ソメイヨシノ
街路樹
触れたときの扱い: 特に知られた刺激はない / 見ごろ: 春(3〜5月)
花だけが先に開き、葉は花が散ってから出ます。接ぎ木でふやされた栽培品種で、街路樹に植えられたサクラ類の中でもっとも本数が多い木です。
ひと目の手がかり
花の時期の手がかりは、枝が花だけで埋まり、葉が一枚も見えないことです。咲きはじめは淡い紅で、満開に近づくほど白く見え、開ききると重みで枝先が下を向きます。接ぎ木でふやされた同じ性質の木が並ぶため、並木がほぼ同じ日に咲き、同じ日に散ります。令和3年度末を対象にした国土技術政策総合研究所『わが国の街路樹Ⅸ』では、サクラ類52万1053本のうち17万3337本がこの品種でした。
葉と樹皮
幹は紫がかった灰褐色で、横向きの細い線が帯のように並びます。この線は皮目で、幹の内側と外の空気をやりとりする通り道です。線は幹を一周せず、途切れながら重なります。若い幹ほど平らでよく目立ち、太ると縦に裂けて崩れます。葉は先のとがった楕円形、ふちの鋸歯は先が糸のように細く伸びます。葉のつけ根の柄に、蜜を出す一対の小さないぼが付くのもサクラ類をたどる手がかりです。
季節の見どころ(花・実・紅葉・冬芽)
見どころは3月下旬から4月上旬の一週間ほどです。気象庁は生物季節観測で地点ごとに標本木を決めており、開花はその木で5〜6輪以上が咲いた日、満開は8割以上のつぼみが開いた日としています。花が散ると赤みのある若葉が伸び、6月ごろに黒く熟した小さな実が落ちて歩道に色を残します。紅葉は黄から赤褐色で、斑の出た葉のまま落ちる木もあります。散り際の花びらは風でまとまり、側溝に帯を作ります。
触れたらどうなるか
花・葉・樹皮で、かぶれたという報告は見当たりません。手が汚れるのは幹の傷から出る透明で粘る樹液で、乾くと飴色に固まり、付いたら石けんとぬるま湯で落とします。気をつける相手は木ではなく虫のほうで、葉裏につく毛やとげのある幼虫に触れると痛みや発疹が出ることがあります。落ちた花や実の汁は衣服に薄い染みを残す程度で、濡れた花びらは路面をすべりやすくします。
まちがえやすい木
見分けは花と葉の順番から入ります。ヤマザクラは赤みのある若葉と花が同時に開き、遠目にも花色がまだらに見えます。オオシマザクラは花が大きく白く、葉は最初から緑です。エドヒガンは萼筒のもとが丸くふくらみ、花柄や萼に毛が密に生えます。ソメイヨシノは萼筒に毛があり、ふくらみはエドヒガンほどではないという中間の形で、二つの特徴を分け合っています。公園では品種の札が幹に付いていることもあります。