ルーマニアンデッドリフト
脚・尻
股関節を折って太もも裏を鍛える種目
効く筋肉
膝を軽く曲げたまま股関節を折る動作で、ハムストリングスと大殿筋が伸ばされながら強く働きます。姿勢を保つ脊柱起立筋も動員され、体の後ろ側をひとつながりで鍛えられる種目です。
やり方
バーを肩幅で持って直立し、膝を15度ほど曲げた角度で固定します。お尻を後ろへ引きながらバーを太ももに沿わせて下ろし、太もも裏の張りが最大になる位置で切り返します。8〜12回を3セットが目安です。
フォームの注意
背中が丸まった状態で下ろすと腰椎の椎間板に負担が集中します。下ろす深さは背中がまっすぐ保てる範囲までと決め、床まで下ろす必要はありません。バーは体から離さず、脚に触れる距離を保ちます。
バリエーション・代替
片脚で行うシングルレッグ版はバランス能力も同時に鍛えられます。膝をさらに伸ばして可動域を広げるならスティフレッグデッドリフト、マシンで補うならレッグカールが組み合わせやすい相手です。
解説動画: ルーマニアンデッドリフトのやり方|ハムストリングスを狙うフォーム/今古賀翔【トレーニング科学】
狙う筋肉と動きの中身: 主なターゲットはハムストリングスと大臀筋で、次いで脊柱起立筋群、さらに広背筋も関与する。動作の主役は股関節の伸展(ヒップヒンジ)で、腰椎と胸椎の伸展は曲がらないよう保つアイソメトリックな働き、そこに肩の伸展が加わる三つの動きで構成されると説明している。
通常のデッドリフト・スティフレッグとの違い: 呼び方の認識には幅があると断ったうえで区別している。ルーマニアンデッドリフトは膝を少し曲げるもののスネを地面と垂直に保つのが特徴で、ハムストリングスと大臀筋が主役になる。通常のデッドリフトはスネが垂直より前に出るぶん脊柱起立筋群や外側広筋の関与が増え、スティフレッグは膝を曲げずまっすぐのまま行うため股関節の伸展の役割がさらに大きくなる。
握り方とセットアップ: バーはラックの膝より少し下にセットして持ち上げる。握りは両手とも順手のダブルオーバーハンドで、幅は腰幅より少し広め。狭すぎると手が膝に当たる。左右で持ち方を変えるオルタネイトグリップは背中に左右差が生まれるので使わず、握力はストラップやパワーグリップで補助する。足幅は腰幅、つま先は10〜20度ほど外に向け、膝とつま先の向きを揃える。
下ろし方と切り返し: スネを垂直に保ったまま、ドアをお尻で閉めるように股関節を後ろへ突き出し、上半身を前に倒していく。背中は腰・肩・頭が一直線になるようまっすぐ保ち、お腹の下の方に空気を入れて広背筋に力を入れ、肩を下げてバーを体に引きつける。バーの軌道は足の中心の真上を垂直に上下させる。重心はかかと寄り。ハムストリングスが伸びた感覚が出たら、お尻を締めながら前に突き出して上半身を起こす。
よくある三つのエラー: 膝が前に出てスネが倒れる、上半身が起きすぎている、この二つは股関節の関与が減って狙いから外れる。三つ目は可動域を取りすぎて腰が丸まるパターンで、床を基準に下ろすのではなく腰が曲がる手前で切り返す。ストレッチ感が分からない人は、つま先の下に小さいプレートを挟んでつま先を上げるとハムストリングスの伸びを感じやすくなる。
解説動画(海外・英語): HOW TO DO ROMANIAN DEADLIFTS (RDLs): Build Beefy Hamstrings With Perfect Technique/Jeff Nippard
RDLとスティフレッグデッドリフトはどこが違うのか: 英語圏でもよく混同される2つを、まずはっきり分けている。RDLはラックから始めて膝の少し下で折り返すのに対し、スティフレッグは床から始めてプレートが床に着くところまで下ろす。大殿筋とハムストリングスを育てる目的ならRDLのほうが好みで、床からのデッドリフトの記録に効かせたいならスティフレッグのほうが移りやすい、という使い分けを示している。またハムストリングスは股関節と膝の両方をまたぐ筋肉なので、レッグカールのような膝を曲げる種目と、RDLのような股関節を折る種目の両方を入れるのがプログラムとしては良い、としている。
セットアップ:バーの高さ、握り、立ち位置: バーはラックのデッドリフトのロックアウトより少し低い高さにセットする。握りは太ももの少し外側、肩幅ほど。RDLは通常のデッドリフトより軽いので両手とも順手で握れるはず。重いセットではオルタネイトグリップやストラップを使ってもいいが、全種目で頼りきりにはしない。ラックから外したらスクワットと同じように3歩下がり、足は肩幅、つま先は10度ほど外へ。手は脚の外側に来る。スモウ幅のRDLは可動域を出せる人が少なく扱いにくいので、通常スタンスを勧めている。
膝を前に出さず、股関節だけを後ろへ送る: 下ろす前に胸と腹を持ち上げるように張って脊柱を伸ばした状態を作り、バーを軽く後ろへ押して広背筋を締める。動作は股関節をまっすぐ後ろへ送り、すねは垂直のまま。膝は軽く曲がるのは良いが、スクワットのように膝が前へ出てはいけない。膝の前に壁があると想像するとよい。バーは足の真ん中の真上を保ち、すねに沿わせる。下ろす深さは腰が丸まる/上体が前に落ちる直前までで、腕が極端に長い人か柔軟性が高い人を除けば膝下からすねの中ほどで終わる。RDLでプレートが床に着くことはない。切り返しは股関節を前へ送りながら胸を起こす。
尻を狙うか、ハムストリングスを狙うか: トップで尻を強く締めて骨盤を後傾させ、バーを少し前へ動かすと大殿筋の関与が増える。一方この動画の作者は、RDLはハムストリングス寄りに使いたいので、骨盤の後傾までは足さず、股関節が伸びきる手前で終えることが多いという(尻は股関節伸展でどのみち強く働くため)。上級者向けとしてつま先の下に2.5kgプレートを敷くと、ハムストリングスの下側の伸びを感じやすくなる人がいる。
いちばん多い失敗は「下ろしすぎ」: 全種目の中でも技術を間違える人がいちばん多い種目だとしている。可動域は広いほど良いという思い込みでプレートを床まで下ろすと、股関節の可動域が増えているのではなく腰が丸まっているだけ。台やベンチの上に立ってさらに深く下ろす人までいるが、ハムストリングスの張力は増えないまま肉離れのリスクだけが上がる。男女とも大半はすねの中ほどより上で終わるのが正しい。次に多いのが膝が前に出てしまう形で、たいていは重量が重すぎるのが原因。デッドリフトの上半分のような動きになり、ハムと尻から負荷が抜けて大腿四頭筋の種目になってしまう。もう一つが股関節を後ろへ送らずに沈めてしまう形で、バーが前に離れる・膝が曲がりすぎる・上体の張りが抜けるといった問題を連鎖的に起こす。代替はダンベルRDLやグッドモーニング。