善守者、藏於九地之下

名句

篇: 形篇(上巻 第四)

善守者、藏於九地之下は、守りは地の底に隠れ、攻めは天の上で動くという、形篇の攻守の喩えの一句。

原文と書き下し

「善守者、藏於九地之下;善攻者、動於九天之上、故能自保而全勝也」(善く守る者は、九地の下に蔵れ、善く攻むる者は、九天の上に動く。故に能く自ら保ちて全く勝つなり)。

原文の意味

原文は、守りに巧みな者は「九地の下」に身を隠し、攻めに巧みな者は「九天の上」で動くと、地の底と天の上という両極の喩えで言い、その結果として、自分を損なわずに完全な勝ちが得られると結ぶ。

篇の中での流れ

形篇で、勝てないようにすることを守り、勝てる機会を捉えることを攻めとして対にした議論に続く一句。

注釈で読みが割れるところ

「九地」「九天」の読みが注で分かれる。曹操は、山川丘陵の固さに因ることと、天の時の変に因ることと読む。李筌は遁甲という術数の書を引き、九天の上には陣を布き、地は伏せ隠すのに適すと読む。杜牧は、守りは声も跡も消して幽くなること、攻めは迅速で備えられないことと読み、梅堯臣と張預は、深くて測れないこと、高くて測れないことの喩えと読む。

よくある言い換えとのずれ

「攻めも守りも極めよ」という意味で「九天九地」の語が引かれることがあるが、原文は攻めと守りを別々の極意として言うのではなく、「故に能く自ら保ちて全く勝つ」という一つの結果に結んでいる。