デッドリフト

背中

全身で床から引き上げる基本のリフト

効く筋肉

脊柱起立筋、大殿筋、ハムストリングスが主役で、バーを体に引き寄せ続ける広背筋や、握力を担う前腕も総動員されます。一度に多くの筋肉を使うため、全身の力の土台になります。

やり方

バーを足の中央の真上、すねから2〜3センチの位置に置きます。腰幅に立って股関節と膝を曲げ、肩幅よりやや外を握って胸を張ります。息を吸って腹圧を固め、床を脚で押すように立ち上がります。3〜5回を3〜5セットが目安です。

フォームの注意

背中が丸まる、バーが体から離れる、この2つが腰を痛める典型的な原因です。バーは常にすねと太ももに触れる軌道を通してください。立ち切ったところで体を反らせる必要はなく、骨盤を立てて直立するところが終点です。

バリエーション・代替

股関節の伸展に集中したいときはルーマニアンデッドリフト、トップ側だけを強化するならラックプルが使えます。握力が先に負けるならリストストラップを使い、腰に痛みが出る場合は続けずに医療者へ相談してください。

解説動画: 初心者向けデッドリフト:構えからロックアウトまでの手順/今古賀翔【トレーニング科学】

足幅とグリップ: 足幅は垂直跳びをしやすい幅が基準で、個人差があるので力の入りやすい位置を探す。つま先は少し外に向け、膝も少し外にひねる。バーは足幅より少し広めで握る。握りはダブルオーバーハンドが基本で、オルタネートグリップは握力は強いが背筋と肩に左右差が出る。指の付け根に引っ掛けるように握ると豆ができにくく、保持できない場合はリストストラップを使う。

バーの位置とスタートポジション: バーは踵とつま先の間、足の中心(ミッドフット)の真上に来るように立ち、動作中もこの線を垂直に上下させる。しゃがんだときはバーより前に肩が出て、バーの真上に肩甲骨の中央が来る形が正しい。バーの真上に肩があるとスクワットのような形になり、お尻が高すぎると脚力を使えず背中が丸まる。

ファーストプル: スタートから膝までがファーストプル。上体の前傾をある程度保ったまま、股関節の開きを抑えて主に膝関節を開く。先に股関節を開くと足の後ろ側が使えずバーが膝を迂回し、逆に膝だけ開くとお尻が上がって背中が丸まる原因になる。重い重量では大抵お尻が先に上がって背中の緊張が保てなくなる。イメージは引くというよりレッグプレスで、固めた背中を背もたれにして足を押し込む。

セカンドプルとロックアウト: バーが膝を越えたらお尻に力を入れて股関節を突き出す。肩・股関節・膝が一直線になったところがロックアウト。そこからさらに背中を反らせると腰を痛める危険があるので反り返らない。バーを足に乗せて釣り上げるのも避ける。

背中の作り方と下ろし方: まずお尻と腹筋に力を入れて立ち、バーを握ったら膝を少し外に開いてハムストリングスとお尻に力を入れる。肩甲骨を後ろポケットに突っ込むイメージで広背筋に力を入れ、適度に胸を張る。頭を斜め前に引っ張る意識を足すと背中はよりタイトになる。骨盤は前傾させず、まっすぐのまま。伸ばし切った後も腹圧を抜かずにお尻から引いて下ろし、バーをバウンドさせず1回ごとに静止させて背中を作り直してから挙げる。

解説動画(海外・英語): How to PROPERLY Deadlift for Growth (5 Easy Steps)/Jeremy Ethier

バーを握る前に、肋骨と骨盤を積み上げておく: 腰を痛める最大の原因は肋骨と骨盤の位置がずれたまま引くこと。バーは靴ひもの上(足の真ん中)に来るように立ち、足幅は腰幅、つま先は前。骨盤は水の入ったボウルだと思って、こぼれないよう後ろへ倒す(ベルトのバックルをあごへ近づける感じ)。肋骨は開きがちなので体幹を締めて閉じる。ここで尻と内ももを締めて背を高くする感覚を作り、両手で拳を握って真下に押し下げると腕がまっすぐ伸びて広背筋が入る。この時点で尻・内もも・体幹・広背筋が働いている状態を作る。

しゃがむのではなく、尻を後ろへ送ってバーへ届く: ここで背中と肩が丸まって、せっかくの緊張が抜ける人が多い。両手に買い物袋を持ったまま尻で車のドアを閉める動きで、拳を肩の真下に押し下げたまま股関節を後ろへ送る。母趾球の圧が抜けたらそれは送りすぎ。そこから膝を曲げてすねをバーへ寄せ、膝のすぐ外側でバーを握る。確認は3つ。バーが体から離れるほど腰に負担が乗るのでバーは足の真ん中の真上・すねはバーに触れる位置。尻が高すぎると腰の仕事、低すぎるとスクワットになるので尻は膝より上・肩より下。そして首も背骨の一部なので、あごを引いて数歩先の床を見る。

引き上げる前に「くさび」を作る: 膝を腕に向かって外へ押し、ベルトの全周を押し広げるように360度の呼吸をして、腹を殴られる直前のように腹圧をかける。胸を張って頭まで一直線に伸ばし、脇にオレンジを挟んで搾るイメージで広背筋を締める。ここまでで広背筋・体幹・尻・ハムストリングスに張りが出ていれば準備完了。

「引く」ではなく「床を押す」。上げ切りで反らない: デッドリフトを引く動作だと思うと、作った姿勢が崩れる。腕はフックの付いたロープだと思って、床を押す力を少しずつ強めていき、その結果バーが浮く。ゼロから一気に引き上げない。うまくいけば尻だけ先に上がらず、胸と尻が同じ速さで上がる。膝を過ぎたら股関節を前へ送ってバーを迎えにいく。上げ切りで肩がかかとより後ろに行く・腰を反らせるのは伸ばしすぎで腰を痛める。腹を殴られる直前のまま尻を締め、股関節・肋骨・肩・あごが積み木のように重なった状態で止める。広背筋・ハム・尻にパンプが出るのが正解だが、腰の筋肉にも張りが出るのは正常(安定させる仕事をしている)。ただし腰に効く種目を1回のトレーニングに詰め込みすぎない。

下ろす動作でも稼ぐ。バーは体に沿わせる: 重力任せに落とすと成長のぶんを捨てることになる。上げるときの逆で、股関節を後ろへ送りながらバーを太ももに沿わせて滑らせる。バーが体から前へ離れると腰に大きなストレスがかかる。膝の皿を過ぎたところで膝を曲げ、すねに沿わせて足の真ん中へ戻す。床でバウンドさせて反動を使わない。緊張を保ったまま、そっと触れてから次の1回へ。