砂丘の風紋

地形と大地

砂の上に等間隔で並ぶ小さな畝の列

どんな流れ?

乾いた砂の表面に、風の向きと直角の小さな畝が等間隔で並ぶ模様です。間隔は数センチから十数センチ、高さは指の太さほどで、風下側だけが急な斜面になっています。見ている間は止まって見えますが、半日もすると列全体が風下へずれ、乾いた砂浜でも同じ形が出ます。

なぜ起きるか

風は砂粒を持ち上げて低く跳ねさせ、着地した粒が別の粒をはじき出します。小さな盛り上がりができると、その風上斜面は粒の当たる数が増えて育ち、風下側は低く飛ぶ粒が届かない影になるので凹みが残ります。大きな砂丘では風そのものの剥離も重なります。風上から削られ風下へ積まれるため、形を保ったまま列ごと進みます。間隔がなぜその長さに落ち着くのかは、まだ完全には説明できていません。

どこで見られるか

海岸の砂丘や砂浜、乾いた河原、工事現場の砂山でも見られます。狙い目はよく晴れて風のある日の朝で、前日の足跡が風に均され模様だけが残ります。同じ理屈で雪の上にも硬い畝の列ができ、水中では波の往復運動が前後の傾きがそろった縞をつくるので、見比べると成り立ちの違いが分かります。

危険と注意

砂の斜面は足を取られ、登るより下るときに崩れます。夏の砂丘は日陰も水もなく、地表の温度が体温を大きく超えることがあるので、水と帽子なしで入らないでください。強風時の飛砂は目と機材を傷めます。天然記念物や保護区に指定された砂丘では立入ルートが決められているので、掲示と自治体の案内に従ってください。

解説動画(海外・英語): 10 - Aeolian environments/Matthew E. Clapham

風で砂が動く三つの動き方: 風による砂の運搬は水中とよく似ていて、大きい粒は地面を這って進み、いちばん細かい粒は乱れた渦に持ち上げられて浮いたまま運ばれる。そして砂の大半は跳ねて進むサルテーションで動く。空気も水と同じ流体だが、密度も粘りも小さい点が違うと講義は整理する。

同じ粒を動かすのに風は約30倍: 水中で粒が動き出す流速の目安をシールズの基準と呼ぶのに対し、空気中ではバグノルドの閾値という似た形の式を使う。空気の密度は水のおよそ750分の1しかないため、同じ大きさの粒を動かすには風速で約30倍が要る。だから風で運べるのは中粒砂より細かい砂までに限られる。

風紋は跳ねた粒の衝突がつくる: できあがる風紋は川底の流れの跡とよく似た左右非対称の形をしているが、大きさは高さ数ミリ、間隔は2センチから数十センチほどで、峰はやや丸く平ら。跳ねてきた粒が地面にぶつかって別の粒を弾き出すことが形の主役なので、衝突リップル、弾道リップルとも呼ばれる。

峰に粗い粒が残る理由: 見た目は水中の跡に似ていても、動く仕組みは違う。峰の付近では跳ねてきた粒が急な角度でぶつかるぶん衝突が激しく、細かい粒は弾き飛ばされて粗い粒だけが残る。一方、風下側の急な斜面や谷では浅い角度でしか当たらず、細かい砂がそのまま残る。結果、下ほど細かく上ほど粗い積もり方になる。

砂丘の斜面で起きる崩れ: 砂丘そのものは、粒が一つずつ降り積もるグレインフォールと、斜面をまとめて滑り落ちるグレインフローの二つでできている。峰に砂が溜まりすぎて限界の角度を超えると崩れ、塊のまま滑る。このとき細かい粒がすきまを通って底へ落ちるので、ミックスナッツの缶と同じで下ほど細かい並び方になる。