インクラインダンベルプレス

胸

器具: ダンベル / 難易度: 中級

インクラインダンベルプレスは、胸の上部を深い可動域で伸ばす

効く筋肉

大胸筋の上部(鎖骨側)が主役で、三角筋前部が補助に入ります。筋トレ経験者20人(男女10人ずつ、24.0±3.0歳)が70%1RMで6回ずつ比べた研究では、大胸筋の活動はインクラインのダンベルよりデクラインのダンベルのほうが高くなりました(p=0.011)。大学生と未経験の女性24人の別の研究では、大胸筋の鎖骨側の活動は下ろす動作でベンチ・ショルダープレスより高い結果でした。

やり方

ダンベルを膝に乗せて座り、片方ずつ膝で蹴り上げて胸まで運びます。ベンチを30度前後に起こし、肩甲骨を寄せてブリッジを作り、今古賀翔(トレーニング科学)は、下ろした位置で前腕が地面と垂直になるよう保ち、肘を体幹から60〜80度ほど開いて構えるよう説明しています。上げるときは甲を描くような軌道で肘を内側へ絞ります。10〜12回を3セット。

フォームの注意点

反動で肘を伸ばしきると肩と肘に衝撃が集中します。Jeremy Ethier は、肘を内側へ曲げて腕を短くすると負荷が上腕三頭筋へ逃げ、肩を丸めると三角筋前部が主に働きやすいと説明しています。ダンベルが肩の真上で伸びきったら、そこで押し続けずに止めます。腰が浮いてしまうようなら重量を落とします。頭がベンチから離れると首の力みにつながります。

バリエーション・代替種目

同じ角度のままインクラインダンベルフライへつなぐと上部を最後まで追い込めます。角度が固定のベンチしかない場合はインクラインベンチプレスで代用できます。バーベルでトレーニング経験のある成人30人を比べた研究では、45度を超えると三角筋前部の活動が有意に高まり、大胸筋の働きは下がりました。ケーブルを使っても近い方向の負荷を作れます。

出典

  1. 論文・英語 Rodríguez-Ridao D ほか(2020) Effect of Five Bench Inclinations on the Electromyographic Activity of the Pectoralis Major, Anterior Deltoid, and Triceps Brachii during the Bench Press Exercise
  2. 論文・英語 Christian JR ほか(2023) Analysis of the Activation of Upper-Extremity Muscles During Various Chest Press Modalities
  3. 論文・英語 Luczak J ほか(2013) Shoulder Muscle Activation of Novice and Resistance Trained Women during Variations of Dumbbell Press Exercises
  4. 動画・英語 Jeremy Ethier STOP Doing Dumbbell Press Like This (5 Mistakes Slowing Your Chest Gains)
  5. 動画 今古賀翔【トレーニング科学】 【大胸筋上部】インクラインダンベルベンチのやり方【筋トレ】

解説動画: インクラインダンベルプレスで大胸筋上部を狙う/山澤礼明【筋肉チャンネル】

胸トレの中での位置づけ: ダンベルとインクラインベンチだけで組む胸トレの2種目目として行っている。1種目目のダンベルフライで中部を、この種目で上部を担当する構成。1種目目、2種目目と進んでも扱う重量が下がらないのが望ましいという考えで、動画ではフライと同じ35kgで実演している。

角度と上げてくる軌道: ベンチは40度に設定し、お尻側も少し上げておく。プレスなので真っすぐ下ろすが、ダンベルをハの字に開いた位置から、拳を内側にひねるようにして上げてくると大胸筋上部の関与が高まる。大胸筋の内旋という働きを使うためのコツ。

ストレッチとロックアウト: 深く下ろして大胸筋を最大限伸ばしたところから上げるのが重要。上げ切って肘を伸ばしきると負荷が抜けるため、ノンロックで止める。上げながら大胸筋が縮んでいく感覚をたどるようにマッスルコントロールすると、同じ動作でも効果がまったく違うと述べている。

レップ数とインターバル: 大胸筋は平行筋なので15レップ前後がいちばん発達しやすいとして、1セット目が15回になる重量を選ぶ。2セット目以降は13回、11回と落ちてかまわない。 インターバルは5分と長めにとる。2分程度で次に行くとパワーが落ち、結果的に筋肥大につながらないという理由。軽めに20レップを狙う日は3分程度でよい。