イチョウ
街路樹
触れたときの扱い: 樹液・毛・汁に注意(触れたら洗う) / 見ごろ: 秋(9〜11月)
扇形の葉が一枚落ちていれば、それで決まります。国土技術政策総合研究所が全国の街路樹を数えた調査では、高木の中でいちばん本数の多い木でした。
ひと目の手がかり
手がかりは足もとにあります。先が広がる扇形の葉を拾って光に透かすと、一本の脈が二又に分かれる形が先端まで繰り返されるのが見えます。同じ形の葉をつける街路樹はほかにありません。幹は灰色で縦の割れが浅く走り、年を経た木では枝の下側に乳と呼ばれる突起が垂れます。国土技術政策総合研究所『わが国の街路樹Ⅸ』が令和3年度末でまとめた本数は52万1075本、高木全体の8.3%にあたります。公園より道沿いに並ぶことの多い木です。
葉と樹皮
枝には二通りあります。長く伸びる枝には葉が離れてつき、太く短い枝には数枚が束になってつきます(短枝と長枝)。短い枝は一年に数ミリしか伸びず、葉の落ちた跡が積み重なってこぶになります。勢いのある枝の葉ほど切れ込みが深く、短い枝の葉はほとんど切れ込みません。形の幅は一本の木の中で出るもので、別の種を疑う材料になりません。樹皮は灰褐色で、太るにつれて縦の溝が深く刻まれます。
季節の見どころ(花・実・紅葉・冬芽)
11月下旬から12月上旬に黄葉の峰が来て、色づいてからの落葉は早く、数日で歩道が黄色く埋まります。雌雄異株で、実が落ちるのは雌株の下だけです。直径2cmほどの丸い種子を包む黄色い外種皮が9月下旬から10月に落ち、踏まれると強い匂いが立ちます。並木の片側だけが匂うのは、雌株が偏って植えられているためです。色づきは木ごとに数日ずれ、同じ通りでも早い木と遅い木が出ます。
触れたらどうなるか
困るのは、雌株の下に落ちた実を包む黄色い外種皮です(ギンナンの外種皮)。夏秋優『植物・動物と接触皮膚炎』(日本皮膚科学会雑誌121巻10号)は、外種皮のギンコール酸によるアレルギー性接触皮膚炎を挙げています。かゆみや赤みは触れた直後ではなく、一日から数日おいて出ることがあります。つぶれた実を素手で拾わず、触れた手は石けんで洗います。葉や樹皮で同じ報告は見当たりません。
まちがえやすい木
葉の形で迷う相手はまずいません。紛れるのは色づいた並木を遠くから見たときで、黄色一色になったカツラやユリノキと見分けがつかなくなります。落ち葉を一枚拾えば、扇形かどうかで片がつきます。イチョウにも葉に黄色い斑が入るもの、枝が上へ立って細くなる樹形のものが植えられており、姿だけで別の木と決めないところです。若木は実がつくまで雌雄が分からず、街路樹では雄株がまとめて選ばれることもあります。