微乎微乎、至於無形
名句
篇: 虚実篇(中巻 第六)
微乎微乎、至於無形は、形も音も消えるところまで至れば、敵の命運を握ると、虚実の話を締める一句。
原文と書き下し
「微乎微乎、至於無形;神乎神乎、至於無聲、故能為敵之司命」(微なるかな微なるかな、無形に至る。神なるかな神なるかな、無声に至る。故に能く敵の司命と為る)。
原文の意味
原文は、微妙さが極まれば形が無くなるところまで、神妙さが極まれば音が無くなるところまで至ると詠嘆し、そうなれば敵の「司命」、つまり命運を司る立場になれると結ぶ。何をどうすれば形も声も無くなるのかは、この句の中では述べられていない。
篇の中での流れ
虚実篇で、攻めも守りも敵に知られないという句のあとに置かれ、続いて、虚を衝けば防げないという句へ進む。
注釈で読みが割れるところ
「司命」は命を司る意で、李筌・杜牧・張預が、敵の死生が自分の側にかかることと注する点で近い。何氏は、この句を虚実の変化が極まったところと位置づけ、虚実の話全体の到達点として読む。
よくある言い換えとのずれ
「無形」が、形にとらわれない境地を説く句として語られることがあるが、原文は「故に能く敵の司命と為る」という軍事上の結果に続けていて、直前の、攻守を敵に知られないという話の延長として置かれている。