DWC(浮き床の水耕)
育てる床の型
根を水に浸けたまま育てる型です。水量が大きいぶん水温とpHは動きにくく、代わりに水中の酸素が切れると根はその日のうちに傷みます。
何のためのものか
板を浮かべ、根を水にぶら下げたまま育てる型です。水深は30cmが FAO 589 の目安で、水量が大きいぶん水温とpHの振れが小さく、養分も切れにくくなります。培地を持たないので、沈殿槽と生物ろ材は別に置くことになります。Pattillo ら 2022 の米国調査(回答219件)では71%が使っており、最も多い型でした。
選ぶときに見るところ
水深は30cm、幅は浮き板1枚ぶんが基準です。長さは自由ですが、槽の水が1〜4時間で入れ替わる流量に合わせます。浮き板は厚み3cm以上ないと、株の重さで沈みます。材質は食品に使えるものを選び、コンクリートは無害な防水材で覆います。空気の量も先に決めるところで、エアストーンは槽の面積2〜4m²ごとに1個、1個あたり毎分4Lが FAO 589 の目安です。
使いかたと手入れ
水面は残さず板で覆います——光が入れば藻が出て、水が緑色になるへ向かいます。エアレーションは止めません。密に植えた槽では根の呼吸だけで溶存酸素(DO)が下がり、沈んだ有機物がさらに奪っていきます。収穫したら板を洗い、乾かさずすぐ水へ戻します。浸かっていた面には硝化菌が付いており、乾かすと死にます。
無いとどうなるか
空気を送るのが止まれば、その日のうちに根が傷みます。明け方だけ酸素が足りないから始まり、根が茶色くぬめるへ進みます。板を外して水面を開ければ光が入り、藻が水を緑にします。ろ過を別に持たなければ固形物が槽の底にたまって嫌気の場ができ、卵の腐ったにおいがするところまで行きます。水量が大きいことは、変化が遅く見えることでもあります。
解説動画: 【ミニトマトの水耕栽培】エアレーションは絶対必要!セリアのバケツで育ちます!/まつこの水耕栽培
バケツ一つで作る: 動画はバケツに蓋をして根を液に浸けたままミニトマトを育てます。蓋は鉢皿に穴を開けたもので、苗はザルと水切りネットとバーミキュライトで作り、本葉が二枚出たらEC(電気伝導度)で500ほどの液肥を与え、丈が20cmほどになったら移す。定植したあとの濃さは1000〜1500だと述べます。
なぜ空気を送るか: 作るときにいちばん迷ったのが空気を送る道具だったと述べます。ミニトマトは根が細かく密になっていて、酸素を多く必要とする作物で、同じ夏野菜のキュウリと比べても根が使う酸素が切れて傷みやすい。ならば送る側と送らない側でどれだけ差が出るのか、同じ時期に育てた苗で比べています。
同じ種で比べる: 苗は同じ種から取り、液肥の濃さもそろえて育てます。3月に芽が出て、間引いて別の容器に分けたあとも、10日ほどでは差が見られません。そこから空気を送る側が2週間で見違えるほど伸び、さらに2週間で葉も茎も茂った——と日を追って写し、差が出はじめる時期まで含めて見せています。
差は数字で出た: 測ると、送った側は茎97cm・実が8個以上、送らない側は茎64cm・実は2個でした。送らない側はひょろひょろで脇芽もほとんど生えず、何より根が伸びず増えないと述べます。同じ種をまき、液体肥料の濃さも同じなのにこれだけ差が出た、として空気を送る側の勝ちで比べを結びます。
電源の無い庭で: 撮っているのはコンセントの無い庭で、使うのは充電式の道具です。5時間でフル充電して20時間動くものを、モバイルバッテリーを継ぎ足しながら24時間回し続けています。電源が切れてすぐ枯れるわけではないので管理は大まかでよい、とも述べます。根が水に浸かりきる型では、空気を送り続けることが土台だと分かる例です。