仕事の進め方図鑑
実績のつくり方(受ける前)
最初の1件を取るための実績づくり。発注側が最初に見るのは経歴の長さより実際に仕上げた物です。ところが最初の依頼を受けるには実績が要るという、順番の矛盾にぶつかります。ここを抜ける道は、依頼を待たずに自分で課題を設定した制作物をつくり、条件と狙いを添えて実績として並べることです。無償の仕事や身内の頼まれごとも…
ポートフォリオ(受ける前)
見せるために整えた作品と説明の束。作った物を置いておく倉庫ではなく、相手が発注を決めるための資料です。一点ごとに、誰のどんな困りごとに対して何をしたのかが分かる形にします。点数は多いほど良いわけではなく、受けたい仕事に近い順に並べ、それ以外は思い切って落とすほうが伝わります。5〜10点が扱いやすい目安です。
プロフィールの書き方(受ける前)
依頼する人が最初に読む自己紹介。登録した場所や応募先に置く自己紹介文です。読み手は発注側で、知りたいのは人柄より何を頼めて、いつ動けるかの二点です。会社員であること自体は不利になりにくく、むしろ本業で培った領域の知識が選ばれる理由になります。ただし勤務先が特定できる書き方は、別の問題を呼び込みます。
単価の決め方(受ける前)
自分の受ける値段を決める考え方。案件ごとの提示額を、勘ではなく計算と相場の両方から決める作業です。単価は自分の時間の値段でもあり、調べる時間や直す時間まで含めて考えないと、手元に残る額は思ったより減ります。同じ内容でも、発注元の規模や納期の短さで提示額の幅は動きます。決め方を持たないまま返事をすると…
見積もりの出し方(受ける前)
金額と範囲を先に文字で示すこと。頼まれた内容に対して、金額と作業範囲と納期を先に文字で示す書類です。契約前の目安にすぎませんが、後で食い違ったときに何を約束したかの証拠になります。話の勢いのまま着手すると、作業が増えても断る根拠がなく、値段は最初のままで残ります。慣れないうちほど、口頭で済ませないことです。
提案文の書き方(受ける前)
募集に応じて最初に送る一通の文。募集に対して送る、最初の応募文です。読む側は数十通の応募を短い時間でさばくため、冒頭の三行で判断されます。定型文の使い回しは、募集の中身に一言も触れていない時点で見抜かれます。自分の紹介より、相手の困りごとにどう答えるかを先に置くほうが、記憶に残ります。
断り方(受ける前)
受けない仕事を角を立てずに返す。受けない、あるいは途中で降りると伝える技術です。副業は使える時間が限られるので、断る力がそのまま続ける力になります。いちばん損なのは返事を先延ばしにすることで、相手の予定も自分の時間も止まります。断っても縁は切れず、条件が合えば次に戻ってくることは珍しくありません。
納期の見積もり(進めている間)
引き受ける前に決める、渡せる日。納期は、仕上げた物を相手に渡す日の約束です。副業は本業の繁忙や家庭の用事で手が止まる日が必ず出るため、集中できれば終わる日を答えると高い確率で遅れます。伝えた日付は先方の予定表に載り、公開日や印刷の手配まで一緒に動きます。作業の見込みではなく、守れると言い切れる日を出す場所です。
連絡のリズム(進めている間)
返信の速さと間隔でつくる信頼感。顔の見えないやりとりでは、進み具合の見えない時間がそのまま不安になります。連絡の速さと間隔は、出来上がりの質と同じくらい見られている部分です。会社員は日中に返せないことが多いので、返せる時間帯を先に伝えるだけで、沈黙が不安に変わりません。連絡は作業の一部だと考えると…
修正回数を先に決める(進めている間)
直しの範囲と回数を受注時に決める。修正は、決めておかないと終わりの無い作業になります。「思っていたのと違う」の一言で作り直しが続くと、時間あたりの報酬が崩れます。相手に悪気があるわけではなく、何回まで直せるのかを知らないだけのことも多いので、受ける前に回数と範囲を数字で示しておきます。
