トチノキ

街路樹

触れたときの扱い: 特に知られた刺激はない / 見ごろ: 春(3〜5月)

手のひらを開いたような大きな葉が、枝先にまとまります。5枚から7枚の小葉が一点から広がって一枚の葉になり、5月には白い花穂が立ち上がります。

ひと目の手がかり

街路樹の中でも葉一枚が大きく、遠目に葉の粒が粗く見える木です。長さ20〜35cmの小葉が5〜7枚、柄の先の一点から放射状に開いて一枚の葉を作ります(単葉と複葉)。葉は枝に対生し、枝先に集まるため、枝の先ごとに大きな葉の輪ができます。歩道では低い枝が張り出しやすく、葉の大きさがそのまま日陰の広さになります。国土技術政策総合研究所『わが国の街路樹Ⅸ』では27位、5万3078本でした。

葉と樹皮

小葉は先のほうがいちばん広く、つけ根へ向かって細くなる形で、ふちに細かい鋸歯が並びます。裏の脈沿いには褐色の毛が残ります。冬は枝先で引けます。大きな冬芽は樹脂でつやつやと粘り、指で触れるとべたつきが移ります。樹皮は若いうちは灰褐色でなめらか、太ると大きな鱗片となって剥がれます。落ち葉も大きく、小葉が一枚ずつ外れて散らばるので、掃かれた山の中でも形が分かります。

季節の見どころ(花・実・紅葉・冬芽)

5月中旬、枝先に長さ15〜25cmの花序が円錐状に立ち上がります。白い花の中心には咲き進むにつれて黄から紅へ変わる斑があり、蜂がよく集まります。実るのは花穂の下のほうの数個だけで、残りは落ちます。9月から10月に直径3〜5cmの丸い果実が落ち、厚い殻が3つに割れて褐色の種子が出ます。黄葉は早く、夏の終わりからふちの枯れ込んだ葉が混じります。

触れたらどうなるか

葉と樹皮では、触れて皮膚に症状が出たという報告が見当たりません。注意するのは秋に落ちる実のほうで、種子と殻にはサポニンが含まれ、口に入れると吐き気や下痢を起こします。街路樹の下に大量に落ち、丸くて手に取りやすい形をしているため、拾った子どもが口へ運ぶ場面が生まれます。拾って眺めるだけで手が荒れた例はありませんが、割れた実に触れた手で口や目をこすらないようにします。動きは子どもが実を口に入れたときにまとめました。

まちがえやすい木

街路樹では、セイヨウトチノキ(マロニエ)と並んで植わります。分かれ目は落ちた実の殻で、セイヨウトチノキの殻には短いトゲが密に並び、トチノキの殻はほぼ滑らかです。花にも差があり、マロニエは花弁の斑が赤く、花序がさらに大ぶりです。両種の交雑であるベニバナトチノキは紅色の花を付けます。どれも小葉が放射状に並び、葉序でいう対生も共通するので、足もとに落ちた殻を見るのが早いです。