フェイスプル

背中

器具: ケーブル / 難易度: 初級

フェイスプルは、肩の後ろと背中上部を整える引く種目

効く筋肉

三角筋後部と僧帽筋の中下部、菱形筋に加え、肩を外へひねる棘下筋など回旋筋腱板が働きます。米国のチームが健康な成人10人で肩の外旋を伴う運動の筋電図を比較したところ、腕を大きく外へ開きながら外旋させる、フェイスプルの終盤に近い姿勢で三角筋後部の活動が最大随意収縮の88%に達したと報告しています。前へ入りがちな肩を後ろから引き戻し、押す種目とのバランスを取れます。

やり方

ロープを引き出して床と水平にしたとき目の高さにそろう位置にケーブルを設定し、ロープは下から親指が後ろを向くように握ります(フックして持つ)。スタンスは左右対称に立ち、一歩下がってロープにテンションをかけてから始めます。肘を肩の高さで左右に開いたまま、両手が肘より先に顔の横へ届くよう引きます。引き切ったら1〜2秒静止して肩甲骨を寄せ、15〜20回を3セット、軽めの重量で1回ずつ丁寧に行います。

フォームの注意点

肘より先に手が届かず肘だけが先行すると肩が内側にねじれ、ただの背中の引き寄せになります。重すぎて体が後ろへ反る場合も重量を下げてください。ロープを戻すときも手からではなく肘を寄せるように戻すと、内旋する動きを避けられます。GENT Fitnessは、戻す局面をゆっくり耐えることが筋肥大の鍵だと説明しています。アンカーが高すぎると別の動きに変わってしまうので、目線の高さより上げすぎないことも確認します。

バリエーション・代替種目

チューブを柱に巻けば自宅でも同じ動きができ、肩のウォームアップにも使えます。トレーナーの今古賀翔は、プーリーをやや低くして額の横へ向けて引くと外旋が強まり、三角筋の中部から後部を感じにくい人にも向くと解説しています。ATHLEAN-X(Jeff Cavaliere)は、種目を問わずトレーニングの最後に2セットほど加えることを勧めています。シーテッドローとは役割が重ならないので併用できます。

出典

  1. 論文・英語 Reinold MM, Wilk KE, Fleisig GS, Zheng N, Barrentine SW, Chmielewski T, Cody RC, Jameson GG, Andrews JR(2004) Electromyographic analysis of the rotator cuff and deltoid musculature during common shoulder external rotation exercises
  2. 動画・英語 ATHLEAN-X™ STOP F*cking Up Face Pulls (PROPER FORM!)
  3. 動画・英語 ATHLEAN-X™ Stop Doing Face Pulls Like This! (SAVE A FRIEND)
  4. 動画 今古賀翔【トレーニング科学】 三角筋中部〜後部を鍛えるフェイスプルのやり方【筋トレ】
  5. 動画 GENT Fitness 【筋トレ】フェイスプルでケガなく三角筋後部を鍛える方法を伝授します!

解説動画: 三角筋の中部から後部を狙うフェイスプル/今古賀翔【トレーニング科学】

概要: ケーブルマシンのプーリーを胸の上あたりの高さにセットし、ロープを通常とは逆に下側を親指側で握る。そこから上体をまっすぐ保ったまま、グリップをおでこの横あたりへ引いてくる。プーリーを顎の高さに合わせて水平に引く一般的なフェイスプルに対し、プーリーをやや下げて額へ向かって引くのがこの形だと説明している。

水平外転と外旋を同時に意識する: 引く動作では、上げた腕を後ろへ動かす肩の水平外転と、腕を外側へ回す肩の外旋という2つの動きを同時に意識する。この2つを組み合わせることで三角筋の中部から後部までが強く収縮する。イメージはボディビルのバックダブルバイセップスのポーズで、肩の後ろのくぼみを深く出すつもりで力を入れるとよいとしている。

よくある間違い: 肘だけを引いて肩の外転が伴わない形や、上半身を反らせて引く形が典型的な失敗だとしている。また肩甲骨が寄ったり肩がすくんだりすると僧帽筋に負荷が逃げるので、肩を下げたまま三角筋の中部と後部を動かす。上体は反らさず、グリップを額の横まで運んで肩を外転させることを繰り返し挙げている。

肩の怪我予防と向いている人: 普段ベンチプレスを多く行う人は肩が内旋しやすいため、外旋を伴うこの引き方を入れておくと肩の怪我の防止になると述べている。通常のフェイスプルが三角筋後部を狙うのに対し、この形は中部から後部にかけて収縮感がかなり強く出るので、肩に効かせるのが苦手な人ほど試してみるとよいとしている。

解説動画(海外・英語): STOP F*cking Up Face Pulls (PROPER FORM!)/ATHLEAN-X™

ロープは2本使う: ATHLEAN-Xによるフェイスプルの型。最初の指摘が器具で、ロープ1本でやっている時点で大きな間違い。理由は終了姿勢にあって、フェイスプルの終わりは、腕を「力こぶを作るポーズ」まで広げた位置でなければならないが、1本のロープでは腕をそこまで開けるだけの長さが足りない。アタッチメントにロープをもう1本足して、左右独立した2本にする(極端に長いロープが1本あるならそれでもよい)。

高さの合わせ方: 毎回はずさない決め方がある。ロープを掴んで、床と平行になるまで真っすぐ引き出したとき、ハンドルがちょうど自分の目の高さを指している——その高さに合わせる。これより高いと、そもそも狙った動きが成立しない(頭上へ引く別の動きになってしまい、鍛えたいものが変わる)。懸垂バーにバンドを掛けるなど、極端に高い位置しか無い場合は、体のほうを後ろへ傾けて同じ終了姿勢に持ち込む。

握り方が成否を分ける:hook em and hold em: 多くの人はロープを上から順手で握るが、それをした時点で正しく行えない。作者の言い方は「hook em and hold em」で、ロープを下からすくうように引っ掛けて、そのまま保持する。こうすると外旋しながら引ける形になり、回旋筋腱板(ローテーターカフ)が働く(順手だと逆に切ってしまう)。もう一つ条件があって、親指はロープに巻かず自由にして、自分のほうへ向けておく。この親指が引く方向の道しるべになる。

引き方:目標点と、肘の幅: 引く形を決めるのは2つ。1つは目標点で、トップでロープが床と平行、かつ目の高さに来ること。2本ロープでは顔に触れようがないので、「顔に引きつける」を目標にしてはいけない。2つ目が肘の幅で、肘を閉じてしまうのが非常に多い誤り。トップで肘を90度に曲げたまま力こぶのポーズが取れる幅を保ち、前腕を内側へ倒さない。順手で握ると、この位置で肩が内旋して挙上した状態になり、多くの人にとって具合の悪い肩の位置になる。正しくできていれば、毎回の終わりで肘は90度、親指は後方を指している。

戻し方と、余力があれば足す動き: トップまで来たら、そのまま戻してもよいが、ロープを頭の上へ持ち上げる動きを足すと僧帽筋下部まで鍛えられる。僧帽筋下部は腕を頭上へ上げるときの肩の力学を正常に保つ筋肉なので、オーバーヘッドプレスで違和感が出る人にはとくに効く。戻す局面も重要で、手から先に戻すと、せっかく避けた内旋+挙上の位置に肩を落としてしまう。ペックデックのように肘どうしを合わせる動きで戻す。最後に姿勢として、この種目は筋肥大狙いというより、普段鍛えていない筋肉を神経筋的に訓練する「補正種目」として扱う。だから15回を一気にこなすのではなく、「1回のセットを15回」と考えて、1回ずつ丁寧に行う。