進行の記録を残す(進めている間)
あとで揉めないための証拠づくり。誰が、いつ、何を決めたのかを後から追える状態にしておく話です。通話や立ち話だけで進めると、認識の違いを証明できません。未払いや追加作業で言い分が食い違ったとき、残っている文字が判断の材料になります。記憶は双方とも都合よく形を変えるので、正しさの勝負にはなりません。
請求書の出し方(お金の受け取り)
報酬を受け取るための書類の作法。請求書は、いくらを、いつまでに、どこへ払ってほしいかを伝える書類です。仲介するサイト経由なら自動で作られますが、直接の取引は自分で出します。会社によっては書類が届くまで処理が始まりません。納品した時点で終わったつもりでいると、入金だけ抜け落ちます。…
入金サイクルと資金繰り(お金の受け取り)
働いた月と入る月がずれるしくみ。納めたその日にお金が入ることは、まずありません。締め日と支払日の組み合わせで一か月から二か月先になることが多く、仲介するサイトでも出金申請と振込日が別に決まっています。振込手数料や仲介の手数料も引かれるので、提示額がそのまま届くわけではない点に注意します。
屋号と事業用口座(お金の受け取り)
事業のお金を私生活と分ける道具。屋号は個人で事業をするときの名前で、付けるかどうかは任意です。事業用口座は、副業の入金と支払いだけを通す口座を指します。分けておくと帳簿づけが軽くなり、経費の説明もしやすくなります。逆に生活費と混ざったままだと、一年分の明細から拾う作業が年末に来ます。
会計ソフトでの記帳(お金の受け取り)
日々の取引を帳簿の形に整える作業。記帳は、売上と経費を日付順に記録していく作業です。青色申告と白色申告のどちらを選ぶかで求められる帳簿の形が変わり、複式簿記を手書きで通すのは現実的でない量になります。ソフトは口座やカードの明細を取り込み、仕訳の候補を出してくれるので、入力そのものは短く済み…
値上げの切り出し方(お金の受け取り)
続けてきた相手に単価を上げる話。最初に安く受けた金額は、黙っていても上がりません。腕が上がり作業が速くなっても同じ額のままなら、時間あたりの報酬は下がり続けます。しかも続くほど言い出しにくくなります。値上げは自分から持ち出す作業だと最初から決めておくほうが、関係を壊さずに済みます。
本業との時間配分(続けるために)
本業を落とさずに副業の時間をつくる。副業の時間は余りから湧いてくるものではなく、何を減らすかを先に決めて初めて生まれます。決めないまま走ると睡眠と家族の時間から削られ、本業の評価が下がってからようやく気づきます。使う曜日と時間帯を先に置き、繁忙期は半分に落とす前提で組むほうが現実的です。…
燃え尽きを防ぐ(続けるために)
続けるための休み方と負荷のかけ方。燃え尽きは、回復が追いつかない状態が続いた末に起きます。やる気や根性の問題として片づけると、対処を誤ります。副業は本業のあとに始まるので、休息と趣味の時間から先に消え、やがて好きだったはずの作業まで嫌になります。前触れは、着手までの時間が延びる、連絡を開くのが億劫になる…
やめどきの決め方(続けるために)
始める時点で決めておく終わり方の基準。やめどきは、うまくいかなくなってから考え始めると、負けたような気分のまま決めることになります。そうならないよう、始めた時点でどうなったら終えるかを書いておく話です。基準は金額だけでなく、使った時間とまだ続けたいと思えるかを並べて見ると、判断が一方向に偏りません。
副業から独立への線引き(続けるために)
会社を辞める前に確かめておく条件。独立は副業の延長ではなく、収入の柱を入れ替える決断です。会社員のうちは給与という土台の上で失敗できますが、辞めたあとは売上がゼロの月にも生活費と保険料が出ていきます。だからこそ勢いではなく、何が揃ったら踏み切るかを先に数字で置いておく話になります。