インバーテッドロー(斜め懸垂)
背中
器具: 自重 / 難易度: 初級
インバーテッドロー(斜め懸垂)は、角度で強度を選べる自重の水平引き
効く筋肉
広背筋・僧帽筋下部・三角筋後部・上腕二頭筋が主役で、菱形筋も動員されます。体を支えるため脊柱起立筋や腹直筋、外腹斜筋も働きます。Youdasら(2016年)が男女26人で順手・逆手や片脚支持を変えて筋電図を測ると、この4筋は61%MVICを超える高い活動を示し、脊柱起立筋の腰部や僧帽筋上・中部は41〜60%、腹直筋と胸部の脊柱起立筋は21〜40%でした。懸垂の前段階として引く感覚を安全に鍛えられます。
やり方
腰の高さに固定したバーを肩幅より少し広く握り、かかとを前に出して体を一直線にします。胸をバーへ当てにいく意識で肘を後ろへ引き、上で1秒静止します。2秒かけて腕を伸ばし、10〜15回を3セット行います。
フォームの注意点
腰が落ちて体がくの字になると背中よりも腕の運動になり、腰にも負担が残ります。頭からかかとまでの一直線を崩さないでください。顎を引き、首だけでバーへ近づかないようにすると肩甲骨が動かしやすくなります。
バリエーション・代替種目
バーを高くすると軽く、低くすると重くなるので、10回を丁寧にこなせる角度から始めます。膝を曲げて足を床につければさらに軽くなり、慣れたら足を台に乗せて懸垂(チンニング)へつなげます。同じ研究では、握りを順手・逆手で変えると広背筋の働き方が、片脚を上げて支えると僧帽筋上部の働き方も変わったと報告されています。伸びしろを感じたら試してみましょう。
出典
解説動画: 懸垂ができる人こそ斜め懸垂をやるべき理由/グッディー【40代からの懸垂ボディメイク】
入門種目という思い込み: 斜め懸垂(インバーテッドローイング)は、懸垂ができない人や女性が背中を鍛えるための種目というイメージが定着している。しかし工夫すれば本格的な背中トレーニングになると説明している。使う道具はディップススタンドとベンチ程度で、自宅でも成立するのが強み。
紹介されている研究での刺激の大きさ: 動画が挙げる海外の研究では、ある斜め懸垂が20kgを加重した懸垂、102kgのベントオーバーローイング、183kgのラックプルと同等かそれ以上の刺激を背中に与えたという結果が出ている。とくに逆三角形を作る広背筋への刺激が大きい。 重い物を体に乗せたり引き上げたりしないので腰への負担が圧倒的に少ない点も、自重で鍛える人には利点になる。
足を上げるだけで強度が跳ね上がる: 研究で使われたのは足を台に乗せる足上げ(エレベーテッド)版。ベンチや台など地面より高い位置に足を置くだけで一気にきつくなり、体感としてはワイドグリップの懸垂をしっかりやるくらいになるという。低い鉄棒で足を床につけて行うイメージのままでは、この強度には届かない。
グリップによる効き方の違い: 順手で行うと僧帽筋など背中の厚みをつくる筋肉に、逆手で行うと広背筋に効く。研究結果からすると逆手バージョンがかなり勧められるとしている。 投稿者自身が好むのはパラレルグリップ(縦向きの握り)。順手ほど前腕に、逆手ほど上腕二頭筋に頼らないため、腕の関与を抑えて背中に集中できる。あえて狙うなら、二頭筋の奥にある上腕筋が鍛えられる。