像で使っている塩ビのいけす金具については、無くても働くので必須ではないと断りを入れています。

切れないとき: いちばん多いつまずきとして、入ってくる水の量と出ていく量が釣り合ってしまう場合を挙げます。こうなると勢いよく吸い出す動きが始まらず、水位が低いまま止まってしまう。管の太さやポンプが送る水の量を変えれば直ることもあるけれど、調整しきれない場合もあると、うまくいかない側も正直に述べます。

空気を入れる改良: そこで紹介されるのが、管の途中から外へ短い枝を出した型です。水位が下がってくると枝の口から強制的に空気が入るので、吸い出しが確実に終わります。枝の先には水を遮るキャップをかぶせ、空気だけが通るようにする。継ぎ目は接着剤などで埋めて空気の漏れを止めるよう、そこは念を押しています。漏れると途中で切れてしまうからです。

置き場所で選ぶ: 最後に4つを、切れやすさ・作りやすさ・場所で並べます。いちばん切れやすいのは枝を出した型、加工が要らないのはエルボを二つ継ぐだけのU字型、床の中の場所を取らないのは外付けの型でした。外付けなら、すでにオーバーフローで組んである床にも後から付けられる。設置している環境や設備を見ながら選べばよい、というところに結びます。