やめどきの決め方

続けるために

始める時点で決めておく終わり方の基準

何の話?

やめどきは、うまくいかなくなってから考え始めると、負けたような気分のまま決めることになります。そうならないよう、始めた時点でどうなったら終えるかを書いておく話です。基準は金額だけでなく、使った時間とまだ続けたいと思えるかを並べて見ると、判断が一方向に偏りません。

どうするか

始めるときに半年後と一年後の見直し日をカレンダーへ入れておきます。その日には、投じた時間と受け取った金額、体調と家庭の状態を並べて書き出します。三つのうち二つが悪化していれば、縮小か終了を選びます。やめると決めたら受注を止める日を先に置き、進行中の分を納めきってから閉じます。

よくある場面

一年ほど続けたブログ運営の収入が月に数千円のまま伸びず、更新のたび休日が消えていたとします。完全にやめる代わりに、更新をやめて過去の記事だけ残す形へ切り替える人もいます。積み上げ型は手を止めても残る性質があるので、畳み方にも段階があると考えると決めやすくなります。

つまずくところ

いちばん損なのは、決めたあとに黙って連絡を絶つことで、同じ分野で次に会ったときに響きます。納品と請求を終え、必要なら引き継ぎの資料を渡してから離れます。開業届を出している場合は廃業の届出が要ることがあり、扱いは変わりうるので税務署の最新情報で確認してください。

解説動画: 中小企業の経営者が業績悪化による「廃業」を決断するタイミングって、いつが適当な時期?(撤退ラインの事前設定について)【小さな会社の経営のツボ Vol.12】/吉村正裕 「小さな会社の経営のツボ」

たたむのと行き詰まるのは違う: 廃業は経営破綻以外の理由で自主的にたたむこと、倒産は支払いが回らず法的手続きに入った状態を指す。2016年で見ると倒産8,400件に対し廃業は2万9,500件。廃業の理由で最も多いのは高齢化や健康で38.1%、次が売上の減少で28.1%。資産と負債が釣り合う会社も、黒字のまま畳む会社も少なくない。

決められないまま2年が過ぎる: やめる決断は、責任を負っている人ほどできない。取引先や従業員への責任があり、自分の代でやめるわけにいかないという気持ちも働く。今がやめどきだと伝えても、もう少し頑張ると言って戻り、2年後に相談へ来たときには手も足も出ない例が多いという。相場の言葉見切り千両を引いて、致命傷の前に決めろと勧める。

行き着くと個人に残る: 資金繰りがつかず倒産まで行くと、資産はばらばらに叩き売られる。商品も設備も土地建物も換金され、それでも負債は残る。残りには個人保証がかかっているので、家などの個人資産を売って払い、それでも足りないことがある。自己破産にも費用がかかるため、破産すらできなかった人も見てきたと話す。

撤退ラインを先に置く: 対策は、行き詰まる前に条件を決めておくこと。決断の自動化と呼んでいて、決めた条件が揃ったら自動的にたたむと自分に約束しておく形。例に挙がるのは年商に対する借金の割合、返済不能が3回続いた、月末の預金が200万円を切った、売上高や営業利益の推移、そして社内の要の人が辞めると言い出したとき。

察知も決断も早いほうを選ぶ: 数字が悪くなってからでは選べる手が減る。2期連続の赤字といった時点で専門家に相談し、察知も対策も早めに動く。決断を後回しにしない、これに尽きるという。最後に添えていたのは、事業が終わっても個人の人生まで終わるわけではないということ。ダメージが大きくなる前に下ろす、という順番になる。