自然の流れ図鑑
台風(空と天気)
暖かい海の上で育つ巨大な空気の渦。海の上で生まれ、中心へ渦を巻きながら空気が入り込む背の高い空気の渦です。北半球では上から見て反時計回りに回り、中心へまっすぐ入らずに円を描きながら近づきます。強いものは中心に目ができ、そのまわりを積乱雲の壁が取り巻いていて、そこがいちばん激しく荒れます。直径は数百キロ…
竜巻(空と天気)
積乱雲から地面まで届く細く速い渦。発達した積乱雲の底から漏斗のような雲が下へ伸び、地面では砂や落ち葉が巻き上がって渦の足元が見えます。直径は数十から数百メートルと小さいのに、中の風は時速百キロを超え、強いものではその二倍以上になり、数分から十数分で通り過ぎます。渦は雲といっしょに動き、細い帯のような跡を地面に残します。
積乱雲(空と天気)
上へ育ちながら雨と突風をつくる雲。底が平らで、そこからむくむくと上へ育つ雲です。行き着く高さは一万メートル前後で、頭が横へ広がって金床のような形になります。雲の下では雨とともに冷たい空気が降り、地面に当たって四方へ吹き出します。一つの寿命は三十分から一時間ほどと短く、次々に生まれ変わりながら列をつくることもあります。
ジェット気流(空と天気)
上空を西から東へ帯状に流れる強い風。高度一万メートル前後を、西から東へ帯のように流れる強い風です。幅は数百キロあるのに厚みは数キロしかなく、平たいリボンのような形をしています。速いところでは時速二百キロを超え、まっすぐではなく南北に大きく蛇行しながら地球をひと巡りしています。…
山を越える風(空と天気)
山を越えるあいだに乾いて暖まる風。風上側では山肌を登らされた空気が雲になって雨を降らせ、風下側では乾いて暖かい風が吹き下ろします。風下の空には、越えた空気が上下に揺れてできるレンズのような雲が動かずに浮かぶことがあります。同じ日でも山のこちら側と向こう側で気温が数度違うことも珍しくありません。
海陸風(空と天気)
昼と夜で向きが入れ替わる海辺の風。海辺では昼は海から陸へ、夜は陸から海へと、風の向きが一日で入れ替わります。切り替わる朝と夕方には風がほとんど止まる凪の時間があり、水面が鏡のようになります。海から入る空気が届く距離は海岸から数十キロほどで、その先端に雲の列が並ぶことがあります。
つむじ風(空と天気)
晴れた日に落ち葉を巻き上げる小さな渦。晴れて風の弱い日に、落ち葉や砂を巻き上げながら細い柱のように立つ渦です。直径は数メートル、高さは数十メートルほどで、数十秒から数分で消えます。雲がなくても起きるどころか、空が晴れているときほど立ちやすいのが、雲から下りてくる竜巻との大きな違いです。
潮の流れ(海と川)
月と太陽が動かす、海全体の横の動き。海面が上がり下がりするのに合わせて、海水そのものが横へ動きます。多くの場所で半日ごとに向きが入れ替わり、狭い海峡や瀬戸では秒速2〜4メートルに達する場所もあります。外洋ではほとんど感じられないほど遅いのに、陸に近いほど速くなるのがこの流れの性格で…
大きな海流(海と川)
地球をめぐる、帯のように細く速い流れ。幅100キロメートルほど、深さ数百メートルの帯が、海の中を決まった向きに流れ続けています。日本の南岸を東へ抜ける暖かい流れもその一つで、周囲よりはるかに速く、熱と栄養を遠くまで運びます。帯の外と中では水温も色も違い、数キロ進むだけで数度変わることもあります。運ぶ水の量は…
波が砕けるところ(海と川)
浅瀬で波が崩れる帯と、そこで生まれる流れ。沖から届いたうねりが浅瀬に入ると、数十メートル進む間に背が高くなり、波の頭が前へ倒れて白く崩れます。崩れる帯は岸と平行に並び、潮位や波の大きさで位置が動きます。崩れた水は岸へ押し寄せ、たまった分はどこかで沖へ戻ります。浜辺で足もとの砂が持っていかれる感じは…
川の蛇行(海と川)
平地の川が自分で曲がりを育てていく仕組み。まっすぐ掘った水路でも、年単位で眺めると川は自分から曲がりはじめます。曲がりの外側は深くえぐられ、内側には砂利が積もって浅い岸ができます。曲がりは形を保ったまま少しずつ下流へずれていき、やがて根もとがつながって、三日月形の池だけが流路から取り残されます。
