攻其無備、出其不意
名句
篇: 計篇(上巻 第一)
攻其無備、出其不意は、相手の備えの無い所と、思いがけない時に出ることが兵家の勝ちだと、詭道の列挙を結ぶ一句。
原文と書き下し
「攻其無備、出其不意」(其の備え無きを攻め、其の不意に出ず)。続く「此兵家之勝、不可先傳也」(此れ兵家の勝、先ず伝うべからざるなり)。
原文の意味
原文は、相手が備えていない所を攻め、相手が予想していない時と所に出ることを、兵家の勝ち方として示す。備えの無い所や不意の中身は句の中で具体的に挙げられておらず、続く一句で「先に伝えることはできない」と添えて結んでいる。
篇の中での流れ
計篇で、能力があっても無いように見せるなど、詭道の例を並べたあとの締めくくりに置かれる。この句のあとは、開戦前に廟堂で勝算を数える話(廟算)へ移る。
注釈で読みが割れるところ
「先ず伝うべからず」の理由づけが注で分かれる。梅堯臣は、敵に臨んで変化に応じて宜しきを制するものなので、前もって言えるものではないと説明する。これとは別に、要諦として秘して漏らさない意味に取る注もある。「攻其無備」そのものは、曹操が敵の懈怠を撃ち空虚に出ることと注し、孟氏が兵は無形を妙とすると言い添えるなど、備えの無さを敵の怠りや空きとして説明する点で近い。
よくある言い換えとのずれ
「奇襲の勧め」「意表を突け」という標語として引かれることがあるが、原文は方法を示さず、この句のあとに「先に伝えることはできない」と付けて、型としては教えられないことを断っている。その意味の取り方は、注で上のように割れる。