兵以詐立

名句

篇: 軍争篇(中巻 第七)

兵以詐立は、兵は詐りで立ち、利で動き、分合で変ずると述べ、風林火山の四句へつなぐ一句。

原文と書き下し

「故兵以詐立、以利動、以分合為變者也」(故に兵は詐を以て立ち、利を以て動き、分合を以て変を為す者なり)。

原文の意味

原文は、軍は詐りによって成り立ち、利によって動き、分かれたり合わさったりすることで変化を作ると述べる。詐・利・分合の三つが、軍が動くときの基本の形として並べられ、この一句のすぐあとに風林火山の四つの姿が続く。

篇の中での流れ

軍争篇の中盤に置かれ、直後に「其の疾きこと風の如く」で始まる風林火山の四句が続く。

注釈で読みが割れるところ

「分合」の説明は、兵力を実際に分けたり合わせたりすることに重心を置く注と、奇正の入れ替えに重心を置く注がある。曹操は敵に応じて一たび分け一たび合わせることと言い、梅堯臣も、分けたり合わせたりして敵を幻惑すると読む。張預は、奇正を変えて敵に測らせないことと説く。大きくは食い違わない。

よくある言い換えとのずれ

「兵は詭道なり」と並べて、「戦いはだまし合い」という言い切りとして引かれることがあるが、この句は「詐」「利」「分合」を三つ並べたうちの一つで、すぐあとの風林火山の句で、速さ・静けさ・勢い・動かないことの使い分けへ展開する。