バーベルスクワット

脚・尻

器具: バーベル / 難易度: 中級

バーベルスクワットは、下半身づくりの土台になる基本種目

効く筋肉

主に働くのは大腿四頭筋と大殿筋で、背中と腹圧は担いだ姿勢を保つために使われます。9週間の研究(34人・MRIで測定)では、大殿筋の太さの伸びがヒップスラスト群と同程度で、大腿四頭筋と内転筋はスクワット群のほうが大きく伸びました。ハムストリングスは膝が曲がったままなので長さがあまり変わらず、寄与は小さいと Jeff Nippard は説明しています。

やり方

バーを僧帽筋の上に乗せ、足幅は肩幅かやや広め、つま先は15〜30度外へ向けます。息を吸って腹圧を高め、股関節から先に折りながら太ももが床と平行になるまで沈み、足裏全体で床を押して立ち上がります。Jeff Nippard は、筋肥大なら5〜10回、筋力なら3〜6回が目安で、10回を超えると心肺が先に疲れてフォームが乱れると話しています。フォームが固まるまでは重さを落とし、正しい形で扱える重さから上げていきます。

フォームの注意点

バックスクワットはフロントスクワットより膝にかかる力が大きいことが、健康な鍛錬者15人を対象にした比較研究で報告されています。圧縮力と膝の伸展モーメントがどちらも有意に大きく、一方で、全体の筋動員はフロントと同程度でした。膝に痛みがあるうちは重さを下げ、フロントスクワットなどと使い分けます。整形外科など医療者に相談してください。

バリエーション・代替種目

Jeff Nippard は、研究ではハイバー(バーを僧帽筋の上に担ぐ)がやや大腿四頭筋寄り、ローバー(三角筋後部の上に担ぐ)がやや股関節寄りになりうると説明しています。深くしゃがめないうちはゴブレットスクワットで姿勢を作ってから移ると安全です。補助者がいないときはスミスマシンスクワットやレッグプレスに置き換え、セーフティバーを必ず膝下の高さに設定しておきます。

出典

  1. 論文・英語 Plotkin DL ほか(2023) Hip thrust and back squat training elicit similar gluteus muscle hypertrophy and transfer similarly to the deadlift
  2. 論文・英語 Gullett JC ほか(2009) A biomechanical comparison of back and front squats in healthy trained individuals
  3. 動画・英語 Jeff Nippard How To Get A Huge Squat With Perfect Technique (Fix Mistakes)

解説動画: スクワットでやりがちな5つのミス/Hidetada Yamagishi - Big Hide Channel OFFICIAL

概要:ラックの高さから見直す: 動作に入る前にラックの設定を見直すべきだとする。バーの位置が高すぎると、担ぐときにつま先立ちで外すことになり危険なうえ、スクワットに入る時点で重心がずれてしまう。一見低すぎるように見えても、そこから軽くしゃがんで重心がまっすぐのまま担げる高さのほうが、高重量を安全に扱えると説明している。

担いだら1、2歩で足位置を決める: バーを取った後に足のポジション決めでもたつき、細かく何歩も歩いてしまうのが2つ目のミス。重心がずれると、同じ重さでも高重量のときにより重く感じてしまう。担いだら1、2歩でポジションを決めると重心がぶれず、エネルギーの消耗も少なくて済む。

スタンスはかかと腰幅・つま先やや外: かかとが腰の広さ、つま先はやや外に開いて上から見ると逆八の字になる形が正しいスタンス。つま先をまっすぐにして幅を狭くすると大腿四頭筋に効くという意見もあるが、スクワットやベンチプレスは最も力が出るポジションで行うことが大事だとしている。

深さは膝90度以下、バウンドさせない: しゃがみが浅すぎるのが4つ目のミス。目的があってのパーシャルなら別だが、脚を発達させるには膝の角度が90度かそれ以下になるまでしゃがむ必要がある。逆に、しゃがんだ底でバウンドをつけて上げるのは膝を痛める可能性があるので避ける。

膝が中に入らない: 最後のミスは、しゃがんだときに膝が内側に入ってしまうこと。膝は常につま先と同じ方向、つまりやや外を向いた状態のまま変わらないのが正解で、内に入れて立ち上がると膝を痛める危険が大きいとしている。

解説動画(海外・英語): How to PROPERLY Squat for Growth (4 Easy Steps)/Jeremy Ethier

バーを担ぐ前に、自分に合うスタンスを見つけておく: 骨格は人によって違うので、軽い重りを胸の前で持って何度かしゃがみ、足幅を2〜3センチずつ広げながら「いちばん深くしゃがめて痛みが出ない幅」を探すところから始める。つま先は無理にまっすぐにせず少し外へ開く。スタンスが広いほどつま先も外を向く。バーは首の付け根の骨ではなく僧帽筋の肉の上に乗せ、手幅は手首・肩・肘が痛くならない範囲でできるだけ狭くする(狭いほど上背部が締まって安定する)。ラックから外したら3歩だけ下がり、3歩目で足幅を決める。足裏は母趾球・小趾球・かかとの3点で均等に踏む。

しゃがむ前に全身に力を入れる: レッグプレスは強いのにスクワットは弱く不安定、という人はここが抜けている。足で地面をねじって(かかとを近づける方向に)床をつかみ、骨盤は水のボウルをこぼさないイメージで後傾させて水平にし、内もも・尻・大腿四頭筋を締めて固定する。上半身は肘を後ろに向けると上背部の締まりが抜けるので、肘をバーの下へ前に引き、バーを折り曲げるつもりで下に引きつける。これで広背筋が働いて背中が安定する。最後にベルトの全周を押し広げるように360度に息を入れて、強く咳をした瞬間のように腹圧をかける。

どこまで深くしゃがむか。膝がつま先を越えても構わない: ハムストリングスで自分を引き下ろすように降り、膝はつま先と同じ方向へ開く。深さについては、ハーフスクワットと深いスクワットを週2回・10週間比べた2019年の研究で、大腿四頭筋の成長は同等だったが尻と外転筋は深いグループのほうが明らかに大きくなった。最低でもパラレル(太ももが床と平行)付近までは落としたい。ただし、しゃがむと上体が前に倒れる・かかとが浮く・腰が丸まる(バットウィンク)なら、まだその深さに耐えられない合図で、原因は足首の可動域不足(かかとの下にプレートを敷いて試す)か体幹と尻の弱さ(スミスマシンなど安定した種目から)のどちらか。なお膝がつま先より前に出るのを木の板で禁じた研究では、膝への圧は少し減る代わりに股関節と腰への負担が大きく増えた。膝が内外にぶれずつま先と同じ方向へ進んでいるなら、前に出ること自体は問題ない。

立ち上がりで尻だけ先に上げない: いちばん多い失敗は、尻を後ろに突き出して上体が前に倒れること。腰に負担が集中する。胸と尻を同じ速さで上げるのが正解で、床を押し返す・僧帽筋でバーを押し上げると意識する。膝はつま先の方向に開いたままにして尻を働かせ続ける。立ち切るときに一気に息を吐くと腹圧が抜けるので、唇を狭くして少しずつ吐き、吐き切ったらまた360度に息を入れて次の1回へ。降ろすときは重力に任せず、底で0.5秒止めてから切り返す。研究上ここが成長にいちばん効く局面とされている。