ベントオーバーロー
背中
上体を倒して引く背中の総合種目
効く筋肉
広背筋と僧帽筋中部、菱形筋が主役で、姿勢を保つ脊柱起立筋と殿筋・ハムストリングスが動作中ずっと等尺性に働き続けます。背中全体をまとめて鍛えられる一方で、腰の疲労も大きい種目です。
やり方
腰幅に立ち、股関節から上体を折って床と45〜75度の角度を作ります。バーをすねの前まで下げ、みぞおちからへその間へ向けて肘を後ろへ引き上げます。触れたら止め、コントロールしながら下ろし、8〜12回を3〜4セット行います。
フォームの注意
背中が丸まったまま引くと腰椎の椎間板に強い負担がかかります。胸を張り、みぞおちを前へ向けた姿勢を最後まで保ってください。重量が勝つと体が起き上がってくるので、上体の角度が変わり始めたらそのセットは終了です。
バリエーション・代替
腰を守りたい日はチェストサポーテッドローやワンハンドダンベルローへ置き換えます。逆手で握ると広背筋の下部と上腕二頭筋が使いやすく、Tバーローにすれば軌道が安定して重量を伸ばしやすくなります。
解説動画: 背中に効かせるベントオーバーロウの組み立て方/今古賀翔【トレーニング科学】
概要:スタンスと前傾: 足幅は垂直跳びで力が出しやすい幅で、多くの人は肩幅より少し狭いくらいになる。重心は7対3から6対4でかかと側に置く。お尻を後ろに突き出して前傾し、床と上体の角度は35度から45度。倒しすぎると姿勢の保持がきつくなり、起こしすぎると可動域が狭くなってしまう。
脛は垂直、背中はまっすぐ: 前傾するとき脛はなるべく垂直を維持し、膝を前に出してしまわないようにする。背中はまっすぐのままで、曲がると腰を痛める。姿勢は大臀筋とハムストリングスで保持する。
引く位置で効く場所が変わる: 引き方は2種類ある。肘を張ってみぞおちあたりに引くと肩甲骨の内転になり、僧帽筋・菱形筋・三角筋後部・上腕筋に効きやすい。肘を畳んで足の付け根へ引くと肩関節の伸展になり、広背筋と大円筋に効きやすい。みぞおちに引くほうが腕を深く曲げるぶん腕にも効く。良し悪しではなく自分の目的で選ぶ。
腕を使わないためのコツ: バーはサムレスグリップで小指と薬指で強く握る。リストストラップは小指側から親指に向かって巻くと薬指と小指で持ちやすくなる。下げたときに腕を伸ばしきらず少し曲げたまま止めると、曲げる初動で腕を使いにくくなる。バーを上げるのではなく肘で上げる意識にすると背中を使いやすい。
解説動画(海外・英語): How to do Barbell Rows PROPERLY for a Big Back (AVOID MISTAKES!)/ATHLEAN-X™
「床から引く」形は、多くの人には早い: 近年よく指導される床から引くペンドレイロー(開始時に上体を床と90度=水平にする形)について、作者は疑問を投げている。そもそもその前傾姿勢に入れない人が多い。ハムストリングスが硬いと、腰の自然なアーチを保ったままでは下まで行けず、行こうとすると骨盤が後ろへ巻き込まれる。その脊柱が丸まった状態で荷重をかけるのは危ない。さらにペンドレイローは高い位置へ引くぶん、バーが体から離れた位置から始まる。デッドリフトではすねに沿わせてモーメントアームを小さくしろと誰もが言うのに、ローだと体から離してよい理由は無い。
目的で選ぶ:爆発力か、広背筋の肥大か: 爆発的でパワフルな動きを鍛えたいならバーベル版(床から引く形)広背筋の肥大が目的なら、より厳密な形という使い分け。多くの人は後者を目的にしていると言いながら前者のやり方をしている、というのが指摘。
ラックの中で、膝の少し下から始める: 作者の勧める形は床からではなく、ラックの中で低めにセットして、膝かその少し下の高さから始める。上体は水平まで倒さず、途中まで(自分のハムストリングスが許す範囲)。バーは体の近くを通す。手幅はバーのローレット(滑り止め)が始まるあたり=だいたい膝の外側。
引く高さと、肘の使い方: 狙いは肘を体より後ろへ最大限に送ること(それが広背筋の働き)。腰の高さへ引くより、腹の上のほう(みぞおち寄り)へ引くと、腕が体の後ろへ大きく回り、可動域が広がる。肘を外へ開くと広背筋の内転成分が失われるので、肘は体側にたたんだまま。狭めの手幅で、高い位置へ引かずに引き寄せるのはこのため。作者のキューは「バーをへし折るつもりで引く」で、折ろうとしながらひねると、広背筋が自分の内側へねじ込まれ、肘が脇へ吸い付く。もちろん実際にバーは折れないが、その意識が形を作る。