シュラッグ

背中

器具: ダンベル / 難易度: 初級

シュラッグは、肩をすくめて僧帽筋上部を狙う種目

効く筋肉

僧帽筋の上部が主役で、肩甲骨を引き上げる肩甲挙筋も一緒に働きます。首から肩にかけての厚みを作るほか、重い物を持つときに肩まわりを支える力が高まります。デンマークの研究チームが、僧帽筋に慢性的な痛みを抱える女性の工場労働者12人(30〜60歳)を対象に、複数の種目中の筋電図を比べた実験では、シュラッグ中の僧帽筋の活動が最大随意収縮の102±11%に達し、比較した5種目のうち最も高かった(サイドレイズ97±6%、アップライトロー85±5%)。同程度の活動を得るのに要した重量はシュラッグが20〜30kgだったのに対しこの2種目は3〜10kgで済んだといい、研究チームは首や肩に痛みがある人のリハビリでは、より軽い重量で足りるこの2種目を代替に挙げている。

やり方

ダンベルを体の横に持ち、肘を伸ばしたまま肩を耳へまっすぐ引き上げます。上げ切ったところで1〜2秒静止し、肩が下がり切るまでゆっくり戻します。12〜15回を3セットと、やや高回数のほうが効きを感じやすい種目です。海外のトレーニング系ユーチューバー Jeremy Ethier氏は、ただ真上に引き上げるだけでなく上げきったところで肩甲骨同士を寄せるように動かすと、僧帽筋上部が持つ「引き上げる」だけでなく「引き寄せる」働きも同時に使えて収縮が強まると解説している。

フォームの注意点

肩をぐるぐる回す動きは肩関節に不要なねじれを加えるだけで効果は増えません。上下方向だけに動かしてください。腕を曲げて持ち上げると腕の運動になり、首を前へ突き出すと首まわりが張りやすくなります。同氏は、握る手幅を肩幅よりやや広めに取ると僧帽筋の筋線維の向きに沿って力がかかりやすくなり、肩幅のままだと肩甲挙筋の関与が増えると説明している。

バリエーション・代替種目

バーベルなら体の前、トラップバーやダンベルなら体の横で持てて、横のほうが肩の位置は自然です。重量が伸びてきたらリストストラップが有効で、デッドリフトの後に仕上げとして入れる組み方が定番です。

出典

  1. 論文・英語 Andersen LL, Kjær M, Andersen CH, Hansen PB, Zebis MK, Hansen K, Sjøgaard G(2008) Muscle Activation During Selected Strength Exercises in Women With Chronic Neck Muscle Pain
  2. 動画・英語 Jeremy Ethier The Best Science-Based Trap Workout for Growth

解説動画: シュラッグの重量と可動域の決め方|前傾・リバース・ダンベルの使い分け/katochan33

概要: 肩をすくめる動作で僧帽筋を収縮させる種目。バーベルを持って構えたら、そのまま肩だけを真上へすくめ上げる。僧帽筋のうち上部は肩をすくめる動きで縮み、下部は肩甲骨を真後ろに寄せる動きで縮む。肩を下げると縮む広背筋とは拮抗筋の関係にあたる。動作自体は単純だが、重量選択と可動域の兼ね合いが要点になると位置づけている。

収縮を感じられる重量まで上げる: 可動域が狭いぶん重い重量を扱えるが、重くしすぎると上がりきらず可動域が削られる。基準はトップで僧帽筋の収縮を感じられるぎりぎりまで重量を上げること。実演では100kgと140kgは収縮を十分感じられ、160kgでその感覚がぎりぎり、180kgでは最初の数回しか収縮せず伸ばされる感覚だけが残る。普段は160kg前後で10回ほど行い、140kgからはストラップを併用している。

腕は使わず肩の力で上げる: 腕を曲げて引き上げるのは基本から外れる。腕はバーやダンベルをぶら下げているだけにして、肩の力で上げる。バーベルは体にくっついた状態を保ったまま真上へ動かす。上げたときに股にバーが当たる人は軽くお尻を引き、足をこすらない位置で上下させるが、重心が体から離れるぶん扱える重量は軽くなる。

チーティングをどこまで使うか: 足で反動をつければ収縮する位置まで上げられ、以前は220kgから240kgで行っていたが、肩甲骨の間あたりの筋を何度も痛めたと振り返る。現在は160kg前後をわずかなチーティングで行い、200kgを超える重量は使わず、上げても180kgまでに抑えている。反動を大きく使うか、そこそこの重量で収縮を優先するかは答えが出ないとしつつ、怪我しない範囲ならある程度の無茶は許容する立場をとる。

