潮の流れ

海と川

月と太陽が動かす、海全体の横の動き

どんな流れ?

海面が上がり下がりするのに合わせて、海水そのものが横へ動きます。多くの場所で半日ごとに向きが入れ替わり、狭い海峡や瀬戸では秒速2〜4メートルに達する場所もあります。外洋ではほとんど感じられないほど遅いのに、陸に近いほど速くなるのがこの流れの性格で、同じ日のうちに止まる時間帯と走る時間帯があります。

なぜ起きるか

月や太陽が海水を引く力は、地球のどこにいるかでわずかに強さが違います。この差が海水を月の側と反対側の両方へ引き伸ばし、二つのふくらみをつくります。地球がその下を回っていくので、ふくらみは半日ほどの周期で海の上を移っていきます。となりの海域より海面が高い側は、底へかかる水の重さが大きくなる。重い側が軽い側を押すので、水は低い方へ動き出します。狭い海峡では同じ量の水が細い断面を通るため、通り道が狭いほど速くなります(連続の式)。

どこで見られるか

潮位表に載る満潮と干潮の前後は、多くの場所で流れがいったん止まる時間帯です。速いのはその中間の上げ潮・下げ潮の途中で、海峡では両側の海の高さの差で向きが決まるため、潮位の時刻とはずれます。狭い瀬戸では水面に渦が立ち、干潟ではわずか数時間で歩けた場所が水没します。係留された船が一斉に向きを変える瞬間が、入れ替わりの合図です。

危険と注意

泳いで逆らえる速さではありません。磯や中州は、来たときと同じ道が一時間後には水面下ということがあります。潮干狩りや釣りに出る前にその日の潮位表と海上保安庁の潮流情報を確かめ、引き返す時刻を先に決めておいてください。長靴やウェーダーは水が入ると重く、歩いて渡れる深さでも危なくなります。

解説動画: 【基礎なし地学】#19 潮汐【発展科目】/物理屋チャンネル / nao

潮汐力は引力と遠心力の合力: 満ち引きを起こす力を潮汐力と呼び、動画はこれを月からの引力と、地球と月が共通の重心のまわりを回る公転の遠心力を足したものとして描く。引力は月に近いほど強い。遠心力のほうは矢印を分解すると、満ち引きに効く向きの成分が地表のどこでも同じ大きさになる。だから月に近い側では引力が勝って月の方へ、反対側では遠心力が勝って逆向きへ海水が寄り、地球の中心では二つが打ち消し合う。両側が膨らむので満潮は1日2回来る。

大潮と小潮を決める太陽: 潮に効く天体はもう一つある。質量が非常に大きい太陽だ。新月のように月と地球と太陽が一直線に並ぶときは、月に近い側で遠心力と月の引力と太陽の引力が重なり、海面がとりわけ高くなる——これが大潮。地球から見て月と太陽が直角の関係になるときは大潮ほど高くならず、小潮になる。東京の1か月ぶんの潮位グラフでは、満潮の高さ自体がゆるやかに上下する周期として見える。

干満の差は場所で違う: 同じ日本でも差は大きい。動画によれば太平洋側は1.5メートルから2メートル、日本海側は0.4メートルほどしかなく、有明海では6メートルにもなる。満ち引きが生む代表的な現象として、動画は渦潮も挙げている。

波長のとても長い波: 動画は潮汐を、波長が非常に長い波が伝わっている現象として捉え直す。この波の伝わる速さは水深だけで決まり、津波の伝わり方で習う考え方がそのまま使える。水深4000メートルの外洋と水深10メートルの浅瀬では深さの比が400倍あり、速さの比はその平方根ぶんの20倍になる。深いところほど早く満ち引きが伝わるということだ。

大潮に台風が重なると: 台風が来ると海面付近では反時計回りの風が吹き、その風が海水を運ぶ働きだけを見れば中心付近の海面は下がるはずだと動画は言う。それでも実際に上がるのは、気圧の低下による水位上昇のほうがずっと大きいから。ここに大潮が重なると高潮の被害は深刻になり、その例として伊勢湾台風が挙げられている。