知勝有五

名句

篇: 謀攻篇(上巻 第三)

知勝有五は、勝ちを見通せる条件を五つ並べ、「彼を知り己を知る」の句へつなぐ、謀攻篇の一節。

原文と書き下し

「故知勝有五」に続く「知可以戰與不可以戰者勝、識眾寡之用者勝、上下同欲者勝、以虞待不虞者勝、將能而君不御者勝」(戦うべきと戦うべからざるとを知る者は勝ち、衆寡の用を識る者は勝ち、上下欲を同じくする者は勝ち、虞を以て不虞を待つ者は勝ち、将能にして君御せざる者は勝つ)。

原文の意味

原文は、戦うべき時と戦うべきでない時を知ること、兵の多い少ないに応じた使い方を知ること、上も下も望みを同じくすること、備えを整えて備えの無い相手を待つこと、将が有能で君主が口を出さないこと、この五つを「勝ちを知る」条件として挙げる。そのあとに「彼を知り己を知る」の句が続く。

篇の中での流れ

謀攻篇で、兵力に応じた動き方、将が国の補佐であるという話、君主が軍に口を出して失敗する話を述べたあとに置かれ、勝ちの見通しを立てる条件をまとめる位置にある。

注釈で読みが割れるところ

五つの条件を、注釈者はそれぞれ別の故事や制度で説明する。読みが割れるというより、何で裏づけるかが違う。「識衆寡之用」では、杜牧が戦国の王翦の例を引き、杜佑は軍の勝ちは和にあって数にないと言う。「上下同欲」は、曹操が君臣が欲を同じくすることと注し、何氏は「天時不如地利、地利不如人和」の語を引く。「將能而君不御」は、李筌が周亜夫の例を、何氏が将に軍を授ける古い儀礼を挙げる。

よくある言い換えとのずれ

「上下同欲者勝」や「将能而君不御者勝」が、それだけで組織の結束や権限委譲を言う格言として引かれることがあるが、原文はこれらを、「備えて備えの無い相手を待つ」「衆寡の用を識る」などと並ぶ五つのうちの二つとして置いている。