前傾・リバース・ダンベルで狙いを変える: 少し前傾して上げると僧帽筋のより下の部分に移り、重量は80kgから100kgほどに下がる。体の後ろでバーを持つリバースシュラッグは60kgほどで、お尻を前に逃がして腕も使い、肩甲骨を上へ寄せる。ダンベルは持つ位置を前後に変えられて可動域が広く、スミスマシンは軌道が固定されて反動が使えないぶん重量は落ちる。デッドリフトなどで僧帽筋が張っている日は通常のシュラッグを外し、リバースやアップライトローに回している。

解説動画(海外・英語): How To Build Bigger Traps: Optimal Training Explained/Jeff Nippard

「真上に上げる」だけでは僧帽筋上部に入りきらない: シュラッグは肩甲骨の挙上で僧帽筋上部と肩甲挙筋を使う。ただし作者はバーベルをただ真上へすくめるだけの従来型は、当たり外れが大きいと指摘する。強く効く人もいれば、首の側面の肩甲挙筋にばかり効いてしまう人もいる。そこで狙いを僧帽筋上部の繊維に絞るために、肩甲骨の「上方回旋」を混ぜる——つまり肩をただ上げるのではなく、耳のほうへ近づけるように内へも寄せる。背中から見ると肩甲骨が上方に回旋しており、この上方回旋を担っているのは僧帽筋の上部と中部だけ。

腕を30度開く。トラップバーが最適な理由: 2つの原則がある。1つは1994年の研究で、僧帽筋上部の繊維の向きの関係で、腕が体の真横(ニュートラル)にあると肩甲骨をうまく挙上できないと示された。つまり腕を30度ほど外へ開いた状態のほうが僧帽筋が動員される。2つ目が前述の上方回旋は僧帽筋が他の挙上筋より得意という点で、僧帽筋を狙うなら上方回旋の成分を意識する。この2つから作者の一番のお気に入りはトラップバーのシュラッグで、フレームの中に立つので自動的に腕が30度前後に開き、しかもバーが体の前面に擦れない。

バーベルでの手順: 回数は8〜15回の中程度。重くしすぎると、とくにトップ側の可動域が出せなくなる。バーはパワーラックの膝上にセットして腰を疲れさせずに外す。順手・肩幅の1.25〜1.5倍。僧帽筋を本当に追い込むならストラップはほぼ必須だが、握力も同じくらい大事なら重いセットを1つはストラップ無しで行う。外したら足を肩幅よりやや広く、つま先をわずかに開く。股関節から10度ほど上体を前傾させる(肩甲骨が前に出た状態にはしない。上背部はニュートラルで張ったまま)。膝はほぼ伸ばすが、わずかに曲げるとバーが体に当たらずに済む。動作は肩を上げるだけでなく、耳へ触れにいくつもりで内へも引き寄せる。さらにサイドレイズのように腕をわずかに外へ押し出すと上方回旋が強調される。重量に関係なく、それ以上肩甲骨が上がらない位置(終末挙上)まで上げ切る。トップで止める必要はなく、僧帽筋が伸びるのを感じながら制御して下ろす。

バリエーションと、最も多い失敗: 腰が痛い・疲れているときはスミスマシン(ただし恒久的にフリーウェイトを置き換えない)。ダンベルはバーが体に擦れる問題が無いが、腕を開いた形を保とうとすると三角筋中部が先に限界になるし、上級者には重量が足りないことがある(高回数・低速には向く)。握力が問題ならスタンディングカーフレイズ台でのシュラッグ。作者の一番のお気に入りはケーブル2本のシュラッグで、従来のシュラッグで僧帽筋を感じられない人にはほぼ確実に効く。ケーブルラックの中央に立ち、横から見てケーブルが体の前額面を通るようにDハンドルを持ち、10度前傾して、耳へ向けて上と内へすくめる。サイドレイズのようにわずかに腕を開くと上方回旋の可動域が増え、僧帽筋上部が最大収縮まで届く。この形は12〜20回の軽めで、効いている感覚を作ることに集中する。最も多い失敗はやはり重すぎること。ストラップを付けて何kg持てるかを試す種目ではなく、重すぎると可動域が極端に短くなる。