フロントスクワット

脚・尻

上体を立てて前ももに寄せるスクワット

効く筋肉

バーを鎖骨の上で支えるので上体が起き、大腿四頭筋への刺激が強く出ます。大殿筋やハムストリングスも働きますが、担ぎ方の違いで背中側より前ももに配分が寄るのがこの種目の性格です。

やり方

バーを鎖骨と肩の前側に乗せ、肘を高く上げて棚を作ります。足幅は肩幅、腹圧を保ったまま太ももが床と平行かやや下まで沈み、肘の高さを保ったまま立ち上がります。4〜6回を3〜4セットから始めると軌道を崩さずに扱えます。

フォームの注意

肘が下がるとバーが前へ転がり、背中が丸まって腰に負担が集中します。手首が硬い人は指先だけでバーを支える持ち方に変えます。視線は正面、みぞおちを高く保つと沈み込みでも上体角度が変わりません。

バリエーション・代替

肩や手首が硬い場合はゴブレットスクワットで同じ上体角度を練習できます。マシンで代用するならハックスクワットが近い刺激で、前ももを主役にしたい日の主種目として組み込めます。

解説動画: フロントスクワットの担ぎ方としゃがみ方/相澤隼人 / Hayato Aizawa

概要: バーベルを体の前で担ぐスクワットで、話し手が日本一になる前に新しく取り入れた種目だという。狙いは脚よりもまず体幹部の強さと体全体の連動性で、体の前で100kg以上を支えるためそれに対応する能力が育つ。大腿四頭筋に効きやすい姿勢になるのは後付けの理由で、当時弱かった上半身と体幹を強くしたい意図で始めたと語っている。

バーの担ぎ方: 前ならえをして腕がまっすぐ伸びる位置、つまり鎖骨から肩へのライン上にバーを乗せる。首に食い込むのは避けられないので割り切る。持ち方はウェイトリフティング式でも腕をクロスさせる形でもよい。バーの下に入って一度前ならえの形を作り、そのまま立ち上がる。腕を前へ伸ばしたゾンビのような姿勢で重心位置を確かめるのが最初のステップで、実際には手は添えるだけになる。

胸を上げたまましゃがむ: 足幅は肩幅よりやや広め、つま先は軽く外へ向ける。重心が前にあるので前傾しすぎるとバーは必ず落ちる。そこで腰を反るのではなく、鎖骨が顎へ近づくように胸を上げてホールドする。ただし上体を倒すまいと意識しすぎて膝だけ前に出ると股関節が使えなくなる。少しは股関節を折らないとしゃがめないので、胸が上がった状態のまま膝と股関節を連動させる。

深さは床を押せる範囲で決める: 可動域は広ければよいというものではないとしている。長いストロークで動いていても、制御せず重さに任せて落ちているなら意味がなく、トップでもボトムでも足裏で床を押して安定していられる範囲でしゃがむのがよい。フルボトムは筋肉が伸びる点で優れるが、まず体が適応できるかが先で、能力の高い人の真似をして怪我をしては元も子もないと述べる。

組み込み方: レールで動きが決まるスミスマシンと違い、フリーウェイトはあらゆる方向の制御が必要で、そこが体幹を強くする理由だとしている。自身はスクワットの後にこの種目を置き、スクワット自体も序盤ではなく中盤に入れて腰への負担を抑えていた。難しい種目だが、できること自体が体の能力の目安になるので食わず嫌いせず試すよう勧めている。

解説動画(海外・英語): HOW TO FRONT SQUAT: Build Bigger Quads & A Stronger Squat/Jeff Nippard

上体が立つぶん、脚より先に上背部が音を上げる: どのスクワットでも、大腿四頭筋による膝の伸展と大殿筋による股関節の伸展が同時に起こる。Jeff Nippardはブレット・コントレラスのバイオメカニクス本の図を示し、バーは常に足の中央の真上に乗っていなければならないため、バーが体の前にあるフロントスクワットでは上体を立てたまま保つ以外にバランスの取りようがないと説明する。バックスクワットが前傾するのに対しフロントスクワットが直立に近いのはこのためで、これが両者の最大の違いになる。結果として大腿四頭筋の仕事量が増えるうえに、上体を起こし続ける上背部の負担が大きく跳ね上がる。実際に経験のある人ほど、潰れる原因は脚ではなく僧帽筋と菱形筋が胸椎を伸ばし続けられなくなることだと言う。Nippardはこれを欠点ではなく利点と捉え、バックスクワットの弱点をそのまま鍛えられるので素のスクワット力を伸ばす補助種目としては最良だと主張する。

