非利不動、非得不用、非危不戰

名句

篇: 火攻篇(下巻 第十二)

非利不動、非得不用、非危不戰は、利がなければ動かず、得るものがなければ用いず、危うくなければ戦わないと、戦を起こす基準を三つ並べる一句。

原文と書き下し

「非利不動、非得不用、非危不戰」(利に非ざれば動かず、得るに非ざれば用いず、危うきに非ざれば戦わず)。

原文の意味

原文は、利がなければ動かず、得るところがなければ兵を用いず、危うい状況でなければ戦わないと、軍を動かす条件を三つ並べる。三つとも「〜でなければ〜しない」という否定の形で書かれている。

篇の中での流れ

火攻篇の終わり近く、「明主は之を慮り、良将は之を修む」という句に続いて置かれ、直後に「主は怒りを以て師を興すべからず」の句が続く。利で判断することと、怒りで判断しないことが、前後で並んでいる。

注釈で読みが割れるところ

三つの語が指す中身が注で違う。杜牧と李筌は、軍を起こす前に得られる利を見定めることと読み、賈林は、利や得が無ければ用いないと簡潔に言う。梅堯臣は、民に利がなければ軍を興さないと、利の向き先を民に置く。張預は、「危」について、兵は凶器で戦は危険なことなので、やむを得ないときにだけ用いると読む。

よくある言い換えとのずれ

「損得で判断せよ」という損得勘定の勧めとして引かれることがあるが、注が読む「利」には、民の利まで含めるものがあり、「危」も、戦を軽々しく始めないための限定として読まれている。