ヤマモモ
街路樹
触れたときの扱い: 特に知られた刺激はない / 見ごろ: 初夏(6〜7月)
6月の舗装が赤紫に汚れていたら、上にあるのはヤマモモです。厚く細長い常緑の葉が枝先にだけ集まり、街路樹の樹種別本数では19位に数えられています。
ひと目の手がかり
厚く細長い葉が枝先にだけ集まり、枝の下側は葉の無いまま残ります。株全体は丸く整って見え、冬も葉の色が落ちません。葉は濃い緑でつやがあり、裏に散る黄色い小さな腺点はハンドルーペで粒として見えます。根に付く放線菌の根粒から窒素を得るため、やせた土や潮のかかる場所でも育ち、道路沿いに選ばれてきました。国土技術政策総合研究所『わが国の街路樹Ⅸ』では19位、9万4691本です。
葉と樹皮
葉は長さ5〜12cmの倒披針形で厚く硬く、先のほうがいちばん広くなります。ふちは成木でほぼ全縁ですが、若い木や勢いのある枝では上半分に粗い鋸歯が出るため、鋸歯の有無だけで別の種と決めないところです。枝には互生に付き、枝先で束のようにまとまります。樹皮は灰白色から灰褐色でなめらか、老木で浅く縦に裂け、細かい皮目が散ります。落ち葉は厚みがあって形が崩れにくく、緑のまま歩道の隅に残ります。
季節の見どころ(花・実・紅葉・冬芽)
雌雄異株で、見どころは雌株の下に出ます。6月から7月上旬、直径1.5〜2cmの実が赤紫に熟し、表面は細かい粒が寄り集まったように見えます。熟した実は数日で落ち、舗装を赤紫に染めて滑りやすくします。この落下と汚れを避けるため、街路樹では実を付けない雄株を選んで植える例があります。花は3月から4月で、風が花粉を運ぶ地味な作りをしており、見上げても目に留まりません。
触れたらどうなるか
葉も樹皮も、触れて肌が荒れたという記録は挙がっていません。困るのは落ちて割れた果実の果汁で、赤紫の色素が衣類と靴底に残り、乾いてからでは落ちにくくなります。歩道にたまった果肉は水を含んでぬめるため、雨の日はその上を避けて歩きます。手に付いたら携帯用の紙石けんで早めに洗い流します。落ちた実を持ち帰れるかどうかは木の管理者しだいで、落ちた実の持ち帰りに整理しています。
まちがえやすい木
常緑で葉が枝先に集まる木どうしで迷います。タブノキは葉がひと回り大きく柄も長く、春先の芽が赤くふくらんで別物です。クロガネモチは葉柄が紫を帯び、冬に赤い実を残します。シャリンバイは葉が枝先で車輪のように並び、ふちに浅い鋸歯が出ます。実の落ちる時期もヤマモモは6月、クロガネモチは冬と離れており、足もとに何があるかでも分かれます。決め手は裏の黄色い腺点で、葉を一枚裏返せば片が付きます。