クスノキ

街路樹

触れたときの扱い: 特に知られた刺激はない / 見ごろ: 一年中

葉をもむと、樟脳の匂いが立ちます。三本に分かれる葉脈のつけ根にある小さなふくらみと合わせれば、季節を選ばずに決まります。

ひと目の手がかり

常緑なので一年じゅう同じ手がかりが使えます。落ちた葉を一枚もむと樟脳の匂いが立ち、これだけで見当がつきます。光に透かすと根もとから三本に分かれる脈が見え、その分かれ目に直径1mmほどの丸いふくらみが左右一対あります。ダニ室と呼ばれる小部屋です。街路樹の全国調査(国土技術政策総合研究所、令和3年度末)では25万6146本が植えられていました。西日本の街や社寺では幹が数抱えもある大木になります。

葉と樹皮

葉は枝に互い違いにつき、革のように厚くて表につやがあり、ふちは波打つものの鋸歯はありません。裏は白緑色で、三行脈とダニ室は裏から見るほうがはっきりします。樹皮は灰褐色で縦に細かく裂け、太い木では網目のような割れになります。根もとが大きく張り出し、歩道の敷石を持ち上げることがあります。枝を折れば切り口からも同じ匂いが立ち、乾いた枯れ枝にも匂いが残ります。

季節の見どころ(花・実・紅葉・冬芽)

常緑ですが、4月から5月に古い葉が赤茶色に変わって一斉に落ちます。新しい葉と入れかわる落ち方で、歩道が落ち葉で埋まるのは秋ではなくこの時期です。入れかわりの直後、5月から6月に黄白色の小さな花が房で咲き、匂いは弱いままです。10月から11月には直径8mmほどの黒紫色の丸い実が熟し、鳥が運びます。冬芽は鱗を重ねた小さな形で越し、新芽は赤みを帯びて出ます。

触れたらどうなるか

葉をもんでも、皮膚が荒れたという報告は上がっていません。もんだ手には油分と匂いがしばらく残り、目をこする前に石けんで洗います。落ちた実をつぶすと黒紫の汁が出て、靴や衣服の白い部分に染みを作ります。根が舗装を押し上げるため、張り出した根につまずくことがあります。枝葉を燃やした煙も匂いが強く、目や喉にしみることがあります。樹皮で手が荒れた例も見当たりません。

まちがえやすい木

常緑の大木として紛れるのは、同じ科のタブノキです。葉をもんで匂いを確かめるのが早く、タブノキからは樟脳の匂いが立ちません。脈の走り方も違い、タブノキは主脈から左右へ羽状に脈が並び、三行脈にはなりません。冬から春は芽で分かれ、タブノキの冬芽は指先ほどにふくらみ、赤みを帯びます。クスノキの冬芽は小さく、目を近づけないと分かりません。葉もタブノキのほうが一回り大きく見えます。