軽い重量でバックスクワット並みの刺激という2015年の研究: 筋活動のパターンについて、2015年のコントレラスらの研究では、フロントスクワットは扱う重量が軽くなるにもかかわらずバックスクワットと似た刺激を与えていたという結果が出ている。つまり同程度の筋肥大刺激を、より軽い重量で得られるわけで、長い目で見れば怪我のリスクを下げられる可能性がある、というのがNippardの読み方。回数は6〜8回の低〜中回数帯を勧めている。これより重くすると上背部が先に限界を迎えてフォームを保てなくなり、逆に軽い重量で高回数にすると筋よりも呼吸・持久系への負荷が主役になってしまって狙いから外れる、という理由づけだ。

担ぎ方は3通り、第一推奨はオリンピックグリップ: バーの担ぎ方(ラックポジション)は3通りある。第一推奨はオリンピックグリップで、バーを肩のすぐ後ろに置き、首の前に触れさせる。最初は不快に感じるが、軽く首を絞められている感覚があれば、たいてい位置は正しい。手のひらで握り込まず指2〜3本にバーを乗せ、手は肩幅より少し外に置く。そこから上腕が床と平行になるまで肘を上げ、正面から見て肘が真っ直ぐ前を向く形を作る。肩や手首の柔軟性が足りない人向けの2つ目はストラップを使う方法で、バーに回したストラップの端を握れば肘を上げたままにできる。ただしNippardはこれを一時しのぎと位置づけ、最終的には手首と肩の可動域を改善して補助具なしで行うことを勧める。3つ目のクロスグリップはバーを同じ位置に乗せて腕を前で交差させる形で、多くの人が実際に使えている方法ではあるが、バーが安定しにくく、疲れると肘が下がって前傾しやすいため、限界近くまで追い込む使い方には向かないとする。

構えから切り返して立ち上がるまでの流れ: ラックから外すときは肘を上げたまま股関節を前に出して担ぎ、3歩下がって、つま先を15〜30度外に開いて立つ。足幅は最低でも肩幅より広く、ただし深さが出せなくなるほど、あるいは尻が後ろに逃げるほど広げない。横隔膜まで息を吸って止め、バーをわずかに押し上げながら胸を張って胸椎を伸ばし、そこから後ろに座るのではなく真下に沈む。フロントスクワットで後ろに座ると肘が落ちてバランスを崩すので、膝と股関節を同時に、あるいは膝から先に折る。膝はつま先と同じ方向へ前と外に押し出す。バックスクワットより膝が前に出るがそれで問題なく、「膝はつま先を越えてはいけない」は俗説だと別動画で扱っている。深さはバックスクワットより出しやすいので少なくともパラレル、できればそれ以上まで。止めずに切り返して底での伸張反射を使い、母趾球・小趾球・かかとに均等に踏み込み、胸と肘で引き上げるように立つ。詰まったら股関節をバーの下へ潜り込ませるつもりで前に出し、同時に膝を外へ押す。

肘落ちとかかと浮き、そして代わりになる種目: 最も多いミスは肘が落ちること。初心者ほど、また疲れるほど自然に落ちてしまうので、ラックから外す前に肘を上げ切り、視線は前かやや上に置き、とくに沈む局面で意識的に高さを保つ。次に多いのがかかとの浮きで、胸や肘が落ちて重心が前へ流れる場合と、足首の可動域不足の場合がある。後者ならトレーニング前にふくらはぎと足首を軽くフォームローラーでほぐして動的ストレッチを行い、トレーニング後に静的ストレッチを入れるとよい。つま先をもう少し外に開く、かかとの高いリフティングシューズを使う(足首に求められる可動域が減る)のも有効。ただしかかと重心を意識しすぎると後ろに座る動きになるので、足裏3点に均等に乗る意識は崩さない。どうしてもフロントスクワットができない場合、筋肥大目的ならハックスクワット系のマシンが代替になるが、上背部を鍛えないためバックスクワットへの波及効果は望めない。ゴブレットスクワットも代わりになるものの、ダンベルの重量に頭打ちがあるので、ある程度上級になると高回数で扱う必要が出てくる。