積乱雲
空と天気
上へ育ちながら雨と突風をつくる雲
どんな流れ?
底が平らで、そこからむくむくと上へ育つ雲です。行き着く高さは一万メートル前後で、頭が横へ広がって金床のような形になります。雲の下では雨とともに冷たい空気が降り、地面に当たって四方へ吹き出します。一つの寿命は三十分から一時間ほどと短く、次々に生まれ変わりながら列をつくることもあります。
なぜ起きるか
日射で暖められた地面の上の空気は周りより軽くなって浮き上がります。上がった空気は膨らんで冷えますが、水蒸気が水滴に変わるときに熱を出すので、冷え方がゆるんで周りより暖かいままさらに上がれます。これが背の高い雲になる仕組みです。上空の安定した層にぶつかると上へ行けず横に広がり、金床ができます。落ちる雨粒は周りの空気を引きずり、蒸発で冷やされた空気は重くなって地面へ向かう下降流に変わります。
どこで見られるか
夏の午後、山沿いや内陸のよく焼けた地面の上に立ちやすく、寒冷前線の通り道にも並びます。遠くから見ると輪郭のはっきりした白い塊で、近づくほど底が黒く平らに見えます。鍋の中の対流と同じで、暖まった側が上がり冷えた側が下がる入れ替わりが、空を舞台に起きています。
危険と注意
雷、突風、ひょう、短時間の大雨がまとめて来ます。雲の下から吹き出す冷たい風は飛行機の離着陸にも危険とされ、地上では看板や自転車を倒します。雷鳴が聞こえた時点ですでに雷の届く距離なので、建物か車の中へ入ってください。竜巻を落とすのもこの雲です。川の増水は上流だけで降った雨でも起こります。
解説動画: 徹底解説・低気圧#3【潜熱とは?積乱雲はどうやって成長するのか―熱帯低気圧の仕組み (中編)―】/気象研究クラブ【Alexaスキル開発・天気図用紙販売】
湿った空気が持ち上がる: 熱帯低気圧を取り巻く雲の多くは対流雲、つまり積雲や積乱雲。熱帯の暖かい海の上では海から水がさかんに蒸発し、空気は水蒸気を多く含む。そこへ何らかの理由で上昇気流が起きると、持ち上げられた空気は断熱膨張で気温が下がり、抱えきれなくなった水蒸気が水滴や氷粒になる。これが雲の正体。
潜熱はどこから出るか: 気体である水蒸気では、水の分子が広い空間を飛び回っている。水滴や氷粒になると分子どうしが寄り集まり、動きが制限される。このとき分子の勢いが熱エネルギーに変わって、まわりへ放出される。物質が状態を移すたびに出入りするこの熱が潜熱で、気象で扱うぶんはほぼ水の状態変化で生じる熱と思ってよい。
暖まった空気が浮力を受ける: 温度の高い空気ほど、密度は小さい。潜熱で暖まった空気はまわりより軽いので、浮力を受けてさらに上昇する。上がればまた水蒸気が水滴や氷粒に変わり、また潜熱が出て空気が暖まり、また上昇する。水蒸気を豊富に含んだ空気は雲を生みながらこれを繰り返し、積乱雲が発達していく。
条件付き不安定と、雲の寿命: このように上昇気流さえ起これば雲ができる大気の状態を、動画は条件付き不安定と呼ぶ。ただし積乱雲は一つ一つに寿命があり、時間が経つと消えてしまう。台風のように長時間持続するには、もうひとつの鍵として渦収束という現象が要る——というところで次回へ渡している。