パラレルグリップチンニング

背中

器具: 自重 / 難易度: 中級

パラレルグリップチンニングは、肩にやさしい向かい合わせグリップの懸垂

効く筋肉

広背筋の下部が伸び縮みしやすく、大円筋に加えて上腕二頭筋と腕橈骨筋の関与が増えます。手のひらが向かい合うことで肩関節が自然な角度に収まり、肩を痛めやすい人でも続けやすい引く種目です。米国の大学の研究チームが、20代の男女25人(男性21人・女性4人)を対象に、順手の懸垂・逆手のチンニング・回転式の平行ハンドル(Perfect-Pullup)を表面筋電図で比べたところ、広背筋の活動量はどの握り方でも117〜130%MVIC前後とほぼ同じで、回転ハンドルが特別に筋活動を高めるわけではなかったと報告している。逆手のチンニングは順手の懸垂より大胸筋と上腕二頭筋の活動が有意に高く、順手の懸垂は僧帽筋下部の活動が有意に高かった(実験の回転ハンドルは、このページの固定式パラレルバーとは動き方が異なる点に注意)。

やり方

パラレルバーを肩幅で握り、みぞおちをバーへ運ぶイメージで肘を真下から後ろへ引きます。上体をわずかに後傾させて胸を張ると背中を使いやすくなります。上げ1秒・下げ2秒のテンポで6〜10回を3セット行います。バーを握った両手を内側へ引き合うように力を入れ続けると、この握りに取り組む海外のチャンネル『The Stone Circle』は、大胸筋も働いて回数を伸ばしやすいと述べています。

フォームの注意点

肘だけで引くと腕の種目になってしまうので、先に肩甲骨を下げてから肘を引きます。反り腰のまま腰で持ち上げると腰椎に余計な負担がかかります。骨盤は軽く後傾させ、脚を交差させて固定すると体が振れにくくなります。

バリエーション・代替種目

パラレルバーがない場合はラットプルダウンでV字のアタッチメントを使うと同じ手幅を再現できます。懸垂(チンニング)と週替わりで組み合わせると、握り方の違いで背中の当たる場所を変えられます。ニュージーランドの大学チームが、筋力トレーニング経験のある男性19人を対象に、逆手・順手・平行(ニュートラル)グリップ・ロープの4種類を表面筋電図で比べた研究では、僧帽筋(中部)の最大活動は順手の懸垂のほうが平行グリップより有意に高かった(60.1±22.5 vs 37.1±13.1%MVIC)と報告されており、背中上部を強めに使いたい日は順手の懸垂を混ぜるのも一案です。

出典

  1. 論文・英語 Youdas JW ほか(2010) Surface electromyographic activation patterns and elbow joint motion during a pull-up, chin-up, or perfect-pullup™ rotational exercise
  2. 論文・英語 Dickie JA ほか(2016) Electromyographic analysis of muscle activation during pull-up variations
  3. 動画・英語 The Stone Circle I Specialized In Neutral Grip Pull-Ups For 6 Months (Awesome Results!)

解説動画: 懸垂のグリップ3種類と、背中に効かせる引き方/ザ・きんにくTV 【The Muscle TV】

概要:3つのグリップとパラレルの位置づけ: 懸垂は広背筋や上腕二頭筋を鍛えられ、ジムに行かなくても公園の鉄棒で十分できる。グリップは順手のオーバー、逆手のアンダー、縦に平行に握るパラレルの3種類。パラレルグリップは順手と逆手の中間で、広背筋にも下部にも効かせられる両方のいいとこ取りであり、解説者自身が一番好きなグリップだという。鉄棒では平行に持てないため、実演は順手で行っている。

握り方と手幅: 握りは最初はしっかり握ってよいが、慣れてきたら親指を外すサムレスグリップを勧める。小指から薬指にかけての神経が広背筋につながっており、背中で体を引き上げやすくなる。手幅は上腕を床と平行にしたときに前腕が床と垂直になる幅が標準で、肩幅よりやや広い程度。広く持つほど広背筋の上部や大円筋の広がり、狭く持つほど下部に効きやすくなる。

腕ではなく肘を下げて引く: 背中を狙う懸垂では腕で体を引き上げない。胸を張り、肩甲骨を下げた状態から、肘を脇腹や骨盤のあたりに寄せるイメージで引く。きつくなると猫背になって腕だけで上げてしまい、これが背中に効かない最大の原因になる。できるようになったら次の段階としてお尻を締めて足を後ろに送り骨盤を前傾させると胸がより張れ、広背筋の収縮が強まる。意識する点は多いので、最初は1つか2つから身につければよい。

回数の考え方と、1回もできない場合: 懸垂は自分の体重を支えるので、うまく効かせられるほど回数はできない。体重80キロほどで10〜13回程度とし、その少ない回数で追い込めるようゆっくり行い負荷を逃がさない工夫をしている。1回もできない人は低い鉄棒を使った斜め懸垂から始める。足の位置が近いと軽く、遠くして上体を床と平行に近づけるほど重くなるので、ちょうどよい位置を探す。胸を張って肩甲骨を下げ、肘を後ろに引くという中身は同じ。

手幅を狭くするときは逆手で: 手幅を狭くする場合は逆手のアンダーグリップを勧める。広背筋の中央から下部、厚みをつける部分に効かせられる。手幅は肩幅程度で、引き上げるときに体の角度をより後ろへ倒し、バーがみぞおちよりやや下、下腹のほうへ来るように引くと広背筋下部の厚みを作りやすい。反動を使って上げて猫背になると、腕には効いても広背筋や大円筋、僧帽筋には効かない。