淵と瀬(海と川)
川に交互に並ぶ、深い場所と浅い場所。川をさかのぼると、深くて水面の静かな淵と、浅くて白く波立つ瀬が交互に繰り返し現れます。並ぶ間隔はおおよそ川幅の5〜7倍で、まっすぐな区間にも同じ並びができます。魚や虫はこの二つを使い分けて暮らし、産卵は瀬、休むのは淵と役割が分かれています。
津波の伝わり方(海と川)
海全体が動く波が、浅瀬で立ち上がるまで。風がつくる水面の波が海面近くだけの動きなのに対して、津波は海底から海面までの水がまるごと動きます。波長は数十から数百キロメートルあり、沖では高さが数十センチしかないため船の上では気づけません。それでも水深4000メートルの海では時速700キロを超える速さで進み…
砂丘の風紋(地形と大地)
砂の上に等間隔で並ぶ小さな畝の列。乾いた砂の表面に、風の向きと直角の小さな畝が等間隔で並ぶ模様です。間隔は数センチから十数センチ、高さは指の太さほどで、風下側だけが急な斜面になっています。見ている間は止まって見えますが、半日もすると列全体が風下へずれ、乾いた砂浜でも同じ形が出ます。
溶岩の流れ(地形と大地)
冷えるほど動きが鈍くなる岩の流れ。高温で溶けた岩が、地面の傾きに沿って下る流れです。速さは一時間に数メートルから時速数十キロまで幅があり、表面はすぐ黒い殻をかぶります。縄のようによじれた滑らかな面になるものと、割れたがれきに覆われてごつごつするとげだらけの面になるものがあります。
土石流(地形と大地)
水と土と石がひとかたまりで下る流れ。大雨のときに、水と土と石と流木がひとかたまりになって谷を下る流れです。速さは時速二十から四十キロほど、先頭には大きな石が集まった壁ができ、その後ろを泥の本体が押していきます。地鳴りのような音や川の急な濁りが先に届くことがあり、気づいてからは数分しかありません。
雪崩(地形と大地)
弱い層が壊れて斜面の雪が一気に滑る。斜面に積もった雪が面ごと滑り落ちる流れです。上のほうだけが滑る型は大雪の直後に多く、時速百キロを超えることがあります。地面まで全部が動く型は春先に多く、速さは劣る代わりに重く固い雪の塊が来ます。どちらも走り出しは音もなく静かで、気づいたときには目の前です。
鳥の編隊飛行(生きもの)
前の鳥が残す上向きの風を借りる並び。ガンやハクチョウ、ツルがV字や斜めの一列をつくって飛ぶ並び方です。後ろの鳥は前の鳥の真後ろに入らず、斜め後ろへ少しずらしてつきます。上から見ると翼の先どうしが重なる位置で、先頭は何度も入れ替わります。渡りのように何百キロも続く飛行で目立ち、短い移動では現れません。
魚の群れ(生きもの)
先頭のいない群れが一斉に向きを変える。何千匹もの魚が体一つ分ほどの間隔を保ったまま、一つの塊のように動きます。向きを変えるときは一秒の何分の一かで端から端へ変化が走り、追われると隙間を詰めて球の形にまとまります。全体を指揮する先頭の一匹はおらず、抜けた個体の穴もすぐ埋まります。
イルカの泳ぎ(生きもの)
尾びれで水を後ろへ送り波にも乗る泳ぎ。尾びれを上下に振って進みます。魚が左右に振るのとは向きが違い、体を波打たせて水を後ろへ送ります。速い区間では時速三十から四十キロほど出て、船の前にできる波に乗るときはほとんど尾を振らずに同じ速さでついてきます。息を吸うため数十秒から数分おきに水面へ上がるのも泳ぎ方を決めています。
昆虫の羽ばたき(生きもの)
翼の上に渦をのせて浮かぶ小さな飛行。小さな翼を一秒に二十回から二百回、種類によっては千回近く振って飛びます。翼の先は8の字に近い軌跡を描き、折り返しで裏返るようにひねられます。蚊の羽音は、その回数がそのまま音の高さになったもので、種類によって高さが違い、耳でも種類の見当がつきます。
種が風で運ばれる(生きもの)
落ちる速さを抑えて風に乗る種のしくみ。親の株から離れた種が、落ちる速さを抑えたまま風に乗って移動します。綿毛を広げるもの、一枚の羽根で回りながら落ちるもの、薄い膜で滑るものがあり、落ちる速さは秒速三十センチから一メートルほどまで下がります。ゆっくり落ちるほど横風に長くさらされるので、届く距離が伸びます。