雪崩
地形と大地
弱い層が壊れて斜面の雪が一気に滑る
どんな流れ?
斜面に積もった雪が面ごと滑り落ちる流れです。上のほうだけが滑る型は大雪の直後に多く、時速百キロを超えることがあります。地面まで全部が動く型は春先に多く、速さは劣る代わりに重く固い雪の塊が来ます。どちらも走り出しは音もなく静かで、気づいたときには目の前です。
なぜ起きるか
雪は降るたびに層になり、途中に結びつきの弱い層ができます。上の層の重さが斜面に沿って引く力が、弱い層のこらえる力を上回ると、そこに割れ目が生まれ、横へ一瞬で走って斜面の板が同時に離れます。動き出した雪は空気を巻き込み、煙のように広がる重い流れとなって、雪そのものより先まで届く風で木や建物を倒します。斜面が壊れて流れに変わる点は土石流と同じですが、引き金は水ではなく層の弱さで、いつ壊れるかは今も当てられません。
どこで見られるか
危ないのは三十度から四十五度の斜面、とくに木のない面、吹きだまり、尾根から張り出した雪の下です。大雪の直後、気温が急に上がった日、雨のあとは条件が重なります。斜面に走った亀裂や、転がり落ちた雪玉の跡が見えたら、すでに不安定だと考えてください。
危険と注意
埋まると数分で命に関わります。雪崩注意報の出た斜面や立入禁止区域には入らず、単独行動を避けてください。捜索用の装備は持っているだけでは足りず、使い方を講習で身につけてから入ります。判断は気象庁の注意報と、現地の管理者やパトロールの情報に合わせるのが確実です。
解説動画: 雪崩と弱層テスト/日本スポーツ振興センター
全層と表層、点と面: 雪崩はまず全層雪崩と表層雪崩に分かれる。地面から上の雪が全部滑り落ちるのが前者、積雪層の中のある層から上だけが滑り落ちるのが後者。発生の形でも点発生と面発生に分かれ、面から始まるものは積雪層の中に滑りやすい面を伴うことが多い。剱岳の非常に大きな例を見せ、発生点にできる壁を破断面と呼ぶと示す。
流れ型と煙型の速さ: 動き方でも二つに分ける。流れ型は湿った雪(湿雪)で起きることが多く、煙型は乾いた雪で起きることが多い。どちらも速いスピードを持つとしたうえで、流れ型は秒速30メートルほど、煙型は秒速20から80メートルにも達すると言われる、と数字を置く。
起きやすい斜面の角度: 傾斜別の集計も出てくる。35度から45度の斜面で雪崩のおよそ7割が起きていて、範囲を30度から50度まで広げると9割ほどになる。もっとも多いのは40度付近の斜面だ、というのがこの節の結論になっている。
弱層になる雪の5種類: 引き金になる弱層は代表的な5種類。幅の広い平らな降雪結晶が静かに降り積もったもの、硬い球状のあられ(粒の集まりででこぼこし、結び付きにくく時間がたっても不安定)、温度差で育つ下ザラメ雪と表面霜、融雪で水が入ったザラメ雪。逆に雲粒が多く付いたでこぼこの結晶は弱層にならないという。
叩いて探す、そして18分: 現場では雪柱にシャベルを当てて叩くコンプレッションテストで弱層を探す。手首で10回、肘から10回までは変化が無く、肩から10回で上部に押しつぶされたような割れ目が2か所、拳で思い切り3回叩くとザラメ層の下側がきれいに割れた。埋没者は18分以内の救出なら生存率が高く以降は急落するとして、シャベル・プローブ・ビーコンの携行を求めて終わる。