溶岩の流れ

地形と大地

流れているもの: 土・砂・雪

溶岩の流れは、冷えるほど動きが鈍くなる岩の流れ。

どんな流れ?

高温で溶けた岩が、地面の傾きに沿って下る流れです。速さは一時間に数メートルから時速数十キロまで幅があり、表面はすぐ黒い殻をかぶります。縄のようによじれた滑らかな面になるものと、割れたがれきに覆われてごつごつするとげだらけの面になるものがあります。

なぜ起きるか

動かしているのは重力、止めているのは粘性、つまり内部のねばりです。ねばりの大きさを一番左右するのはケイ酸(SiO2)の割合で、少ない玄武岩質ほど流れやすく、多い流紋岩質ほど分子が鎖状に絡み合って粘ります。水分が多いほど、温度が下がるほどさらに強くなります。表面の殻が中の熱を逃がさないので内側は流れ続け、管のような通り道ができると遠くまで届きます。

どこで見られるか

噴火中の中継映像のほか、固まったあとの地形として身近に残ります。流れた跡が空洞になった洞窟や風穴、板のように広がった台地、海へ流れ込んでできた岬。日本の火山のふもとには数百年前の流れの縁を歩ける遊歩道もあり、表面のよじれや割れ目の向きから、そこが速く流れた場所か止まりかけた先端かを読み取れます。

危険と注意

近づく判断を自分でしないことです。離れていても輻射熱と火山ガスが危険で、固まったばかりの殻は人の重さで抜けます。流れは地形しだいで向きを変え、水に触れると爆発的に飛び散ります。噴火警戒レベルは気象庁、立入規制と避難は自治体が出すので、現地の指示に従って行動してください。

出典

  1. 公的機関・英語 USGS(1997) Volcanoes of the United States — Glossary: Silica
  2. 公的機関・英語 USGS Hawaiian Volcano Observatory(2003) Volcano Watch — Why are Mount St. Helens' eruptions generally more explosive than those of Kīlauea?

解説動画(海外・英語): Ep. 13 lava & lava flows/Doc Wisdom

溶岩とは何か、粘りは何で決まるか: 動画は溶岩をガスが抜けたマグマと定義する。lava はナポリ方言で泥の奔流を指す言葉で、1631年のベスビオ噴火のあとにこの意味で使われるようになった。粘性は動きに逆らう性質のことで、内部の結びつきの強さで決まる。その結びつきは温度に反比例するので温度が高いほど粘性は低い。もう一つはケイ酸の量で、ケイ素は共有結合で長い鎖を作るぶん粘る。

重力で動くが、動き出しに敷居がある: 溶岩を動かしているのは重力だけ。斜面に置いた流体にはたらく重力は斜面に垂直な分と斜面に平行な分に分けられ、平行な分が流れを進ませる。面が水平なら平行な分はゼロになる。ただし溶岩はある大きさの力がかかるまで動き出さない。かかる力しだいで固体のようにも流体のようにもふるまうので、動画はこれを非ニュートン流体だと言う。

光の色が下がっていく: 溶岩は熱を光として捨てながら流れる。噴出口のすぐそばは白、離れると橙、次に赤、やがて光らなくなる。動画はこれを1200度から800度へ下がっていく過程として説明し、その全部が噴出口のごく近くで起きると付け加える。流れが木をのみ込むと、奪われた熱で木の中の水が蒸発し、木が消えたあとに形だけが穴として残る。

自分で水路を作り、屋根までかける: 壁との摩擦で縁は遅く、中央は速い。縁の溶岩は先に冷えて粘りが増し固まるので、水路は少しずつ狭くなり、その分内側の溶岩の水位が上がる。堤が高く育ち、やがて上がふさがって溶岩トンネルになる。円筒という形は熱を内に保つのに都合がよく、中の熱がほとんど落ちないまま流れていくという。

パホイホイとアア: 温度が高く流れやすい溶岩は縄状の模様と薄い層を残すパホイホイになる。表面の殻がまだ柔らかく、下の流れの動きに従って寄り、畳まれるため。冷えた溶岩やケイ酸の多い溶岩は粘りが高く割れやすいので、厚くアアになる。前面からブロックが転げ落ち、その上を流れが乗り越えていく。撮影地のエトナ山ではこちらが普通だという。