治眾如治寡、分數是也
名句
篇: 勢篇(中巻 第五)
治眾如治寡、分數是也は、大軍を少数のように治める仕掛けを、分数と形名の二語で言う、勢篇の冒頭の一句。
原文と書き下し
「凡治眾如治寡、分數是也;鬥眾如鬥寡、形名是也」(凡そ衆を治むること寡を治むるが如きは、分数是れなり。衆を闘わしむること寡を闘わしむるが如きは、形名是れなり)。
原文の意味
原文は、大勢を少人数のように治められるのは「分数」によるとし、大勢を少人数のように戦わせられるのは「形名」によるとする。分数・形名がそれぞれ何かは、この句の中では説明されていない。
篇の中での流れ
勢篇の冒頭に置かれ、続いて、三軍が敵を受けても敗れないのは奇正によるという句、勢いの話へ進む。篇名の「勢」の話に入る前の、軍の編成と指揮の仕組みにあたる。
注釈で読みが割れるところ
語の中身は注が説明する。曹操は、部曲を「分」、什伍を「数」、旌旗を「形」、金鼓を「名」と定義する。李筌は、一つの金と旗で三軍が応じる号令の秩序を強調し、張預は、兵が旗の形を見て進退する視聴覚の統制として説く。杜牧は、形名を含めた全体の秩序として、曹操より広く読む。
よくある言い換えとのずれ
「大きな組織も小さな組織のように動かせる」という一般的な組織運営の標語として引かれることがあるが、原文の答えは「分数」「形名」という、編成と旗・金鼓の合図という具体的な仕組みで、心構えを説く句ではない。