沈殿槽
水を回す部品
魚の糞を、植物へ回す前に落とす槽です。固形物が床に溜まると水の通り道が塞がり、酸素の届かない場所ができます。
何のためのものか
魚の糞と食べ残しを、植物側へ送る前に沈めて抜く槽です。溶けた窒素は菌が扱いますが、粒のまま流れるものは沈めて外へ出すしかありません。FAO 2014 は、清澄槽で取り除ける固形物の最大6割まで落とせるとし、培地を持たないDWCとNFTでは固形物の分離が欠かせないと書いています。落とせるのは沈む大きさの粒までで、細かい濁りは後の生物ろ過に回ります。
選ぶときに見るところ
容量は魚槽のおよそ6分の1が FAO 2014 の小規模の目安です。底から沈殿物を抜けるバルブと、上澄みだけを出すメッシュ付きの出口があるかを見ます。旋回式は入口を壁の接線方向に向け、渦の中心ほど水が遅くなることで粒を真ん中と底へ集めます。深さがあるほど沈む時間を稼げ、底を掘り返すコイ・ニシキゴイの濁りもここで受けられます。持ち上げる槽ではないので、置く場所も先に決めます。
使いかたと手入れ
毎日、底に溜まった固形物を抜きます。FAO 2014 は日課にこれを挙げ、月に一度は槽ごと洗うとしています。抜くのは短い時間にとどめ、水を大量に落とさない量で切ります。溜めたまま放置すると嫌気になり、硫化水素が出ます。抜いた量の分だけ系の水位は下がります。沈殿物は養分を含むので、土の鉢や庭木に回せます。
無いとどうなるか
固形物が床と樋へそのまま流れ、根と培地の隙間を埋めます。詰まった所には酸素が届かず、酸素が尽きた場所ができて、培地の底に黒い泥がたまる、卵の腐ったにおいがするという形で表に出ます。腐卵臭は硫化水素の合図で、魚にとっては強い毒になります。ポンプの吸い込み口や配管の中でも固形物は詰まり、流量が静かに落ちていきます。
解説動画: Radial Flow Settler for Aquaponics Systems | How RFS work - How to Size Your RFS/Rob Bob's Aquaponics & Backyard Farm
遅くして沈める: 動画は、排水処理で長く使われてきた放射流式の沈殿槽を、自作で系に入れる話です。見た目の似た渦式とは中の働きが違うと断り、魚槽の中央に立てた管が底の固形物を水ごと吸い上げ、槽の中の筒へ縦に落とす。筒に入って流れがいくらか遅くなり、さらに広い水へ出るとまた遅くなって、粒の大半が底へ落ちると説明します。
上澄みだけ出す: 水は槽の上の側面から抜けて、次の装置へ進みます。作り込んだものは槽のふちを一周する堰から溢れさせる形で、受ける面が広いほど流れが遅くなり、より多くの粒が水から落ちます。動画の作者も、出口の手前で水を広げてから流す部品を試作中で、水平に据えるのが課題だと言います。
底から抜くこと: 底が円錐なら固形物は排水口に集まり、バルブを開けるだけで抜けます。平らな樽を使う自作では、底に置いた排水口にポンプをつないで抜き、果樹や菜園へ回します。少なくとも週に一度は抜く——溜めて腐らせると有害なものが系の水へ戻るからで、餌の量が増えるほど回数も増えると述べます。
置く高さと場所: 置くのは魚槽のすぐ後ろ。槽の中の筒の出口が魚槽の出口より高いと、水が戻って魚槽があふれます。次が育てる床なら、沈殿槽の出口のほうを床より高くしておく必要がある。抜く手立て(ポンプか自然流下かバケツ)でも要る高さが変わるので、置き場所を決めるときに一緒に考えると言います。
滞留時間で決める: 大きさは水が槽に留まる時間で決めます。2分を超えれば大きな粒は取れ、作者は6分を目安にする。10分以上は理想だが、槽が大きくなりすぎて庭には置けないと言う。式は分を60で割って流量を掛けるだけで、毎時2000Lで6分なら200L、15分なら500Lの槽になると結びます。