攻略 | オトモドリンク&イーツ

塩の量・温度・消毒で起きる失敗と防ぎ方。

最初の失敗は、塩を目分量で入れることです。海外の発酵の解説チャンネル Pepper Geek は、カップやスプーンの体積ではなく、材料と塩を重さで量るよう勧めています。入れる塩の量が仕上がりを左右するためで、濃度は2〜5%が一般的、2%を上回る範囲が安全な側です(Pepper Geek の個人の経験からの説明)。%の分母の取り方は塩分濃度の計算にまとめてあります。ザワークラウトでは、千切りキャベツ5ポンド(約2.3kg)に漬物用の塩大さじ3という比率が病原菌の増殖を抑えます(ペンシルベニア州立大学の普及機関)。

塩分濃度の計算
塩分濃度の計算図: オトモシリーズ

塩が薄いときの失敗は、仕上がりの手ざわりに出ます。米国の家庭食品保存センター(ジョージア大学)は、柔らかくぬめるピクルスの原因として発酵中の塩水が薄すぎたことと塩水の量の不足を挙げ、レシピの塩分濃度を保つよう勧めています(→糸を引く・ぬめる(納豆以外で))。濃すぎる塩水は、逆にしなびた仕上がりの原因に挙がっています。漬物の食中毒を起こした腸管出血性大腸菌は塩分濃度4%の環境でも増える菌です。昔ながらの漬物の10%以上に対して最近は3〜5%の漬物が多く、塩分の低いものは低温で保存して早めに食べきります(東京都保健医療局。→塩分・減塩の限界)。

塩分
塩分写真: Poyraz 72 / CC BY-SA 4.0
減塩の限界
減塩の限界図: オトモシリーズ

減塩は、味の調整ではなく育つ菌の入れ替えです。中国東北部の農家の大豆ペーストを塩分8〜12%で仕込み分けると、塩分が9%以下に下がった区でヒスタミンが100mg/kgを超えた一方、塩分が高いほど細菌の総数と多様性が下がりました(Xieら、2022年)。一次研究1本の結果ですが、塩を減らすほど菌の顔ぶれが変わることは読み取れます。塩が少ない野菜は柔らかく崩れて汚染されやすく、多すぎると狙いの菌以外しか生き残りません(米国のホームステッドのチャンネル Fermented Homestead・製品の紹介を含む動画)。

置き場所の温度も、塩と同じだけ結果を変えます。ザワークラウトの容器は21〜23℃に置きます。15℃を下回ると発酵しないことがあるうえ、26℃を超えると柔らかくなって傷むためで、16〜18℃では6週間ほどかかります(ペンシルベニア州立大学)。家庭食品保存センターも、発酵中のきゅうりを21〜23℃に置くよう勧め、高すぎる温度を柔らかいピクルスの原因に挙げています。夏の台所と冬の北側の部屋では、出る失敗が逆になります。仕込む前に室温を測り、季節で置き場所を変えてください(→温度・季節と室温)。

温度
温度写真: Hedwig Storch / CC BY-SA 3.0
季節と室温
季節と室温図: オトモシリーズ

消毒は、仕込む前の数分で決まります。東京都保健医療局は、器具と容器を使う前によく洗浄し、熱湯や塩素系漂白剤などで消毒するよう案内し、手は石けんを十分に泡立てて洗い、流水でしっかり流すよう書いています。ペンシルベニア州立大学は、清潔な調理台と器具から始めること、小分けの瓶は鍋で10分煮沸し、冷ましてから使うことを手順に置いています。家庭食品保存センターは、容器と皿と瓶を熱い石けん水で洗い、非常に熱い湯でよくすすぐこと、食品用のプラスチックだけを食品に触れさせることを求めています(→容器と器具の消毒・容器の材質)。味見に使った箸やスプーンを容器へ戻さないでください(Fermented Homestead)。

容器と器具の消毒
容器と器具の消毒写真: Missvain / CC BY 4.0
容器の材質
容器の材質写真: Stephen Pearson / CC BY 2.0

仕込んだあとの失敗は、材料を浮かせたままにすることです。キャベツときゅうりを塩水の2.5〜5cm下に保つようにし、容器の口を清潔な厚手のバスタオルで覆うと汚染を防げます(家庭食品保存センター)。ペンシルベニア州立大学も、表面のカビを防ぐために常に沈めておくこと、瓶は週に2〜3回見てスカムやカビをその場で取り除くことを求めています(→重石と、空気の遮断)。Pepper Geek は、浮く材料を重しで沈め、容器の口まで詰めずに空きを残すよう話しています。色の付いたカビが出たものは、取り除いて食べる判断をしないでください。扱いはカビ(青・黒・赤・緑)と味噌の表面のカビにまとめてあります。

重石と、空気の遮断
重石と、空気の遮断図: オトモシリーズ
カビ(青・黒・赤・緑)
カビ(青・黒・赤・緑)写真: The original uploader was Maestrosync at English Wikipedia. / Public domain
味噌の表面のカビ
味噌の表面のカビ図: オトモシリーズ

出典

  1. 公的機関・英語 National Center for Home Food Preservation(University of Georgia) Causes and Possible Solutions for Problems with Fermented Pickles
  2. 公的機関・英語 Zepp M, Hirneisen A, LaBorde L(Penn State Extension)(2023) Let's Preserve: Fermentation - Sauerkraut and Pickles
  3. 公的機関・英語 National Center for Home Food Preservation(University of Georgia) Suitable Containers, Covers, and Weights for Fermenting Food
  4. 公的機関 東京都保健医療局(2023) 自家製の漬物をつくるときに気を付けることはありますか?【食品安全FAQ】
  5. 論文・英語 Xie S, Li Z, Sun B, Zhang Y(2022) Impact of salt concentration on bacterial diversity and changes in biogenic amines during fermentation of farmhouse soybean paste in Northeast China
  6. 動画・英語 Pepper Geek 5 Things I Wish I Knew When I Started Fermenting
  7. 動画・英語 Fermented Homestead How-To NOT DIE | Fermenting Sauerkraut 101 - 5 Things That Make It Impossible