竜巻
空と天気
積乱雲から地面まで届く細く速い渦
どんな流れ?
発達した積乱雲の底から漏斗のような雲が下へ伸び、地面では砂や落ち葉が巻き上がって渦の足元が見えます。直径は数十から数百メートルと小さいのに、中の風は時速百キロを超え、強いものではその二倍以上になり、数分から十数分で通り過ぎます。渦は雲といっしょに動き、細い帯のような跡を地面に残します。
なぜ起きるか
積乱雲の中の強い上昇流が、上と下で風の向きや速さが違う場所に立つと、横倒しになっていた渦が起こされて縦を向きます。その渦が上へ引き伸ばされて細くなると、同じ回転が細い輪に押し込められるぶん回る速さが増します。空気が円を描き続けるには中心へ向かう押しがいるので、中心の気圧が低いことと速く回っていることは同じ釣り合いの表と裏です。押しているのは外側の高い圧力の側で、低い側が引っぱっているのではありません。ただし、よく似た積乱雲でもどれが竜巻を落とすのかは今も完全には予測できていません。
どこで見られるか
日本でも年に二十件から三十件ほどが確認され、台風の周辺や秋の前線が通るときに多く報告されます。海の上に立つものは水上竜巻と呼ばれ、水面から白い柱が伸びて見えます。被害の跡が一直線に細長く残るのが特徴で、隣の家は無事なのに一列だけ壊れていることがあります。
危険と注意
屋外と車の中はいちばん危ない場所です。頑丈な建物の低い階へ入り、窓から離れて壁際で頭を守ってください。近づいて撮影しようとしないこと。気象庁からは竜巻注意情報や危険度を色で示す情報が出ますが、十分ほどしか余裕がない場合もあります。最後の行動は自治体の指示に合わせてください。
解説動画: ゆっくり気象解説 積乱雲シリーズその4 竜巻/えぐにゃん お天気解説
つむじ風とは別物: 気象庁は竜巻を、積雲や積乱雲から垂れ下がる漏斗状の雲を伴う激しい渦と説明している。晴れた日に運動場でできるつむじ風も、地表付近の空気が温まって生じた上昇気流が弱い渦を引き伸ばしたものだが、強いもので秒速20メートル以上になりテントが飛ぶことはあっても、それより強くはならない。竜巻が別物なのは、引き伸ばす力が積乱雲の強い上昇気流だという点にある。引き伸ばされると回転半径が縮み、角運動量保存の法則で回転速度が上がる——手を体に引き寄せた選手が高速スピンに入るのと同じだ、と動画は言う。
日本最強とアメリカ最強: 強さは日本版改良藤田スケールでJEF0からJEF5の6段階。日本最強クラスのJEF3では風速が秒速80メートルに達することがある。世界一竜巻が多いアメリカでは秒速95メートル以上のJEF5クラスも起き、自動車すら100メートル以上飛ばされる。南北に高い山脈が無く、北から下りる冷たい空気と南の暖かい空気がじかにぶつかるため大気が不安定になりやすいと言われるが、完全には解明されていない。
多い時期と、つくばの事例: 発生数の70パーセントが7月から11月に集中し、20パーセントは9月ひと月ぶん。台風の北東側や寒冷前線など、積乱雲が強い上昇気流を作りやすい場所で多く、場所は海岸付近が中心。2012年5月6日に茨城県つくば市で起きたJEF3の竜巻は幅500メートル・長さ17キロにわたり、死者1名・負傷者37名、住宅全壊210棟という被害を出した。
予測が当たらない理由: 気象庁はレーダー観測から竜巻発生確度ナウキャストを10キロ四方の格子で解析し、1時間先までを10分おきに出し直している。確度2が出た区域には竜巻注意情報が発表されるが、そのエリアで実際に激しい突風が起きた確率は4パーセント程度。竜巻が必ず起きる気象条件がまだ分かっておらず、直径も数十から数百メートルしかなくレーダーに映りにくい。
見かけたらどう動くか: 建物の被害を防ぐのは無理だが、行動で人の被害は減らせる。屋外なら頑丈な建物へ一刻も早く。車庫やプレハブごと吹き飛ばされる恐れがあり、実際にプレハブの工事現場事務所が壊れて死者が出た例がある。屋内でも1階の窓のない部屋の机の下、できれば地下室や地下街。逃げ込む建物が無ければ側溝など飛来物が直接当たらない場所にうずくまり、頭と首を守る。