津波の伝わり方
海と川
海全体が動く波が、浅瀬で立ち上がるまで
どんな流れ?
風がつくる水面の波が海面近くだけの動きなのに対して、津波は海底から海面までの水がまるごと動きます。波長は数十から数百キロメートルあり、沖では高さが数十センチしかないため船の上では気づけません。それでも水深4000メートルの海では時速700キロを超える速さで進み、遠い海の地震でも当日のうちに届きます。
なぜ起きるか
波長が水深よりずっと長い波は、進む速さが水深だけで決まります。深いところほど速いので、浅い陸棚に入ると先頭が減速し、後ろが追いついて詰まります。同じエネルギーが薄い水の層と短い区間に押し込まれ、行き場を失った水は上へ伸びるしかありません。湾では両岸がその水を横から押さえるのでさらに高くなり、一度で終わらず何度も押し寄せます。
どこで見られるか
検潮所の記録には、数十分の間隔で水位が上下し続ける形として残ります。同じ地震でも奥がすぼまった湾ほど高くなり、隣り合う港で差が出ます。到達時刻や予想される高さは気象庁が地域ごとに発表し、画面に地図とともに示されます。過去の到達点を示す石碑が残る土地もあります。
危険と注意
引き波から始まるとは限りません。第一波が最大とも限らず、何時間も後に来る波が高いこともあります。強い揺れや長い揺れを感じたら、警報を待たずに高い場所へ移動してください。川をさかのぼって内陸まで届くため、海が見えない場所も安全ではありません。解除が出るまで戻らない。行動は気象庁の津波警報と自治体の避難情報に従ってください。
解説動画(海外・英語): How tsunamis work - Alex Gendler/TED-Ed
「潮の波」ではない: 紀元前479年、ペルシャ軍がギリシャの都市ポティダイアを囲んだとき、潮がいつもよりはるかに遠くまで引いた。好都合な侵攻路と見て渡り始めた兵に、誰も見たことのない高さの波が戻ってくる——動画はこの逸話から入り、英語で潮の波と呼ばれてきた津波は太陽と月の引力で起きる潮汐とは無関係だと断る。谷と山があり、動く水ではなく水の中を移動するエネルギーである点は普通の波と同じ。違うのは出どころで、風は海面しか動かせないのに対し、津波の元は海底火山の噴火・海底地すべり・最も多い海底のプレートのずれ。
沖ではほとんど見えない: 海中で放たれたエネルギーは水を持ち上げて海面を平常より高くし、重力がそれを引き戻すことで横向きに広がっていく。こうして生まれた津波が進む速さは時速500マイル(およそ800キロ)を超える。それでも岸から遠いうちはほとんど検知できない。動画いわく、津波は海の深さ全体を貫いて移動しているからだ。
浅瀬で立ち上がる: 浅い海に入ると、動画がwave shoalingと呼ぶことが起きる。動かせる水が減るぶん、変わらない量のエネルギーが押し縮められ、速さが落ちるかわりに高さが100フィート(約30メートル)にまで伸びる。津波が日本語で港の波を意味するのは、岸の近くでしか姿を現さないように見えることによる。
引き波と、戻る水: 谷のほうが先に岸へ着くと、波が来る前に水が普段よりずっと遠くまで引く。動画はこれを人を惑わせる危険な合図だと言う。押し寄せた水は内陸1マイル(1.6キロ)以上まで建物や木をなぎ倒し、低い土地ではとくにひどい。そのうえ引き返す水が、生まれたばかりの瓦礫も巻き込まれた人も一緒に沖へ引きずっていく。
止められないなら避ける: 防潮堤・水門・水を逃がす水路で止める試みはあるが、いつも効くわけではない。2011年には津波が福島の原発を守る壁を越え、1万8000人以上の犠牲に加えて原子力災害を招いた。2004年のインド洋津波は南アジア全域で20万人を超える人の命を奪い、史上最悪級の自然災害のひとつになった。だから今は海底の水圧と地震活動の監視と、警報を素早く回す世界規模の通信網という早期検知に軸足が移っている。